タケダのグローバル化への挑戦

ワークスアプリケーションズが主催する日本最大級のビジネスカンファレンス 『COMPANY Forum 2017』 講演録

製薬企業国内最大手の地位に甘んじることなく、ブレークスルーを起こしてイノベーションのパイオニアとして先陣を切るタケダ。長谷川氏は、2003年の代表取締役社長就任以降、同社の230年の歴史や経営の根幹となる価値観を尊重しつつ、自らが先頭に立ち、企業買収、事業のパラダイムシフト、外国人の登用など、タケダを事業のあらゆる面でグローバルに競争力のある会社にすべく変革を推し進めてきた。長谷川氏が、経営の基本精神である「タケダイズム」を軸に力強いリーダーシップを発揮しながら、真のグローバル企業へと成長するための基盤をつくりあげてきた軌跡と、同社初の外国人社長クリストフ・ウェバー氏にバトンをつないだ今後のタケダの成長シナリオについて語る。


--------------

長谷川 閑史 氏
武田薬品工業株式会社 相談役

--------------

第4次産業革命に必要な教育とは

チャールズ・ダーウィンの進化論によると、強いものが生き残っているわけではなく、変化に適応できたものが生き残っているといいます。

これは経営者、企業にとっても当てはまる言葉だと思います。変化の激しい時代において、ただじっと待つだけで何もしないことが最大のリスクになる、ということをいつも念頭に置いてやってきました。

かつて、ファースト・マシン・エイジという時代がありました。1775年、ジェームズ・ワットによる蒸気機関の発明が、人間の労働を機械に代替化した時代です。今はセカンド・マシン・エイジと言われ、デジタライゼーションとAIの発展が、人間の頭脳労働を機械に代替化しています。産業革命的にいえば、第4次産業革命です。大量の情報を基に、AIが自ら考え、最適な行動をとる、という自律的な最適化が可能になってきています。

そのなかで企業、国家の命運を左右する一つのファクターが、AIとロボティクスです。AIを搭載したロボットが、どういう形で経済、世界の発展をけん引していくかに今注目が集まっています。

AI搭載スピーカーなど、AIが企業のみならず家庭にも進出してきています。チェス、将棋、囲碁では、AIが人間のトッププレイヤーに勝利しています。では、AIが、コンピュータが人間を超えることができるのか?というと、それは分かりません。いずれにせよ、AIを制すものが世界を制す、といわれる時代になってきました。取り組むべき課題はいくつもあります。そんな時代の働く世代に対し、どのような教育をやっていけばよいのでしょうか?

たとえばイスラエルでは、2000年からプログラミング必須化の対象年齢を広げた結果、起業家の増加につながっています。アメリカでは、IBMのジニー・ロメッティが、2011年に6年生高校を設立し、300社の提携企業と6州60校が協力し、高卒の資格からさらに2年間で、準博士号取得まで可能なカリキュラムを創設しています。他の企業でもエンジニアやプログラマーが立ち上がって、学校に教えに行ったりしています。

このような自発的な行動は、日本ではまだあまり起こっていません。これから人口減少が加速していく日本は、圧倒的に少なくなっていく若い働き手たちを、どうやって精鋭に育てていくかが課題です。政府だけでなく、企業、個人にもできることをやっていくことが大切だと思います。

上場していないが10億ドル以上の企業価値があるユニコーンといわれるベンチャー企業は、今世界で200社以上あります。そのうちアメリカが約半分を占め、日本はわずか1社しかありません。起業率が低い日本の現状はいまだに解決されていません。

著者プロフィール

武田薬品工業株式会社 相談役 長谷川 閑史

1970年早稲田大学政治経済学部卒業後、武田薬品工業入社。医薬国際本部長、経営企画部長を経た後、1999年取締役、2003年代表取締役社長、2014年 6月に代表取締役会長に就任。2015年から 2017年まで、同社の取締役会長を務めた。シカゴにてTAPファーマシューティカル・プロダクツ(米アボット・ラボラトリーズ社との合弁会社)の社長を歴任するなど、米国生活は延べ10年を数える。2011年から2015年まで経済同友会代表幹事、2013年から2014年まで産業競争力会議民間議員も務めた。

HRサミット2018 アフターレポート公開中

関連リンク