第10回 総括(働き方改革を振り返る、今後の働き方改革、2020年に向けて)

日本企業が取り組むべき「働き方改革」実現に向けて

第1回から第9回まで働き方改革実現に向けて考慮すべき事項を挙げてきたが、最終回となる今回は、今後の働き方改革の動向についてお話しする。

直近のゴールは2020年? 「テレワーク・デイ」は実現するのか

総務省の「2020年に向けたテレワーク国民運動プロジェクト」などにみるように、政府はオリンピックイヤーである2020年を「働き方改革」のひとつの節目としている。
そこでまず、この2020年に向けた取り組みに目を向けてみることにする。

■過労死について
「第7回 長時間労働(前編)」で紹介したが、「KAROSHI(過労死)」は英語の辞書にも掲載されている。
またフランスでは、「KAROSHI REPORT」というWebページも存在しており、世界的な日本の働き方に対しての評価はとても低いのが実情だ。
こうした不名誉なイメージを払拭するため、政府はプレミアムフライデーを呼びかけているが、取引先との兼ね合いや、社内のリソース不足などから対応できていない企業も多い。
36協定も残業時間を減らすツールの一つであるが、カンフル剤になるかは今後もウォッチしていきたいところである。

■テレワークについて
働き方改革の実現に向けた取り組みや、世界最先端IT国家創造宣言のように、2020年までのKPIを示すなど、政府は多岐にわたる施策を打ち出している。
以下に政府が掲げる様々な方針を記載する。

世界最先端IT国家創造宣言工程表2020年には、テレワーク導入企業を平成 24 年度比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の 10%以上にし、また、こうした取り組みを含めた女性の就業支援等により、第一子出産前後の女性の継続就業率を 55%、25 歳から 44 歳までの女性の就業率を73%まで高める。
働き方改革実行計画 (工程表)雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援
(労務管理に関するガイドラインの刷新)
企業がテレワークの導入に躊躇することがないよう、以下の事項を明確化し、活用しやすくする。
・テレワーク導入に当たって、携帯電話を持っていても事業場外みなし労働時間制を活用できる条件や、フレックスタイム制、裁量労働制、事業場外みなし制の利用方法の明確化
・中抜け時間や部分在宅等の場合における移動時間の扱い等の整理
・長時間労働対策の追加(深夜労働の制限や深夜・休日のメール送付の抑制等の長時間労働対策例を推奨)

(周知啓発、率先垂範)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、特定の日にテレワークを実施するテレワーク・デイの設定など、関係省庁が連携して国民運動としてテレワーク推進を図る方策を検討し、実施する。また、地域での周知啓発を強化するとともに、表彰制度などでテレワーク等への取組に評価加点を行う。


また、ふるさとテレワークについても述べておきたい。
今年度も「平成29年度予算ふるさとテレワーク推進事業」の公募が行われた。
地方創生は安倍内閣における重要課題であり、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)」(平成28年12月22日閣議決定)においては、「2020年時点で東京圏から地方への転出・転入を均衡」させ、「東京一極集中」の流れを止めることを目指すことが基本目標の一つとして掲げられている。
補助事業に係る事業費の下限は100万円、上限3,000万円の定額補助となっているが、物品などの購入費当、一部の費目によっては補助額1/2以内というものもあり、あらかじめ資金がある程度なければ参加は難しい。事業が終わっても継続して利用できるようにするには、コンソーシアムを纏める団体が強いリーダーシップを発揮することも重要だ。

第2回で登場した岐阜県郡上市・茨城県のその後についてお話しする。
昨年度ふるさとテレワークに採択された岐阜県郡上市は、モデルテレワークオフィスを完成させ、イノベーションが生まれる施設へと見違えるほど変貌した。
モノづくりを行うシェアオフィスの入居企業とコワーキングスペースでデザインの仕事をするクラウドソーシングワーカーがコラボして新たな製品を生み出した例も出てきており、「神山モデル」を超えていると絶賛される事も多くなった。

地方で成功するためには「きっかけ」と「コラボレーション」が必要である。
企業単独ではメリットが得られないと判断する前に、茨城県北クリエイティブプロジェクトの見学をおすすめしたい。シェアオフィスの整備、クリエイターやクリエイティブ企業等をサポートすることで、双方にメリットが出る仕組みができているのだ。また、茨城県では、今年度トライアル移住・二地域居住に取り組む東京圏の企業の募集が本格スタートした。郡上市同様、事業が終了する来年度以降も引き続き、二地域居住のロールモデルになることを期待したい。

ふるさとテレワークは横展開が難しい施策と言われているが、新たなモデルが確立し、KPIに到達できる日はそう遠くは無いであろう。

著者プロフィール

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスタイル変革 ディレクター 家田 佳代子

自身が母親の介護のため介護離職を経験。務めていた会社を退職した後、半導体メーカーにて、いつでもどこでも業務が出来るようテレワークシステムを導入、介護をしながら業務を可能にする。その後、鉄道系ICカード会社にて情報セキュリティ責任者に就任、各業界で活躍しているスタッフが集結し起業。女性支援会社を設立し代表取締役社長兼CEOを務めた後、2014年パーソルプロセス&テクノロジーに参画し、様々な企業のテレワークの導入や地方創生の一貫としてサテライトオフィスでの実証実験の実施、また多くの講演会に登壇し、テレワークにおける課題や解決策を解説。

テーマ別特集「HRテクノロジー」

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