内定学生 文系7割、理系8割が就職活動を終了

今度は、内定取得者を対象に、就職活動を継続するのか、終了するのか、すなわち「就活の継続意向」を確認した結果を紹介します[図表7]。こちらも文系と理系とでは異なる傾向が見られます。
内定者の就活継続意向
「第1志望の企業に内定したので終了する」とする割合は、文系51%に対して理系65%と14ポイントも理系のほうが高くなっています。前述の「選考辞退」の項目でも触れたように、理系には、合格したら必ず内定承諾が求められる「推薦応募」の学生が含まれていることも理由だと思われますが、企業側の採用難を背景に、純粋に「第1志望の企業への内定率」が文系よりも理系のほうが高いことも挙げられるのではないでしょうか。

「第1志望の企業ではないが内定したので終了する」を合わせた「就活を終了する」派は、文系でも67%と3分の2を占めますが、理系は82%とさらに15ポイントも高く、6月の時点で早くも8割を超える結果となっています。内定をもらったタイミングが文系よりも早かった分、就活を終了する時期でも理系のほうが早くなっていることが分かります。

次に、こちらも内定取得者を対象に、就職活動を経験しての感想を求めたところ、意外にも文系と理系ではそれほど大きな差は見られませんでした[図表8]
就活を経ての感想
最多は、文系・理系ともに「やや大変だった」でいずれも31%、次いで「かなり大変だった」が文系26%、理系23%で続き、両者を合計した「大変だった」派は、文系で57%、理系で54%と半数を超えています。一方、「かなり楽だった」と「やや楽だった」を合計した「楽だった」派は、文系で24%、理系で30%と、理系のほうがやや多くなっています。

インターンシップで優遇、1社で就活終了の声

就職活動の感想について、それぞれの理由を抜粋して紹介します。「楽だった」派からは、「インターンシップから内定につながった」、「1社だけで就活が終わった」などの声が散見される一方、「大変だった」派からは「1年がかり」、「メンタル的なつらさ」を挙げる声が多く見られました。

【かなり楽だった】
・エントリー3社、第一志望にすぐ決まったので一度も祈られなかったこと。オンラインで完了したためお金もかからなかったこと(理系、中堅私立大)
・インターンを通して、特に練習もせず内定が取れた(理系、その他国公立大)
・夏の長期インターンに合格すれば優遇ルートで選考を進められたため(理系、その他国公立大)
・インターンシップからお世話になっている企業からとても気に入られて、試験免除の早期選考で受けさせてもらえたから(理系、その他私立大)
・インターン後にリクルーターが付いて、選考スピードも早く、同期で最初に内定できたから。1社にエントリーして1社に内定するという効率的な就活ができた(文系、旧帝大クラス)
・エントリーシートから面接まで、内定をもらった1社しか受けていないから(文系、上位私立大)
・一度も面接に落ちることがなかったから(文系、上位私立大)
・第一志望の面接スケジュールが比較的早く進み、他に考えていた選考を受けずに終わったから(文系、中堅私立大)
・エントリー時点で自分を必要としてくれそうな企業をかなり絞った結果、5社受けてすべてで選考を通過することができたため(そのうち3社は途中で辞退)(文系、中堅私立大)
・比較的遅い時期である4月から就職活動を始めたが、順調に選考フローを進み、内々定を複数もらうことができた。就職活動自体が楽しかった(文系、上位国公立大)

【どちらともいえない】
・落ちるともちろん落ち込むが、その分自分に合った会社に絞られる(理系、旧帝大クラス)
・選考自体はそこまで大変だとは思わなかったが、受けてから結果が出るまでの不安を感じるところが大変だと思った(理系、その他国公立大)
・想定どおりの負荷がかかったから。ただ、自分は他の就活生に比べると穏やかなほうだったのではないかと感じている(文系、旧帝大クラス)
・大変きつい時期もあったが、内定が一つ出てからは、自分は社会に必要とされている人材であると思うことができ、ポジティブになれた(文系、上位私立大)
・ESの締め切りが重なっていたときは時間的にも体力的にもハードだったが、それ以外はスケジュールの管理は比較的しやすかった(文系、上位私立大)

【かなり大変だった】
・面接が苦手なのもあり、非常に疲れた。志望度の高い企業に落ち、精神的なダメージが大きかった(理系、上位国公立大)
・自分についての答えのない問いに対して深掘りをするのはつらかった(理系、旧帝大クラス)
・気分の浮き沈みが激しく、精神的に強さが必要だと感じたから(理系、上位国公立大)
・全く人に頼らない就活をしたので、実地で経験を積むしかなく、結果として60社以上の企業にエントリーしたため(理系、その他国公立大)
・面接対策が大変だった。特にプレゼンテーションを課す面接は資料作成が大変だった(理系、その他国公立大)
・研究活動と並行して就職活動を行うことは時間的にも精神的にもつらかった(理系、その他国公立大)
・面接を通過できなかったときに、自分を否定されているように感じてしまうことがあった。今までに経験したことのない、慣れていないことを沢山しなければならなかったため、精神的にも肉体的にもつらいことがあった(文系、上位私立大)
・インターンシップを含め就職活動の開始時期が早すぎる。大学3年の春学期中にインターンシップの選考を受けることはかなりの負担であった(文系、上位私立大)
・3年生の5月から就活を始め、内定獲得まで1年かかったから(文系、中堅私立大)

半数以上の学生が内定承諾決断に不安

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