「AIが人の仕事を奪う」――たびたびAIは脅威として語られます。しかし、技術革新が雇用や労働市場に与える影響は、マイナスばかりではありません。では、AIの普及は日本の雇用をどう変え、その中で企業はどんな課題に直面するのでしょうか。前半は労働経済学の観点からAIと働き方を研究する慶應義塾大学 山本勲教授による講演、後半は学習院大学 今野浩一郎名誉教授とディスカッションが行われました。

講師


  • 山本

    山本 勲氏

    慶應義塾大学商学部 教授

    1995年慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了、2003年ブラウン大学大学院経済学部博士課程修了(経済学博士)。1995年日本銀行、2007年慶應義塾大学商学部准教授を経て2014年から現職。専門は労働経済学。主な著作物に『労働経済学で考える人工知能と雇用』三菱経済研究所(2017年)、『実証分析のための計量経済学:正しい手法と結果の読み方』中央経済社(2015年)、『労働時間の経済分析:超高齢社会の働き方を展望する』(共著)日本経済新聞出版社(2014年、第57回日経・経済図書文化賞受賞)などがある。



  • 今野

    今野 浩一郎氏

    学習院大学 名誉教授 / 学習院さくらアカデミー長

    1971年3月東京工業大学理工学部工学科卒業、73年東京工業大学大学院理工学研究科(経営工学専攻)修士課程修了。73年神奈川大学工学部工業経営学科助手、80年東京学芸大学教育学部講師、82年同助教授。92年学習院大学経済学部経営学科教授。2017年学習院大学 名誉教授、学習院さくらアカデミー長。 主な著書に、『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社)、『高齢社員の人事管理』(中央経済社)など多数。

AIなどの技術革新が日本の労働市場に与える影響
学習院大学 名誉教授 / 学習院さくらアカデミー長 今野 浩一郎氏
数年前、「AIによって雇用の半分ほどが代替される」というセンセーショナルなレポートが注目を集めました。しかし、私のように長く生きていると、「昔も似たようなことがあったな」と感じます。たとえば工場のオートメーション化が進んだ時、そしてコンピュータが導入された時、「人が必要なくなる」という話がありました。しかし、必ずしもそうはなっていない。そういう話は、技術的な可能性を極端に強調しているという印象です。AIは、もちろん雇用や仕事に大きな影響を及ぼすでしょう。しかし、技術的な可能性だけではなく、もう少しバランスよく考えた方がいいと思います。この点について、山本先生に講演をしていただきます。


慶應義塾大学商学部 教授 山本 勲氏
私はAIと雇用、労働市場の関係性について研究をしています。この研究のモチベーションはまさに今野先生がお話しされたように、「騒がれているほどのことが起こるのだろうか?」という疑問です。どうも産業革命以降の技術革新と労働市場の関係を見ると、そんなことはないのではないでしょうか。本日は、まず経済学から見たAIと雇用の関係をお話しして、次に日本での状況について考察していきます。

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