健康経営は、「従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」として広く認知されている。人口減少の進行と超高齢社会となる日本において、限られた人材がより良い状態でより長く活躍し、企業全体の生産性向上や企業イメージの向上にも繋げるために、企業はどのような健康経営を実践しているのだろうか。
HR総研では、2021年10月に健康経営の実践に関するアンケートを実施し、その結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●健康経営の認知度9割以上、実践企業の過半数は経営戦略に位置づけ
●健康経営の主な目的、「生産性向上」が7割以上
●従業員の生産性維持向上効果に「プレゼンティーズム把握」と「継続期間」が影響か
●主な課題は「従業員の意識醸成」と「効果の見える化」、テレワークによるメンタルケアも
●経営戦略で位置づける企業は、より踏み込んだ取組みを実践
●公的認証等の取得状況、経営戦略での位置づけ有無により顕著な差
●コロナ禍対応に活用できたのは4割、意識醸成イベントのオンライン化も

健康経営の認知度9割以上、実践企業の過半数は経営戦略に位置づけ

「健康経営」の認知度については、「以前から知っている」が58%で、「以前から言葉だけは知っている」は33%、これらを合計すると91%となり、健康経営の認知度はかなり高まっていることがうかがえる(図表1-1)。

【図表1-1】健康経営の認知度
健康経営の実践状況は、「実践していない」が52%で過半数となり、「導入準備中」が13%、「実践している」は35%で、認知度は高まるものの、実践率は4割に満たない状況となっている(図表1-2)。

【図表1-2】健康経営の実践状況
さらに、「実践中/導入準備中」とする企業の中で、健康経営の実践が「経営戦略や経営方針として位置づけられているか」については、「位置づけられている」が55%と過半数で、「位置づける予定である」が27%、「位置づけられていない」は18%となっており、経営戦略等に位置づける方針とする企業が8割以上であることが分かる(図表1-3)。
健康経営を経営戦略等に盛り込み、社長や役員が責任者となることで、会社としての健康経営への本気度を示し、企業全体での取組みとして推進力を高める意図がうかがえる。

【図表1-3】経営戦略や経営方針での位置づけ

健康経営の主な目的、「生産性向上」が7割以上

健康経営を実践する目的としては、「従業員の生産性維持向上」が最多で75%、次いで「企業全体の労働生産性向上」が73%と上位2項目は7割を超え、これらに次いで「従業員のモチベーション維持向上」が53%、「従業員のエンゲージメント向上」が47%などとなっている(図表2-1)。
健康経営は、従業員の健康に良い影響を及ぼすだけでなく、労働生産性向上に繋がるとされていることもあり、人的資本に対する投資として実践する企業が多いことが分かる。

【図表2-1】健康経営実践の目的
具体的に実践している取組みとしては、一定規模以上の事業場で義務化されている「ストレスチェックの実施」が84%で最多、次いで「従業員の労働時間、休暇取得等の状況把握」が72%、「管理職・従業員への教育」が70%などであり、社員の意識醸成を図りながら労働負荷の状況を把握することが基本的な取組みとして広く実施されている。一方、効果的な実践に繋がりやすい「課題把握や施策のためのヘルスデータ活用」(26%)や「アブセンティーズムの把握(病欠等の把握)」(21%)、「プレゼンティーズムの把握(パルスサーベイ等)」(13%)などのデータを活用した取組みは、低い実践率にとどまっていることが分かる(図表2-2)。

【図表2-2】健康経営で実践している取組み

従業員の生産性維持向上効果に「プレゼンティーズム把握」と「継続期間」が影響か

続いて、健康経営の実践により得られた効果を見てみると、「従業員の生産性維持向上」と「企業全体の労働生産性向上」がいずれも37%で最多となり、目標として挙がる上位2項目で4割近くの企業に効果が見られている(図表3-1)。
これを前述した「経営戦略等への位置付けの有無」別に違いを見てみる。
例えば、「従業員の生産性維持向上」に関しては、経営戦略等に「位置づけられている」企業群の38%に対して「位置づけられていない」企業群では18%、「企業全体の労働生産性向上」に関しては、「位置づけられている」企業群の36%に対して「位置づけられていない」企業群では27%など、経営戦略に位置づけられている企業群の方が、そうでない企業群より顕著に健康経営実践の効果が得られている傾向が見られている。ただし、「従業員のエンゲージメント向上」については、両企業群の割合は25%と27%でほぼ同等となっており、効果に対して直接的な影響は見られていない(図表3-2)。

【図表3-1】健康経営実践により得られた効果
【図表3-2】経営戦略での位置づけ有無別 健康経営実践により得られた効果
また、健康経営を実践する目的として最も多く挙げられている「従業員の生産性維持向上」に関する効果について、パルスサーベイなどによるプレゼンティーズム把握をしているか否かで違いを見ると、プレゼンティーズム把握をしていない企業群では、効果が得られた企業の割合が30%であるのに対し、プレゼンティーズム把握をしている企業群では75%となり、45ポイントも高い傾向となっている(図表3-3)。
さらに、「健康経営の実践期間」を3区分して「従業員の生産性維持向上」に関する効果の違いを見ると、「3年未満」では21%、「3〜8年未満」では46%、「8年以上」では57%となり、実践期間が長いほど効果が得られているという傾向が見られる(図表3-4)。
このように今回の調査結果からは、「経営戦略等への位置付け」や「プレゼンティーズム把握」、「健康経営の実践期間」という健康経営の実践状況により、従業員の生産性維持向上に関する効果の有無に影響があることがうかがえる。

【図表3-3】プレゼンティーズム把握の有無別 「従業員の生産性維持向上」に効果があった割合
【図表3-4】健康経営の実践期間別 「従業員の生産性維持向上」に効果があった割合

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】健康経営に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年10月15〜21日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・健康経営担当者・人事担当者
有効回答:220件

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