産官学に聞く、「働く」のビッグデータを活かした経営課題の解決 日本企業に向ける、Workforceディスカッション

ワークスアプリケーションズが主催する日本最大級のビジネスカンファレンス 『COMPANY Forum 2017』 講演録

労働人口の減少が言われて久しい日本社会。日本企業がグローバル環境で戦うためには個人の労働時間の合理化と業績の維持向上を、限られている人的資源を最適化させ生産性高く働くことが求められています。近年、ウェアラブルデバイスの普及と職場でのコミュニケーション方法の多様化により、企業は「働く」のビッグデータを技術的に取得、可視化、活用できるようになりました。それらを、ERPをはじめとする業務のビックデータと掛け合わせて分析することで、より一人ひとりに対して最適な労務形態を提案でき、またコミュニケーションデータから、最適なタスクフォースづくりができる時代となっていくでしょう。本セッションでは、産・官・学、それぞれの立場から見る、Techを活用した「働き方改革」をはじめ、生産性を向上させるための会社の取り組みに関してディスカッションを行いました。

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伊藤 禎則 氏
経済産業省 産業人材政策室 参事官

野田 稔 氏
明治大学大学院
グローバル・ビジネス研究科 教授

ピョートル・フェリークス・グジバチ 氏
元Google人事(人材開発、組織開発担当)
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長

ウィー・チーション 氏
株式会社ワークスアプリケーションズ Vice President

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人+AIで人事と経営の真の統合が生まれる

伊藤氏:今日本は、大きな転機の真っただ中にいます。その一つは人口減少が続く中での「人生100年時代」の到来。そしてもう一つは、第4次産業革命です。AIとデータがあらゆる産業とビジネスの構造を変えようとし、そのなかで、私たちの働き方が変わろうとしています。

働き方改革で変わろうとしているのは、日本型雇用そのものだと思います。今までの働き方にはもちろんいい面もたくさんありますが、どうしても労働時間が長くなる。統計をみても、国際的に日本の労働時間は非常に長いのです。

企業の競争力、付加価値の源泉は人材であり、そのためには適正な人事が必要です。人事は本来、限りなく個人最適、個別最適でなければなりません。しかし、一人ひとりに沿った人事運用を行えている企業はありません。なぜなら、人も時間も技術も足りないからです。

しかし、AIというテクノロジーが、それを可能にしてくれるかもしれません。一方AIに対しては、人間の仕事を奪うのではないか、という不安の声もあります。チェスや将棋、囲碁の世界では、AIが人間に勝つようになりました。ですが、チェスではAI+人間の組み合わせでAIに勝利したそうですし、かの藤井四段は、AIで将棋を学んだりもしているようです。

つまり、人とテクノロジーが合わさることに一番の強みがあるのです。働く人一人ひとりの能力と喜びを解き放てば、企業を大きく成長させることができます。「人+テクノロジー」には、人事と経営の真の統合が生み出せる可能性があります。

働き方改革とは経営改革

ピョートル氏:テクノロジーの進化により、変化と競争が圧倒的に激しくなった今、日本がこれから生き残っていくためには、グローバル化していく必要があります。そのためにはダイバーシティなどの働き方改革が必要ですが、働き方改革とは、経営の改革でもあります。ではここからは、働き方改革に関連して、経営およびマネジメントのヒントをいくつか示していこうと思います。

・プラットフォーム作り
たとえば、モノづくりの企業なら、モノづくりだけをやるのではなく、IoT(Internet of Things=モノとインターネット)へも積極的に取り組む必要があります。また、オンラインやアナログのコミュニティ構築、そうしたプラットフォーム作りをやるべきです。

・クローズドな組織ではなくてオープンな組織を
他社、他組織と協業する。大学や子どもたちにも協力してもらうことです。企業が言わばプロデューサーとして動いていく、というのが、今成功している企業の考えです。

・経営者が動くトップダウンのピラミッド型の会社でなく、ボトムアップでミッションを遂行する経営をすることにより、社員に責任感とやる気を持たせ、社員が自らの判断で動けるようになります。

・社畜優遇の人事ではなく、エンプロイー・エクスペリエンスを重視する
優秀な社員にこそ、会社でいい体験をさせるということです。

・計画主義ではなく、学習主義
マネジメントは、走りながら考えます。3年プランや5年プランはありません。たとえばグーグルには、1年のプランしかありません。

・プレーイングマネージャーは終わり
経営者の役割は、会社が抱える大きな問題に取り組むこと。よって経営者は、社内外のリソースとテクノロジーを駆使して問題を解決する、ポートフォリオマネージャーになるべきです。

・鵜飼いのようなマネジメントではなく、羊飼いのマネジメントを
周りの人たちが、できるだけ自分らしく、楽しく働ける会社にすることが大切です。
非常に競争の激しいマーケットの現代、経営に関しておしなべて言えるのは、情報、データは必須だということ。しかしながら、人間のあたたかさ、直感は、自動化できません。人間にしかできないあたたかさとひらめきを持って、新しい価値を生み出していく、それが必須の考え方と言えるでしょう。

著者プロフィール

経済産業省 産業人材政策室 参事官 伊藤 禎則
明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 野田 稔
元Google人事 プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長 ピョートル・フェリークス・グジバチ



経済産業省 産業人材政策室 参事官 伊藤 禎則(上)


1994年 東京大学法学部卒業、入省。米国コロンビア大学ロースクール修士号、NY州弁護士資格取得。筑波大学客員教授、経産大臣秘書官などを経て、2015年より現職。経産省の人材政策の責任者。政府「働き方改革実行計画」の策定にかかわる。副業・複業、フリーランス、テレワークなど「多様で柔軟な働き方」の環境整備に取り組む。また人材投資、経営リーダー人材育成指針策定、HRテクノロジーの普及促進などを担当。


明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 野田 稔(中央)


明治大学大学院
グローバル・ビジネス研究科
教授
1981年一橋大学商学部卒業後、(株)野村総合研究所入社。組織人事分野を中心に多数のプロジェクトマネジャーを務め、経営コンサルティング一部長を最後に2001年退社。多摩大学経営情報学部教授、株式会社リクルート新規事業担当フェローを経て2008年より現職。専門分野は組織論、組織開発論、人事・人材育成論、経営戦略論、ミーティングマネジメント。研究フィールドは一貫して、組織で人がいかに行動するかにあり、小さなチームでの個人の振る舞いから、大きな企業グループでの意思決定に至るまで対象は幅広い。
テレビ出演も多数。現在はTOKYO MX『モーニングCROSS』(毎週月〜金曜・7時〜8時30分)にレギュラーコメンテーターとして出演。著書は『実はおもしろい経営戦略の話』(SB新書)、『当たり前の経営』(ダイヤモンド社)、『組織論再入門』(ダイヤモンド社)、『中堅崩壊』(ダイヤモンド社・電子版)など。

元Google人事(人材開発、組織開発担当)プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長 ピョートル・フェリークス・グジバチ(下)

元Google人事(人材開発、組織開発担当)
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長
ポーランド生まれ。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、さらに2014年からは、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。

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