経営が必要とする人材を供給するのが人事の仕事

まず初めに言いたいことは、人事マネジメントとは何か、人事の仕事は何か、ということです。当たり前のことですが、人事は経営活動の一部であり、事業活動の一部です。人事は経営に対し、何らかの貢献をしないとならない。しかし、皆さんがやっている仕事は、経営に対し貢献していると言えますか? 海外企業では、この点が厳しく問われます。残念ながら、最近、皆さんの仕事を見ていると、経営に対する貢献という意識が薄くなっていると感じます。
例えば、10年ほど前から、イノベーション人材が必要だと言われており、いまだにその議論は続いています。また、この5~6年はグローバル人材が必要だとも言われていますが、満足に人材を確保できていません。自律型人材につても、同様です。なぜか。人材マネジメントが機能していないからです。経営が必要とする人材が、育成だけでなく、採用もされていません。
「育成には時間がかかる」などと言い訳をしたらダメです。そうなら中途入社を採用すればいいのですから。人事とは経営に資する機能と定義すれば、どんな方法を使ってでも経営が求める人材を確保しなければないのですが、それができていない。大きな問題でしょう。

「企業の基礎体力」である中間層への目配せも大事

ビジネスを支援し、組織を変える人事(人材マネジメント)のありかたについて
その意味で、人事は、企業の競争力の維持と向上にかかわる重要な部門なのです。後でまた詳しくお話ししますが、例えば、人材のマネジメントで、2割の優秀層、6割の普通層、2割の問題層というふうに分ける企業があります。こうした層別管理には賛否はあるでしょうが、優秀層とそうでない層は確実に存在します。ただ、それでも多くの企業では、上位2層に関して、ほぼ同じ人事管理を適用することが多いのではないでしょうか。
確かに、2割の優秀層に気配りをする企業は増えてきていますが、はたして今のレベルの投資で十分でしょうか。
また、そうでない層に対しては何をしているのでしょうか。どうか。選抜人事は素晴らしい進展です。でも、6割の層が、夢を失っていないでしょうか。確かに2割は会社の頭脳となって企業を引っ張りますが、6割の層は“普通の人々”であり、いわば「企業の基礎体力」みたいなものです。こうした“基礎体力”の向上のためには、中下層の人々向けにも特別な人事管理を行うことが必要です。私は、こうした部分に本気で関わっているか人事は少ないのはないかと感じています。本来は両方とも大切なのにもかかわらず、優秀層への目配りに忙しく、中間層を忘れていないでしょうか。

ポストや戦略から必要な人材を定義し、探し出す適所適材

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