「ピープル・アナリティクス って結局のところ、意味あるの?(何か変わるの?)」という趣旨の質問を受けることがあります。そんなときは端的に、「変革を起こすつもりがないなら(もちろん)何も変わりませんよ!」と答えています。人事領域のデータ分析もその他の分野と同様にデータは指針を示すだけです。それを基に、課題の本質の仮説をたて、解決策を練り、実行に移すのはいつの時代も人間です。今回は、データを鵜呑みにして間違った方向に進んでしまったり、データ分析結果を確認するだけで終わってしまわないためのテクニックとマインドセットを、前後編に渡って紹介したいと思います。

事細かな計画と小さな積み重ねが、大きな組織変革へとつながる

「ピープル・アナリティクスに取り組んでみたけれど、結局役に立っていない」という企業の場合、データ分析のあとまで配慮できていないことが課題だと感じます。このような企業は得てしてデータ分析要員だけ配置して、彼らが見つけたインサイトを行動に移す部分に人員をあてていません。これでは役に立たないのも当然です。そもそもアナリティクスに必要なスキルと組織改革に必要なスキルはまったく異なるものです。両方あって、はじめてピープル・アナリティクスが組織に還元されると考えます。

Googleでは早いうちから人事アナリストの数と同等数の「人事プロジェクトマネジャー」を配置して各プロジェクトを二人三脚で回していました。また、大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーでは人事アナリストの導き出した発見を、現場に伝わる言葉で広める役割を担う「Translator (翻訳者)」を配置していると聞きます。どちらの会社も「発見を、発見だけで終わらせない」という意欲が組織構成に現れていると思います。この2つの役割がしっかりと噛み合った時、組織を大きく方向修正することが可能になります。

Googleの人事プロジェクトマネジャーチームという組織がどんなものだったかというと、一言でいうと「変革のプロ集団」でした。元中東の外交官や、ピューリツァー賞受賞経験のあるコミュニケーションのスペシャリスト、FBIの研修プログラムリーダーなどなど、振り返ってみると稀有な経験をもった同僚が多かったと思います。組織全域に影響するような変革プロジェクトでは、「誰を」「いつ」「どのように」巻き込み、大きく失敗しないよう「どこで」先行テストをおこなうか決め、「何が」わかったら全社適応に踏み切るかなど、事細かく計画し、コツコツと解決策を積み上げていくことで大きな変革を可能にしていました。

Googleエンジニアの工数を年間10,000時間削...

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