ポストや戦略から必要な人材を定義し、探し出す適所適材

ビジネスを支援し、組織を変える人事(人材マネジメント)のありかたについて
企業の競争力に貢献するために、日本の人材マネジメントとは、そろそろ考え方とやり方を変えるべき時期だと思います。ポイントを5つお話します。
1つは「適所適材」です。適材適所ではありません。適所適材とは、ポジションや戦略から逆算して求められる人材を探す、あるいは近い位置にいる人を急速に成長させて抜擢することです。最初にポストや役割が決まっている点が「適所」である所以です。対して適所適材は、「一番いい人材を一番いいところに置く」というもので、人材が先、ポストが後という発想です。両者は発想が違います。
海外企業は「タレントマネジメント」という言葉を使います。○○事業をしたい、そのためには□□な人材が必要だ、そんな人材は採用、育成、ヘッドハンティングなど、手段を選ばず調達するという考えです。
適所適材をしないと、どうなるか。「あの人があそこに座っているのはおかしいよね」という不自然な配置になるでしょう。不適切配置で、組織が不活性しており、隠れた人材コストを引き起こします。逆に、そこに座るべき人は適役を与えられず、モチベーションの低下を招きます。二重の意味で不適切配置は隠れたコストを発生させます。しかも、これらのコストは機会コストなので表面化せず、捉えにくい。これをどうやって変えていくかという問題があります。

リスクを取り、成果でなく成長力に賭けるチャレンジを

2つ目は、人材の層別管理です。さっき、優秀層、普通の層、働きかけが必要な層に分けました。大切なのは、それぞれ層別の人材管理をすることです。これまで日本企業は、従業員の大部分に同じキャリアパスを見せてきましたが、今後は上と中を別々に扱うべきだと思います。

3つ目は、成果を中心に評価しないことです。評価ポイントは、成果よりも成長力です。米電機大手のGEには「ナインブロックス」という人事評価の枠組みがあります。意識や勇気といった成長力を3段階で見る軸と、成果を見る3段階の軸から成る評価指標ですが、総合評価が同じ場合、成果でなく、成長力を取ります。彼らは、成果はまだ出せていないが成長力のある人材に「賭ける」のです。
しかし、いまの日本企業を見ていると、成長力に賭けることが少なくなっているように思えます。成果を出した人の方が確実だから、彼・彼女にやってもらおうというケースが多いのではないでしょうか。賭けはリスクが伴いますから、人事が安全を考え始めると、そうなるでしょう。しかし、チャンスを与えないと人は育たない。成長力に賭けたい。その場合、万が一失敗したときの代案、リスクヘッジを考えておくことが必要です。

人事だけでなく組織開発の視点から見る

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