次世代経営幹部の選抜と育成はいまだにCEOのトップアジェンダ “新任経営幹部の成功率はわずか10〜20%。80〜90%は、月並みか失敗に終わる。経営幹部になってからの失敗は、企業全体に深刻な影響を与えかねない。”

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

世界最大規模のリーダーシップ・コンサルティング会社であるDDI/MSCが実施した調査によると、グローバルで65%の人事担当者が「将来の人材供給体制が整っていない」と回答している。破壊的イノベーションの時代、経営幹部となるリーダーの選抜・育成は、深刻な課題だ。なぜならば、企業の成長も衰退もそのリーダーに大きく影響されるからである。世界的にリーダーの準備度が著しく低下している中、リーダーの育成を加速させる方法はあるのだろうか。

HRプロでは、世界93カ国でサービスを展開するDDIのバイスプレジデントであるブルース・ワット博士、日本担当ゼネラル・マネジャーのケン・グラハム博士と、DDIと45年以上のパートナーシップを築いている株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)の執行役員 福田俊夫氏に、令和の時代のリーダーシップ、そして次期リーダーの早期選抜・育成方法について話を聞いた。

<インタビュアー>
ProFuture 株式会社 代表取締役社長 寺澤 康介

インタビュー対象者

  • ブルース・ワットPh.D

    ブルース・ワットPh.D.

    DDI (Development Dimensions International,Inc.) バイス・プレジデント

    ブルースは、世界中の多国籍企業に対するコンサルティングの豊富な経験を有し、組織の変革と成長を促すために、組織のポテンシャル人材の発掘、リーダーの自己洞察力とリーダーシップ・スキルの開発を積極的に支援している。ブルースは2000年にDDIに入社し、現在はヨーロッパ、インド、オーストラリアにおけるオペレーション、米国本社のグローバル・センター・オブ・エクセレンスと、世界各国のDDIのパートナー企業との連携強化の責任を担っている。ロンドンに拠点を置き、世界各国の歴史や文化の造詣が深く、地域や人種、文化の多様な環境において、お客様やチームと協働することに長けている。

  • ケン・グラハムPh.D

    ケン・グラハムPh.D.

    DDI (Development Dimensions International,Inc.) 日本担当ゼネラル・マネジャー

    ケンはDDIの日本担当として、5年間の駐在を含め、キャリアの大半を日本市場に重点を置いたコンサルティング業務を行い、DDIの長年のパートナーであるマネジメント サービス センター(MSC)とともにサービスを提供している。産業・組織心理学博士課程、および経営学修士課程修了(M.B.A)。リーダーシップ開発やサクセッション・マネジ メント、その他の人材施策において、20年以上にわたり、大手多国籍企業を支援。複雑なグローバル・タレント・マネ ジメント・プログラムの設計・実施における専門家であり、エグゼクティブ・コーチとしても豊富な経験を有する。

  • 福田俊夫

    福田俊夫

    株式会社 マネジメント サービス センター 執行役員

    クレアモント大学院大学 ピーター・ドラッカースクール オブ マネジメント 経営学修士課程修了(M.B.A)。外資系コンサルティング、外資系半導体企業のHRBPを経て現職。26年余の、リーダーシップ開発、組織開発、サクセッション マネジメントなどコンサルティング経験を有する。現在DDIのソリューションを主に扱うグローバルサービス部の責任者として日系、外資系企業にコンサルテーションを展開。

多様なタレントプールの中から、この戦略を実行できる最適なリーダーを選び出すことが成功の鍵

寺澤 本日はインタビューをお受けいただき、ありがとうございます。今、企業経営を取り巻く環境は、破壊的イノベーションの時代と言われるように、先を見通せない状況にあると言われます。このような状況を、特にリーダーシップにおいてどのように捉えられていますか。
ワット すべての組織に言えることかと思いますが、時代によって事業は変わるものであり、昨日と明日で事業の要件が同じということはありません。それに伴い、リーダーシップも自ずと変わっていくものだと思っています。今、大きな崩壊と転換が起きています。デジタル化の進展、組織のサイロ化を打ち破ろうという動き、そして新たなビジネスの潮流を確立しなければならないということもあります。このような中、今後のリーダーシップのあり方も定義していかねばなりません。こうした環境だからこそ、我々DDI/MSCが企業の皆さま方に効果的なサポートを提供できるのだと考えています。

寺澤 以前は、ある程度先が見通せる環境の中で、リーダーは組織を率いていくことができました。しかし現在、ほんの少し先すら見通せない状況の中で、リーダーシップのあり方は非常に難しくなってきているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

ワット リーダーシップは、今に限らず、どのような時代においても難しいものだと私は考えています。というのも、1人のリーダーが組織のすべてを統括することは不可能だからです。一口にリーダーといってもそれぞれに強みがあり、イノベーションを刺激する環境づくりに長けている人、オペレーションに長けている人、顧客重視の文化醸成に長けている人など、様々なタイプのリーダーがいます。企業はその状況に最もふさわしい、適材適所のリーダーを育成することが大切だと思います。

寺澤 多様性の時代、リーダーシップも多様になっていくということでしょうか。

ワット その通りです。今、リーダーシップに関する仕事は非常にエキサイティングになっていると感じています。かつては、上級リーダーシップに関しては、財務、エンジニアリング、営業、法務といったバックグラウンドを持つ方が多くを占めていました。しかし現在は、より多様なバックグラウンドを持つ人材からリーダーシップを発掘できるようになり、それが会社の力になっています。言い換えれば今は、より広範なタレントプールからリーダーを発掘しなければならない時代だということです。より多くの女性や、多様なバックグラウンドの方々をリーダーに登用していくことが、単に理念のためというだけではなく、企業が事業を継続する上で実際に必要になってきているのです。

寺澤 日本における状況はいかがでしょうか。
グラハム かつて日本企業の多くは、リーダーシップは自然に育つものだという考えのもと、あまり積極的な育成はしてこなかったと思います。しかし現在その状況は変わりつつあり、より能動的なアプローチを取っています。ビジネスの目的のために必要なスキルセットを持つ人材を発掘し、積極的にリーダーシップの育成を行うという方向になっていると感じます。

リーダーの供給不足は、日本のみならず世界的な課題

寺澤 こうした時代の中で、企業のリーダー人材の準備というのはどのような状況になっているのでしょうか。

福田 DDI/MSCでは、リーダーシップに関する世界的な調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」を、2〜3年に1度行っています。その中で、2011年、2014年、2017年と3年ごとに定点観測を行ったところ、「次期リーダー候補が十分揃っている」と回答した企業は、グローバルでは18%(2011年)→15%(2014年)→14%(2017年)と、減少傾向にあります。日本ではさらにこの数値が低く、9%(2011年)→6%(2014年)→4%(2017年)という結果になりました。ご存知の通り、日本人はスコアを低くつける傾向がありますが、ここで重要なのは、世界的な傾向と同じくして、リーダーの準備度が低下し続けていることです。我々は、ここに大きな危機感を感じています。

寺澤 なぜ、このような傾向があるのでしょうか。ビジネスの急速な変化にリーダーのタイプが合致しなくなってきているのか、または、必要なリーダー像が分からなくなってきているのでしょうか。

この後、リーダー人材の選抜手法や、成功する次世代経営人材の育成に不可欠な3つの要素などについての話題が続きます。続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。


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著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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