<産業医監修>新型コロナウイルスの自宅療養で、家庭内感染を防ぐための「7つのコツ」とは
新型コロナワクチン接種が進み、徐々に感染者数が減ると思っていた矢先に、日本にもデルタ株が侵入してきました。デルタ株は感染力及び重症化リスクが非常に高く、重症患者が急増して医療がひっ迫しています。このため、罹患しても自宅療養を余儀なくされ、同居家族にもうつしてしてしまうこと(家庭内感染)が大変心配されています。今回は家庭内感染を防ぐために、産業医先の従業員やその家族に私が指導している「7つのコツ」についてお話しします。

新型コロナの家庭内感染を防ぐ大前提は「患者と同居家族の接触を必要最低限にすること」

まずは、患者と家族の「空間の分け方」から確認していきましょう。

●コツ1:世話係を決める

まず、家族の中から1名選んで、その方だけが世話をするようにしましょう。できれば“持病がなく若い方”がいいです。というのも、万一その方が感染した場合でも、重症になるリスクが少ないからです。大切なことは、世話係になっても“基本的には患者と同じ空間には入らない”ということです。対処は後ほど述べるような方法で行います。

●コツ2:患者を空間的/時間的に隔離する

ウイルスは患者から排出されます。感染ルートは「飛沫」、「エアロゾル」、「接触」の3つがメインです。「飛沫」とは、しゃべった時に口から出る微細な唾などで、約2m先では床に落ちてしまいます。一方の「エアロゾル」はさらに小さな飛沫で、密閉された空間などで長い間空気中に漂うため、その空気を吸うことにより感染します。「接触」は、飛沫がついた服やドアノブを触ると手にウイルスがつき、その手で目や鼻、口を触ると感染します。これらの感染ルートを断つことが大切です。

まずは個室などで患者を「空間的」に隔離することが重要となります。ただし、トイレやシャワーなど、どうしても家族と共有せざるを得ない場所もあるでしょう。そのような場所は、“患者が使ったら、30分換気等をするまで同居家族は使わない”というルールを作り、「時間的」に隔離します。また、手洗い後のタオルは絶対に患者と共有せず、可能な限りペーパータオルを使用しましょう。患者の出したごみや洗濯物は、患者自身が療養部屋に持って帰ります。

さらに、患者がトイレやシャワーに行くときの通路を決め、目印としてビニールテープなどを床に貼ります。患者は、決められた通路の外には出ないようにしましょう。また、患者は療養部屋の外では必ずマスクをします。この際は不織布マスクを使用します。ウレタンマスクは、細かな飛沫やウイルスを透過させますのでお勧めできません。

療養部屋の中であれば、患者はマスクを外してかまいません。ただし、部屋を閉め切っているとそこにエアロゾルが発生するので、療養部屋の窓は常に全開にしたまま、クーラーなどで温度を調整することをお勧めします。そこまでしなくても、少なくとも部屋のドアを開ける前には、しばらく窓を開け空気を入れ替えるべきです。そうしないと、ドアを開けた時にエアロゾルが共有空間に流れ出て、感染源になる危険があります。

ごみや洗濯物の扱い方にも気をつけて、新型コロナの家庭内感染のリスクを低減

上記が「患者と同居家族の空間を物理的に分ける方法」ですが、患者のごみや洗濯物はどう対処したらいいのでしょうか。

●コツ3:ごみや洗濯物の隔離も忘れずに

患者の療養部屋の前にも、ビニールテープで囲われた場所を作ります。患者の部屋から出たごみや洗濯物等は、必ず患者自身がこの空間におき、後ほど世話係が処分・洗濯します(具体的なやり方は「コツ4」、「コツ5」を参照)。また、患者に差し入れを行うときもこの空間におき、後ほど本人に取り込んでもらいます。

患者と連絡を取る際も、電話やタブレット端末などを使い、患者とは直接顔を合わせないようにしましょう。世話係がやむを得ず患者の部屋に入る場合は、このエリアでマスクや服の着脱を行い、患者のごみや洗濯物と同様の対応をします。また、患者室内では、患者・世話係とも正しくマスクを装着します。

●コツ4:ごみの処分方法

患者のごみは、患者自身がビニール袋に入れて口を堅く縛り、先ほどのエリアに出します。そのビニール袋は、世話係がごみ捨て場に持って行きます。持ち運びするときのマスクと、その後の手洗いを忘れずに。

●コツ5:洗濯物の処分方法

洗濯物は毎回捨てるわけにはいきません。80度程度のお湯を用意して、そこに約10分漬けてから洗濯に出します。色落ちしないものであれば、キッチンハイターなどを百倍に薄めた液でも構いません。

キッチンハイターの百倍希釈液の効果は絶大で、患者が共有空間に出たのち触った場所は、これで拭くことをおすすめします。

●コツ6:共有空間の換気は忘れずに

さて、これだけやっても、共有空間にエアロゾルが漂う危険があります。1時間に1回程度は窓を開けて、風を通すことをお勧めします。

●コツ7:患者の状態をリモートでチェック

患者の状態は急に悪くなることになることがあるので、1日に数回はスマートフォン等で連絡を取るようにしましょう。


以上は、私が産業医先の従業員やその家族に指導していることです。すべてに科学的根拠があるわけではないですし、不十分な点や、逆に余計なものもあると思われます。自宅療養の仕方については、今後最適な知見が溜まっていくことが予想されます。

最後に、東京都が出している手引きを紹介して、この稿をしめます。

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