進化しつつある組織論。「ティール組織」とは何か ── 書籍出版記念セミナーレポート

2018年3月8日、『ティール組織』(英治出版)の出版記念セミナーが東京都渋谷区のSmartNewsイベントスペースで開催された。当日は、早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏がファシリテーターとなり、NPO法人 場とつながりラボhome's vi代表理事の嘉村賢州氏(あとがき執筆)、株式会社ビオトープCEOの佐宗邦威氏(推薦文執筆)が登壇。ティール組織について解説した。今回はこのセミナーの様子をレポートする。

ティール組織の本が出版に至った経緯

ビジネス書の中でも、とりわけ需要が多いのが「マネジメント」のカテゴリーだ。そのマネジメントの分野で売上1位を記録、一般書籍を含むランキングでも上位に顔を出しているのが、英治出版から刊行された『ティール組織』である。

原著『Reinventing Organizations』が出版されたのは2014年。日本語版は2018年1月に出版され、話題を集めている。そもそもこの書物の出版のきっかけをつくったのは、この日、聴衆として参加していた、この本の翻訳を手がけた翻訳家の鈴木立哉氏だ。鈴木氏は他社の編集者からこの本を紹介され、すぐに日本語翻訳版の企画書を送るが不採用。そこで英治出版に持ち込んだところ、スムーズに出版が決まったという。

ティール組織とは何か

このセミナーの最大のテーマは「そもそもティールって何だろう」というもの。嘉村氏によると、2015年の1年間、仕事を休んで世界を旅した際、「ティール組織」という概念に出会ったという。「組織は時代とともに変化し、進化していくものであり、今、次の組織形態が表れつつある」と述べる嘉村氏。その進化しつつある組織論の概念こそが、ティールだ。

本書の中では、その進化の過程を人類の歴史とともに解説している。これによると、10万年ほど前の「受動的パラダイム」から「神秘的パラダイム」に変化していく段階では、組織モデルはまだ生まれていない。

次に訪れるのが「衝動型パラダイム」で、これが約1万年前。この頃に、最初の首長制と原始的な王国、すなわち組織モデルの原型が生まれたとしている。

その後「順応型パラダイム」の時代になり、国家や宗教団体、軍隊などの組織が生まれるとともに、将来を見通すことができる世界観を持ったことにより、農業が発展。定住生活を開始する。群れるための一つの虚構として、宗教も出てきたのではないかという。

その進化系が「達成型パラダイム」であり、産業革命によって、大量生産時代に突入すると、生産を効率的に管理する必要に迫られ、会社という組織が生まれるようになったという。

この「達成型パラダイム」による組織こそ、現代の多くの民間企業が採用しているマネジメント・組織のあり方である。

しかし今、この「達成型パラダイム」にも、いろいろな矛盾や欠点が見え始めた。たとえば、協調型のNPOやNGOなどが、新しい組織形態として生まれ始めている。本書では、それを「多元型パラダイム」と呼んでいるが、協調型のNPOやNGOなどは、何事も皆で話し合って決定するため、なかなか結論に辿りつかないという欠点がある。

以上を踏まえ、これからの世界に訪れるのが、「ティール組織」という概念ではないかというのだ。

ティール組織は、これまでの組織のあり方や上司と部下の関係など、多くの人が当たり前だと思っていたマネジメント形態とは、対極にある組織論といえよう。この書を手にした多くの人が衝撃を受けているのはそのためである。

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HRプロ編集部

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