「ターンアラウンドマネージャー(Turnaround Manager)」とは、経営学用語のひとつで、企業再生請負人のこと。TAMと略されることもあります。

経営破綻した企業、または経営破綻に陥る可能性が高いとみられる企業に経営者として登用され、短期間で事業再生計画を実行し、経営を立て直す、事業再生・企業再建のスペシャリストです。任命にあたっては、金融機関や企業再生ファンド運営会社が立て直し先の企業内から適任者を選んだり、外部から招聘したりすることが一般的です。

ターンアラウンドマネージャーに求められるのは、企業を再生させるために、財務、事業、組織と人、企業文化など、多岐にわたる側面からこれまでのあり方を見直し、改革のグランドデザインを描き、それを具体的な戦略に落とし込んで、多くの人を巻き込みながら実行する能力です。

例えば、かつて経営が悪化した日産自動車をV字回復で再建し、最近も、三菱自動車の会長に就任後、落ち込んでいた業績を大幅に回復させているカルロス・ゴーン氏などは、日本でよく知られているターンアラウンドマネージャーの1人でしょう。

米国などの海外では、ひとつの企業の再生を数年で成し遂げると、また次の企業再建に招聘されるというように、いくつもの企業をわたり歩く腕利きのターンアラウンドマネージャーが活躍しています。日本では、2003年4月に産業再生機構が設立されたことをきっかけに、これから求められる職業としてターンアラウンドマネージャーが注目されるようになりましたが、腕利きのスペシャリストと呼べる人材は、海外に比べるとまだ多いとはいえないのが現状です。

民間資格もあり、企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)が実施する「ターンアラウンドマネージャー養成講座」受講後に実施される検定試験に合格すると、NPO法人金融検定協会認定の「ターンアラウンドマネージャー(TAM)」資格を取得することができます。事業再生・企業再建に必要な能力やスキルを知っておくことは、次代に向けて継続的な成長を実現させるため、人事部門の人々がチェンジ・リーダーとして企業を変革していこうとするとき、また、ビジネスパートナーとして事業部門をサポートするときにも、大いに役に立ちそうです。