ここ数回は、自律的な行動を取るベースとして、「仕事を楽しむことが必要である」というお話をしています。
仕事を楽しむ3つ目の要素としては「自分の強みが活かされている」ということです。
仕事に自分の強みが活かされていると、「これが自分の仕事だ」「これが私の道だ」と強く感じることができ、活き活きとしてきます。
「上司は部下をほめるべきである」という論調が強くなっているのも、「部下の強みを伸ばし、パフォーマンスを高めることで成果につなげる」という意味があるからではないでしょうか?

 一方で、部下は自分の強みが分かっていますでしょうか?
例えば、入社2年目の若手社員に「あなたの強みは何ですか?」と聞いて、すぐに答えられると思いますか?
 もちろん答えられる人もいるでしょう。
しかし、私が若手対象の研修で「あなたの強みは?」と尋ねると
皆さん「うーん・・・」と考え込んでしまいます。
時には「ありません・・」と答える人さえいます。

 かく言う私も、若手の頃は全く自分の強みなどは分かりませんでした。
分かりませんでしたが、目の前の仕事は妥協せずトコトン行っていました。
なぜなら、非常に厳しい上司であり、妥協を許されなかったからです。

 少し手を抜こうものなら、すぐに見抜かれ、「真剣にやれ!」と叱られました。
作成した文章や企画はトコトンチェックされ「○○が甘い。やり直し」とすぐにつき返されました。
 そのような状況でしたから、いやおうなしに妥協せずトコトンやらざるを得なかったのです。

 おかげさまで、それなりの成果を出させてもらい、社内でプレゼンテーションなどをする機会も増えてきました。
もちろん、プレゼンテーションも一生懸命やらないと怒鳴られますから、真剣です。
 プレゼンテーションを熱心にやっているうちに、周りからこんなことを言われるようになりました。
「松井さん、プレゼンうまいね」「結構話すの得意でしょ?」と。
 私は、むしろ人前で話すのは苦手であり、プレゼンが得意などといった自覚は皆無でした。
しかし、周りの人から次々にそのような言葉を掛けられるようになり、「あれ、私ってこれが強み?」という気づきがあったのです。

 おかげさまで、今の仕事では研修やセミナーで多くの人の前で話す機会に恵まれ「強み」を活かして仕事をさせていただいています。非常に楽しい毎日です。

 我々上司は、目の前に見えている部下の表面的な強みを褒めたたえるだけでいいのでしょうか?
褒め方講座が流行っているようですが、本当にそんなことが必要なのでしょうか?

 むしろ、目の前の仕事をトコトン、妥協なくやってもらう。
甘えが見えたら「ビシッ!」と指摘する。一生懸命仕事をしている中で段々「本当の」強みが見えてくるのではないでしょうか?

 自分の強みを活かして、「これが自分の道だ」と本音で感じられるようになるためには、「本当の強み」を自分で認識する事が必要。それを手助けするのは我々上司ですね。

仕事を楽しむ、4つ目のポイントは「創意工夫をする」ということです。
決められたことを決められた通りに行なうことも、もちろん面白い点はあります。
正確性を高めたり、スピードを高めることでやりがいも生まれます。
しかし、ある一定のレベルになると、それ以上の成長が難しくなる。
すると、段々と仕事にマンネリ感が出てきて、「楽しむ」ことができなくなることが往々にしてあります。

やはり、自分で考え、工夫をした結果「さらに効率が高まった」「より、成果が高まった」となれば、これは楽しいはずです。
本日もある企業様で「よりお客様満足を高めるためのちょっとしたアイデア」をグループワークで出し合ったところ、非常に良いアイデアが次々に出てきました。
「これができたら、いいね!」「それは、素晴らしいアイデアだ」と興奮して話す人もいました。

その後、「では、早速この中でできることをやってみましょうか」と私が投げかけると意気消沈・・・。
「あれ、どうしたんですか?せっかくだから何かやりましょうよ」と働きかけると
「難しいですね・・・」との言葉。理由を尋ねてみると
「上が首を縦に振りませんよ・・・」とのこと。

「上」それは、我々上司です。
もちろん、上司は簡単に首を立てに振らないものです。
採算が取れないものを、簡単に行なうことはできません。
ですから、メンバーから果敢に提案を挙げてもらい、説得してもらいたい。
私も、メンバーの研修では「上司に3回提案せよ」とレクチャーしています。

しかし、我々上司はメンバーの果敢な提案に耳を傾けていますでしょうか?
たまに、「それはダメだ」「そんなことをして、クレームになったらどうする」「意味ないね」等と一蹴している上司を見かけます。
その言葉の奥にある意識が、「この提案を蹴っても、もっとよいものを挙げてきて欲しい」という期待をこめたものであればまだよいでしょう。
しかし、奥にある意識が「こいつが出してくる提案などろくなものではないに決まっている」「大した能力がないくせに、何を言っているんだ」というものでは、メンバーの自律性を奪ってしまいます。

私の研修で「どうせ上が首を縦に振ってくれない・・・」と言っているメンバーの上司は後者のタイプが多いように感じられます。
もし、期待を込めて提案を蹴っているならば、それは部下に伝わり「次こそは!」とむしろ意欲を燃やさせるはずですから。

メンバーに対して「いや」「でも」「ただ」と言った、否定語が癖になってませんか?
それが、部下の創意工夫をする意欲を奪い、仕事に「やらされ意識」が蔓延し、自律的な部下が育たない土壌をつくってしまっているかもしれません。
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