株式会社サンケイリビング新聞社は2024年5月10日、「自身が勤める会社の福利厚生制度に関するアンケート」の結果を発表した。同調査は2024年4月18日~22日に全国20歳以上の企業・団体で働く人を対象に行われ、計781件の回答を得たものとなる。調査結果から、女性特有の課題により何かを諦めた経験や、勤務先における「女性特有の健康課題」に関する福利厚生の導入状況などが明らかになった。
「女性特有の健康課題」に関する福利厚生、導入企業はわずか2割。“キャリアを諦める女性“もいる中で企業ができる支援は?

女性の4割以上が「女性特有の健康課題」を理由に職場で諦めた経験を持つ

健康経営に取り組む企業は年々増加し、「健康経営優良法人2024」の認定数は1万9,000法人に上り、そのうち53社の上場企業が「健康経営銘柄2024」として選定された。そして、この健康経営銘柄の選定においては、「女性特有の健康課題」への取り組み状況も重視されている。“女性活躍”が「女性版骨太の方針2023」として政府の重点推進施策に位置づけられるなど、働く女性が増加する中で、女性特有の健康課題やキャリアに対する企業支援はどの程度なされているのだろうか?

はじめに、サンケイリビング新聞社は、女性を対象に「女性特有の心身の症状および妊娠・出産・妊活等により、職場で何かを諦めなくてはならないと感じた経験があるか?」をたずねた。すると、「経験がある」は26.8%、「職場の同僚や友人など自分以外で経験した人がいる」は17.7%、「経験はない」は55.4%となった。

働く女性が「諦めなくてはならないと感じたこと」とは?

次に同社が、「具体的にどんなことを諦めたか」をたずねた結果、下記のような回答が挙がっている。

【具体的なコメント】諦めなくてはならないと感じたこと
●自分よりも後に入社した男性が先に役職がついたこと(実際の業務内容は変わらないが、産休育休で1年間会社を離れたため)(31歳)
●長時間労働できない。生理休暇が取れず、パフォーマンスが低下し、昇級が望めない(31歳)
●会社の遅刻特任制度で妊娠時に通勤時間を遅らせることができるが、前例がないという理由で上司に認定されなかった(40歳)
●子供が未就学で時短申請をしているが、管理職のため時短で働ける環境ではない。限られた時間内で業務をこなすにはかなり負担がある(41歳)
●PMSや更年期症状による心身の不調を感じることがたびたびあったが、男性の多い職場のため生理休暇を利用しづらく有給休暇を使うことが何度もある。福利厚生があっても、不本意ながら利用する機会を諦めている(53歳)


上記の回答から、主な要因として「1.キャリアへの影響」、「2.健康問題によるキャリアへの影響」、「3.職場環境や制度の影響」、「4.社会的な圧力や不平等な評価」があるようだ。

「女性特有の健康課題を支援する福利厚生制度」の導入率は2割

次に、同社が「勤務先で女性特有の健康課題に関する福利厚生制度が導入されているか」を質問すると、「はい」と答えた人は22.5%と、導入率は2割程度にとどまった。

また、「導入されている」と回答した人に「導入されている具体的なサービス」を質問したところ、トップは「健康保険・検診」(45.5%)、2位が「子育てサポート」(40.9%)、3位が「妊娠・出産サポート」(35.2%)という結果だった。

さらに、「実際に利用したことがあるサービス」を聞くと、1位は「健康保険・検診」で30.7%となり、2位以下は「健康に関するセミナー(オンライン)や動画配信サービス」(13.6%)、「健康管理アプリの提供」(12.5%)と続いた。トップの「健康保険・検診」については、法定健診などもあるため3割となったが、全体的に利用率が低くなっていた。他方で、「子育てサポート(フレキシブルな労働時間、在宅勤務の提供、子育て関連のセミナーなど)」は導入率40.9%に対し、利用率が11.4%と大きく下回った。
「女性特有の健康課題」に関する福利厚生、導入企業はわずか2割。“キャリアを諦める女性“もいる中で企業ができる支援は?

8割以上が「福利厚生によって女性の仕事や生活が向上する」との考え

続いて、全体に対し「女性特有の健康課題に関する福利厚生制度の導入を希望するか?」を尋ねた。その結果、「導入してほしい」との回答は85.6%(はい:38.5%、どちらかといえばはい:47.1%の合計)と、大多数になっている。

また、「女性特有の健康課題に関する福利厚生制度が仕事や生活の効率を向上させると思うか」と質問すると、「非常にそう思う」が34.4%、「まあそう思う」が50.6%となり、合計で85%が「効果がある」と考えていることがうかがえた。
「女性特有の健康課題」に関する福利厚生、導入企業はわずか2割。“キャリアを諦める女性“もいる中で企業ができる支援は?
調査によると、働く女性の4割超が、健康課題やライフイベントなど「女性特有の課題」を理由に、自身のキャリア形成において“諦めた経験”を持っていることが浮き彫りとなった。また、フリーコメントに「特に男女問わず理解が進むと良い。男性の育児にはもっとサポートと理解が必要と感じる(38歳)」との声もあったように、女性活躍推進にあたっては、前提として男女問わず社内での認知向上も必要だろう。健康経営に取り組む企業では、“女性特有の健康課題“という観点から「職場への影響」を確認し、施策を検討してみてもよいかもしれない。

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