第99回 「働き方改革が気になる」学生は9割──積極的に取り組む企業は採用面でも優位に

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント

ProFuture代表の寺澤です。
6月1日、経団連の指針による面接選考解禁日ということで、土曜日にもかかわらず、多くの大手企業で面接選考が行われました。ただ、実際には、同一企業でも、5月までに「面談」名目で面接が行われていた学生と、まさにこの日が1次面接となる学生が混在していた企業が少なくなかったことでしょう。前者の場合には、この日が確認のための最終面接となり、即日内々定を伝えられた学生も多かったと思われます。

今年、5月に大手企業に訪問していて気づいたことがあります。打ち合わせのために会議室フロアに案内されて目にしたのは、昨年までは「新卒面談控室」「新卒懇談会控室」といった貼り紙でしたが、今年は「新卒面接控室」「新卒最終面接控室」のように堂々と「面接」をうたう貼り紙が散見されたことです。今年は経団連による就活ルール最後の年となったわけですが、もう今年から“廃止”の様相です。

プレエントリーをしない学生が倍増

今回も前回に引き続き、3月18〜25日にかけて2020年卒業予定の大学生(「楽天みん就」会員)を対象として実施した「2020年就職活動状況調査」の結果を紹介します。

就職ナビや企業の採用ホームページを通じたプレエントリー社数を聞いたところ、文系・理系ともに「0社」の割合が伸びています[図表1]
文系は2019年卒7%→2020年卒13%、理系は2019年卒12%→2020年卒19%といった具合です。その分、「1〜20社」の割合を見ると、文系36%(2019年卒40%)、理系46%(同54%)と減少しています。これだけを見ると、プレエントリーの数量は確実に減少傾向にあるとは言えるものの、その他の社数については、ほとんどが横ばいか微妙な差異にとどまっています。また、中には、理系の「41〜60社」では2019年卒8%→2020年卒12%、文系の「101社以上」では2019年卒2%→2020年卒4%のように伸びているところも見られます。

前回の本稿で取り上げたように、インターンシップ参加者には、フォローとして「早期選考会案内」が届いており、プレエントリーをすることなく、選考ステップに進む例が増えていることが、プレエントリー社数「0社」の学生を増やしているものと推測されます。この傾向は今後さらに強くなることでしょう。

「ONE CAREER」「就活会議」が躍進

次に、活用している就職ナビを聞いたところ、依然として「マイナビ」「リクナビ」が2強を形成しているものの、大きな変化が現れています(文系・[図表2]、理系・[図表3])。それは、それぞれのサイトを挙げた学生の割合です。
昨年の調査との比較で見ると、「マイナビ」は文系:73%(2019年卒90%)、理系:69%(同86%)、「リクナビ」も文系:71%(同90%)、理系: 69%(同87%)と、いずれも大きくポイントを落としています。どちらかのサイトだけというわけではなく、ほぼ同様の傾向となっているのです。9割以上の学生が会員登録はしているものの、3月下旬時点で「活用している」かというと、2強をもってしてもそこまでではないということになります。インターンシップからそのまま選考に回る学生も増える中で、昨年6月にインターンシップ情報サイトとしてプレオープンした際には「活用する」サイトでありながらも、今年3月のグランドオープン時点では、もはや「活用する」サイトではなくなりつつあるということです。

そして、もう一つ注目すべきは、「ONE CAREER」と「就活会議」の活用度です。この二つのサイトは、昨年までは選択肢に入っていなかったものの、「その他」サイトを選択した学生に具体的なサイト名の記入を求めたところ、この2サイトの名前が散見されたため、今回の調査から初めて選択肢に含めたものです。そのため、昨年との正確な比較はできないものの、「ONE CAREER」は文系・理系ともに5位、「就活会議」は文系で6位、理系では4位と、「キャリタス就活」を上回る支持を得ています。就職戦線が早期化、分散化するなかで、クチコミサイトの利用度が高まっているようです。

ご存じない方もおられると思いますので、この二つのサイトについて少し紹介しておきましょう。「ONE CAREER」は、株式会社ワンキャリアが運営し、テクノロジーを駆使してユーザーの行動データを蓄積・解析し、最適なマッチングを行うとうたっています。エントリーシートや体験談を掲載するクチコミサイトで、上位校と呼ばれる学校群での会員登録率が高いのも特徴となっています。

「就活会議」は、株式会社リブセンスが運営するクチコミサイトで、社員や元社員のクチコミのほか、先輩のエントリーシートや選考体験記を確認できるサイトです。会員登録は大学支給のacドメインのメールアドレスに限定されるなど、えせ学生の登録を排除するつくりになっています。

その他、今回から選択肢に加えた「外資就活ドットコム」も、文系で17%、理系で10%と比較的利用度の高い位置を占めています。

また、前述のプレエントリー社数で「0社」が増えているのと同様、「就職ナビは利用していない」割合も、文系で1%→4%、理系で2%→7%へと増えています。目当ての企業が決まっている場合には、直接その企業の採用ホームページからプレエントリーする学生が増えていることも、就職ナビの利用度が落ちている一因でしょう。

著者プロフィール

ProFuture代表 HR総研所長 寺澤 康介

1986年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、15年にProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。2012年、HR総研所長に就任。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』『経営と人事 対話のすすめ』、編著に『経営を変える、攻めの人事へ』(いずれもProFutureより出版)などがある。

※『採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント』は、WEB労政時報に寄稿した原稿を約2週間遅れで転載しておりますので、内容的に時差が生じる場合があります。ご了承ください。
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