今年は物価の高騰や政府による賃上げの後押し、さらには人材確保に向けた取り組みとして、“給与引き上げ”への関心は企業のみならず、個人にも大きく影響を与えました。今回はそんな「給与・賃上げ」のテーマについて、直近でHRプロが取り上げてきたトレンドニュースをまとめました。「給与・賃上げ」に関する数ヵ月の動向を以下でご覧ください。
【給与・賃上げ】に関するニュースまとめ|23年10~12月版

賃上げを実施した企業は約7割。一方で従業員の“ニーズ”には及ばず

賃上げを実施した企業は約7割。一方で従業員の“ニーズ”には及ばず
パーソルキャリア株式会社は、「賃上げ」に関する調査の結果を発表した。まず企業の人事担当者500名を対象に、「賃上げの実施状況」を尋ねた。すると、「賃上げを実施(予定を含む)との回答は67.8%と7割に迫った。あわせて、「賃上げのために実施した対策」を尋ねたところ、「人事制度のの改定」の対策をとった企業が最も多いことがわかった。賃上げの目的である定着率の向上や新規獲得といった“人材への投資傾向”を裏付ける結果となり、人材の確保を重要視していることが推察できる。

対して、転職を検討している・興味がある20~60代の会社員500名を対象に、「希望する賃上げが叶わない場合、転職を検討するか」を尋ねた。その結果、「転職を検討する」との回答は3割を超え、賃金の上昇率の“希望”と“実績”には乖離があることが明らかとなった。

【賃上げ後の上昇額の中央値】給与は「1万円」、夏ボーナスは「60万円」に

【賃上げ後の上昇額の中央値】給与は「1万円」、夏ボーナスは「60万円」に
株式会社ライボは、「2023年・賃上げとボーナスの意識調査」の結果を発表した。はじめに20~50代の社会人714名を対象として、「2023年度の賃上げの有無」を尋ねた。すると、「賃上げあり」は48.9%、「賃上げなし」は51.1%と、賃上げを実施しなかった企業のほうがわずかに多かった。また、「2023年の夏ボーナスの支給有無(予定を含む)」を尋ねたところ、「支給あり」は6割に迫ったという。

そこで、「2023年度に上がった月収の額」を尋ねると、「平均値」は1.9万円、「中央値」は1万円、「最頻値」は1万円となった。また、「2023年の夏ボーナスの支給額」は、
「平均」が79万円、「中央値」が60万円、「最頻値」が50万円だった。

最後に、「物価高騰による消費活動に関する影響」を尋ねたところ、「消極的になった」との回答は、「賃上げがあった人」が約7割、「今夏ボーナス支給があった人」が約6割であることがわかった。

【25卒生】初任給の高い企業は志望度に“好影響”。適正額は「20万円台」と考える学生が多数

【25卒生】初任給の高い企業は志望度に“好影響”。適正額は「20万円台」と考える学生が多数
株式会社学情は、「初任給」に関する調査結果を発表した。まずは25卒生373名を対象に、「初任給が高い企業は、志望度が上がるか」を尋ねた。その結果、志望度に好影響があるとした学生は86.6%と、9割に迫った。自由回答には、「初任給の高い企業のほうが、モチベーション高く働けそう」などの声が寄せられたという。

そこで、「初任給はどの程度が適正だと思うか」を尋ねたところ、「月収20万~24万円」が最も多かった。次位の「月収25~29万円」と合わせると、8割以上の学生が「月収20万円台」を適正額と考えていることが明らかとなった。

また、24卒生を対象に実施した2022年度の同調査結果と比較すると、「月収20~24万円」との回答は減少し、「月収25万~29万円」との回答は増加していた。このことから、初任給を引き上げる企業の増加や物価高騰を背景に、学生が適正だと感じる初任給の金額は上昇傾向にあると推測できる。

6割以上が「賞与額」を理由に転職。ボーナス支給額は“理想”と“現実”で乖離

6割以上が「賞与額」を理由に転職。ボーナス支給額は“理想”と“現実”で乖離
株式会社マイナビは、「2023年冬のボーナスと転職に関する調査」の結果を発表した。はじめに正社員として勤務する20~50代の男女のうち、2023年10月に転職活動を行った人、または今後3ヵ月以内に転職活動を行う予定の人の人1,318名を対象として、「『賞与が少ないこと』を理由に転職をしたことがあるか」を尋ねた。すると、「転職をしたことがある」との回答は62.5%と、6割を超えた。

また、「自分の仕事に見合う理想の賞与額」を尋ねたところ、全体平均は「89.2万円」、部長クラスは「193.4万円」、課長クラスは「132.7万円」となった。

対して、「今年想定している冬の賞与額」を尋ねると、全体平均は「46.2万円」となり、前年(46.7万円)よりも低く見積もっている人が多いことがわかった。また、自分の仕事に見合う理想の賞与額(平均89.2万円)とも、大きく乖離が生じていることが明らかとなった。

25卒生の4割以上が初年度年収「400万円以上」を希望

25卒生の4割以上が初年度年収「400万円以上」を希望
株式会社i-plugは、「希望年収額に関するアンケート」の結果を発表した。まず25卒生658名を対象に、「新卒配偶1年目に希望する年間の給与額(額面)」を尋ねた結果、最も多かったのは「300~399万円」(39.4%)だった。また、2022年調査の24卒生の結果を比較したところ、「400万円以上」の年収を希望する学生は43.7%と、2022年調査と比較して約12ポイント増加していることがわかった。

続いて、新卒採用を実施する企業322社を対象に、「25卒の新卒入社者へ提示している平均の年間給与額(額面)」を尋ねた。すると、「300~399万円」が約6割で最も多かった。一方で、25卒生の4割以上が希望する「400万円以上」と提示する企業は、1割に満たないことも明らかとなった。

また、年収を重視する学生が増加傾向にある中、「どの条件が自分の希望と合致していれば“辞退しない”と考えるか」を尋ねると、「福利厚生」や「業務内容」の充実が上位にあがったという。

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