「激変の2020年代に求められる経営者・リーダーの条件」 〜世界的リーダーシップ調査から明らかになった日本企業の経営者・リーダーの傾向とは〜

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

企業を取り巻くビジネス環境が目まぐるしく変化する中、リーダーに求められる要件はどのように変化しているのだろうか。日本特有の傾向や課題とは、どのようなものなのだろうか。
HRプロでは、世界的なリーダーシップ調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」を実施するDDI Japanのゼネラル・マネジャーであるケン・グラハム氏と、MSCの遠山氏、福田氏、そして大企業の経営者と日々議論を重ねる三菱UFJ信託銀行 HR戦略コンサルティング部プリンシパルの内ヶア氏、大伊氏に、お話を伺った。
【参加者】
※写真左から
株式会社マネジメント サービス センター(MSC) 執行役員 福田 俊夫
株式会社マネジメント サービス センター(MSC) 代表取締役社長 遠山 雅弘
三菱UFJ信託銀行株式会社 HR戦略コンサルティング室長 プリンシパル 内ヶア 茂
DDI (Development Dimensions International, Inc.)
日本担当ゼネラル・マネジャー /シニア・リーダーシップ・ストラテジスト ケン・グラハム Ph.D.
三菱UFJ信託銀行株式会社 HR戦略コンサルティング部 プリンシパル 大伊 邦夫
インタビュアー ProFuture 株式会社 代表取締役社長 寺澤 康介

リーダーシップに関する世界最大規模の動向調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」

寺澤 本日は、お集まりいただきありがとうございます。今回、「激変の2020年代の経営者のトップアジェンダとリーダーに求められる条件」をテーマに、みなさんにお話しを伺っていきたいと思います。まず、DDIが実施する世界規模のリーダー調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」(以下GLF)について、ご説明をお願いします。
グラハム 現在、実施中のGLF調査(2020年2月から5月15日まで)は、縦断的なグローバルリーダーシップ調査としては、世界最大規模です。1999年から実施し、今回が9回目となります。前回の調査では、54カ国、約2,500の組織から、約26,000人のリーダー、それに加えて約2,500人の人事担当者に協力を頂きました。つまり、リーダーの視点とHRの双方を調査することにより、双方のギャップを明らかにすることができます。調査結果はデータを示すだけではなく、そのデータを解釈し、リーダーシップを高めるための様々なプラクティスやレコメンデーションに落とし込んでいます。さらに今回、HR業界におけるアナリストとして世界的に著名なジョシュ・バーシン(Josh Bersin)氏とDDIが協働でGLFを実施することとなりました。ジョシュは近年、HRテックなどでも注目を集めている人事に最も影響を与える世界的権威とも言える存在です。DDIとしても、今回の調査を協働で実施することを非常に楽しみにしています。

福田 日本では、マネジメントサービスセンターが主体となって調査を行っています。2005年からスタートし、約3年に1度の頻度で実施しています。前回の日本の調査では、95社、1500人のリーダー、71人の人事担当者にご回答を頂きました。今回から三菱UFJ信託銀行も参加され、MSC/DDIとともに調査に加わっていただきます。

寺澤 今回は、三菱UFJ信託銀行もGLFの調査主体として参画されるということですが、どのような背景、どういう問題意識から参画に至ったのでしょうか。
内ヶア 私たちHR戦略コンサルティング部は、主にJPX日経400を中心とした大企業のエグゼクティブ層(CxO)やボードメンバー(取締役)に対して、人と組織を中心とした、HRファーストでの成長戦略を加速させるためのコンサルティングを展開しています。CEOやチェアマンのコーポレートセクレタリー(取締役会の黒子)を担いたい、との想いをもって活動しております。私たちは、真のリーダー人財を開発する上で、GLFのリーダーシップやHRに関するリサーチをもとに、日本企業の現状課題を見える化し、人財開発のための処方箋を提供していきたいという想いから、参画することとなりました。今後、日本がアースドリブン(地球視点)でのサステナビリティ・ガバナンス経営で、世界をリードするためには、「モノ造り大国ニッポン」から「ヒト造り大国ニッポン」に変革できるかが鍵であると、個人的に思っております。今日は、皆さんと日本企業のリーダー開発の課題を共有しつつも、未来志向でご議論できれば幸いです。

人財のROEを上げる

寺澤 さて、激変する令和の時代、皆さんがお感じになるビジネス環境の変化とは、どのようなものですか?

内ヶア 大きく3つの傾向があると感じています。1つ目は、グローバリゼーション。2つ目は、デジタルトランスフォーメーション。3つ目は、少子高齢化です。特にグローバリゼーションに関しては、世界的に大きなリスクが3つあります。1つ目は地球の環境リスク。2つ目は米中を中心とした地政学リスク、3つ目は情報セキュリティのリスク。その中でも現在最も大きいのは、1つ目の環境リスクだと思います。SDGs経営やESG投資の議論が出てきていますが、地球がサステナブルに成長していくために、日本の大企業もサステナビリティ経営をする必要があります。それをリードするのがCEOであり、CFOとCHROが経営のトライアングルとしてタッグを組んでいきます。企業が地球や社会に優しいサステナビリティ経営を推進するためのエコシステムが、人と組織、カルチャーの創造だと考えています。私たちは、CEOとは「Culture Employee Organization」、つまり「人と組織を開発して企業文化を創造できる」真のリーダーだと定義していますが、そのCEOから権限委譲を受けたCHROが、人財のポートフォリオマネジメントの中で、人財開発のROEを持続的に向上させていかねばならないと感じています。

寺澤 なるほど、人財のROEや企業文化という言葉が出ましたが、確かにその通りですね。グラハムさん、DDI/MSCではその点について、どうお考えになりますか?

グラハム ここ何回かのGLF調査で、一貫してCEOの懸念事項のトップとして上がっているのが、次世代リーダーの育成と企業文化の醸成です。有能なリーダーの下で働く社員のエンゲージメントの高い企業は、往々にして利益率が高いという傾向があります。つまり企業の業績向上のためには、人財を育成する文化や、社員のエンゲージメントを高める文化を創っていく必要があります。
福田 そのなかでも特にCEOが頭を悩ませている課題は、いかに早く優秀なリーダー人財を育成することです。しかし、直近の調査によると、「次期リーダー候補が十分揃っている」と回答した企業は、2011年(グローバル18%、日本9%)、2014年(グローバル15%、日本6%)、2017年(グローバル14%、日本4%)と右肩下がりになっています。つまり、より複雑なビジネス環境下をリードできる人財の供給体制が不十分であるということです。グローバル全体で低い傾向にあるものの、日本は特に顕著で憂慮すべき事態です。

この後、海外のCEOと比べた日本企業の課題、日本の人事部門の
役割などについての話題が続きます。続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

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著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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