3月下旬時点での面接社数は大きく伸びる

次に、面接を受けた社数を見てみましょう[図表4]。「0社」、つまり3月下旬の時点でまだ1社も面接を受けていない(インターンシップの事前選考面接を除く)学生の割合は、文系で31%(2019年卒43%)、理系では25%(同39%)と、前年と比較して10ポイント以上の減少となっています。「1社」だけという学生も微減です。
第99回 「働き方改革が気になる」学生は9割──積極的に取り組む企業は採用面でも優位に
それに対して、「2社」は文系:12%(2019年11%)、理系:17%(同14%)、「3社」は文系:11%(同9%)、理系:17%(同7%)、「4~5社」は文系:16%(同9%)、理系:11%(同8%)、「6~10社」は文系:7%(同5%)、理系:6%(同4%)と軒並み増加しています。

昨年と比較しての内定率の伸びが盛んに報道されていますが、学生の面接にかける活動量の伸びがそれを後押ししていると言えます。

理系の内定率は10ポイントのアップ

次に、内定の有無について見てみましょう[図表5]。文系と理系では内定率に差が出ており、文系は2019年卒19%→2020年卒23%と4ポイントのアップにとどまるものの、理系は同22%→32%と10ポイントもの伸びを見せています。昨年調査では、文系と理系の内定率の差は3ポイントしかなかったのに対して、今年は9ポイントもの開きとなっています。理系の進捗の速さは、それだけ文系より争奪戦が激しいことを物語っています。
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内定社数を見てみると、文系と理系でまた違う傾向が見られます[図表6]。文系・理系ともに、まだ「1社」という学生が最多であるものの、内定を持っている学生の中での割合で見ると、文系の57%に対して、理系は75%にも及びます。
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例年、文系と理系では内定社数については傾向が異なります。ただし、それは6月以降の調査の場合です。文系と理系の内定社数の大きな違いは、推薦制度に起因します。理系の選考でまだ多く残る推薦制度を利用する場合、同時に複数企業を受験することは認められません。推薦制度を利用して内定が出たら、基本的にはその企業に決めなくてはならないわけです。大学受験における「単願推薦」みたいなものです。

推薦による選考は、本来は6月1日以降とされていますが、現実には指針の対象外である博士に混ざって修士の選考が進められることがあるほか、専攻学科系統や、送り出す大学側の対応によっても時期が異なります。企業がいくら前倒しで選考を進めようとしても、送り出す側の大学が早く推薦を出さないことには始まりません。推薦制度による内定出しも例年よりも早く進行しているフシがあります。つまり、今年は大学側も例年よりも早く推薦を出しているところが多そうということです。

複数の内定を持っている場合でも「2社」とする学生が最も多いわけですが、この時期にすでに「4社以上」という学生が文系で11%、理系でも7%もいることに驚きます。さらに、「10社以上」と回答している学生も文系で5%、理系でも1%います。この時期でここまで来ると、内定社数を伸ばすことをゲームのように考えているとしか考えられません。

「Facebook」はもはや過去のサービス?

ここからは就職活動量とは少し違った角度から学生の志向を確認してみたいと思います。

まずは、就職活動に限らず、普段の生活でどんなSNSを利用しているのか[図表7]。文系と理系における順位は、くしくもまったく同じとなりました。
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トップは予想どおり「LINE」ですが、その利用度は文系で76%、理系では71%にとどまります。「LINE」は今やインフラの域にまで達していることから、学生においては9割を優に超える利用度を予想していましたが、7割強というのは意外な数字です。2位は「Twitter」で利用度は文系・理系ともに約6割、3位は「Instagram」ですが、文系53%に対して理系は41%と10ポイント以上の開きがあります。4位がようやく「Facebook」ですが、その利用度は文系・理系ともに約2割にとどまります。日本においてもかつては最も利用されていたSNSでしたが、今の学生世代ではここまで低迷してしまっているのです。

別の設問で企業が開設している「Facebook」による採用ページを見たことがあるかを聞いてみたところ、文系・理系ともに8割以上の学生が「見たことがない」と回答しています。普段の生活でも利用していなければ当然の結果です。数年前には、「Facebook」での採用ページ開設がブームになったものですが、もはや過去のものとして考えたほうがよいでしょう。「Facebook」採用ページの更新に注力するよりも、もっと他にやるべきことがありそうです。

働き方改革が気になる学生たち

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