グローバル化が進み、変化のスピードが加速している昨今、イノベーションを生み出す組織や人を作ることは、多くの企業にとって最重要課題の一つとなっています。なぜイノベーションは生まれにくいのか。「そこには価値観の硬直性という原因が潜んでいる」――そう語る神戸大学大学院経営学研究科 准教授の宮尾学氏は、価値観=ものごとの評価枠組みを転換させることが、イノベーションの創出には不可欠だといいます。本講演では、先進的な企業の取り組み事例を交え、イノベーションを起こすための組織と人のマネジメント手法を解説していただきました。

講師


  • 宮尾 学氏

    宮尾 学氏

    神戸大学大学院経営学研究科 准教授

    1975年兵庫県生まれ。2000年京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻博士前期課程を修了後,サンスター株式会社にて研究開発や商品企画を担当。同社勤務の傍ら,2006年神戸大学大学院経営学研究科専門職学位課程,2010年同博士後期課程を修了し,博士(経営学)を取得。  2011年滋賀県立大学人間文化学部生活デザイン学科助教。2014年より現職。主な研究テーマはテクノロジー・マネジメント,製品開発,イノベーションで,特にイノベーションに対する組織的な抵抗を克服する方法を模索している。著書に『製品開発と市場創造』『ベーシックプラス 技術経営』(共編著)。

イノベーションのための組織と人材のマネジメント

イノベーションが起こらない日本企業の実態

総務省統計局が2018年に行った「科学技術研究調査」によると、2017年に日本企業が拠出した研究費の総額は、約13兆8千億円に上ったとのことです。さらに内訳を見てみると、そのほとんどは基礎研究費でも応用研究費でもなく開発研究費が占めています。では、実際に新しい製品やサービスは生まれているのでしょうか。科学技術・学術政策研究所が2018年に行った「全国イノベーション調査」によると、プロダクトイノベーションを実現した企業の割合は、全体で15%を切っています。つまりあれだけ多くの企業が開発研究費を投入しているにも関わらず、そのほとんどはイノベーションを実現できていないということになります。しかも、市場によって新しいイノベーションを実現した割合に関しては、プロダクトイノベーションを実現した企業の中の、さらに半分以下となっています。全体で15%以下の企業しかイノベーションを実現できていないうえ、その中でさらに新規性の高いものは半分以下しかないということです。このことからもイノベーションを生み出すことは簡単なことではないということがご理解いただけるでしょう。

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