第8回
Change Acceleration その2
自社のありたい姿を定め、人材に投資する
それがグローバル化を加速する
グローバル化を阻む人材課題
私たちは、日本企業がアジアでビジネスを拡大していくことを支援するために、5年前に上海に現地法人「升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司」を設立し、1年半前にシンガポールにも現地法人「CELMASIA Pte. Ltd.」を設立いたしました。現地に赴任してみると、日本にいた時とは違う景色がみえてきました。
まず、アジアにおける人材争奪戦の激しさは想像以上です。また、キャリア観が異なり、20-30代の多くは「3年で転職」を当たり前にしています。アジア各国の東大といわれる大学に訪問してみると、給与やキャリアの問題で日本企業の人気は低く、優秀な人材が日系企業に就職しなくなったというお話も聞きます。毎年人件費は上昇し続けていますし、労働争議やコンプライアンス、リスク管理など、人材に関する多種多様な課題は、解消されることがないといっても過言ではありません。
一方、現法には人事の専門家や人事経験者が少なく、人材の課題に対する対処が遅れてしまうようです。最近は、シンガポールにリージョンヘッドクォーターを設置する会社も増え、その中にリージョンHR担当を配置して人事戦略を強化するところも増えてきました。ローカルHRを採用し、彼らに人事制度や採用、育成を任せようとしている企業もたくさんあります。しかし、課題はなかなか解決されず、むしろビジネスのスピードがあがらない理由を人事部だけの問題かのように言われている状況には何か違和感があります。
今後、日本企業はどのように人材の課題に向き合い対処していくべきなのでしょうか。
100%決めきるのは難しくても、ゴールを決める
グローバル化と一言で言っていますが、どのようなグローバル化をめざすのか、意外にそのゴールを明確にすることなしに、「社長の方針だから」と進んでいる企業が多いように感じます。ゴールが決まっていないことが原因で軸がぶれ、意思決定に時間がかかり、スピードが遅くなってしまうことが日本企業の問題なのではないでしょうか。
たとえばR&Dはどんな体制で進めるのか、製造はどこまで現地でやるのか、最終的にはどのようなグローバル事業をどんな組織や人材で進めたいのか、というゴールイメージを具体的にもつことが重要です。...

