日本企業が取り組むべき「働き方改革」実現に向けて第7回 長時間労働(前編) | 採用、育成・研修、労務・人事に関する情報ならHRプロ

人事にプロのサポートを―新卒採用、中途採用、人材育成、研修、人材マネジメント、労務、人事システム、適性検査ならHRプロ

  • 11/21開催:キャンリクフォーラム 大学と企業の合同相談会2017
日本企業が取り組むべき「働き方改革」実現に向けて

第7回 長時間労働(前編)

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスタイル変革 ディレクター 家田 佳代子
2017/02/28

今回は、昨今話題になっている「長時間労働」について、掘り下げてみる。
長時間労働の是正は第1回でお話した通り、内閣府が掲げる「働き方改革」の重点課題としてあげられている。
ここで残業時間と深くかかわる「36(サブロク)協定」の話をしよう。
皆さんは「36協定とは?」という問いに正確にこたえられるだろうか。
用紙にサインをしたことはあっても、具体的にどのようなものなのか気にしたことはないのではないだろうか。

36協定とは、労働基準法第36条を根拠とした「時間外・休日労働に関する協定届」のことである。


労働基準法第36条
「労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない」
会社が法定労働時間以上の残業や法定休日出勤を従業員に課す場合には、労働組合と使用者が「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結し、別途「36協定届」を労働基準監督署に届け出ることになっている。
なお、「36協定届」に労働者代表の署名、又は押印がある場合は協定書と届出書を兼ねることができる。

36協定は、労働者が1人であっても法定の労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合や法定の休日に労働(法定休日労働)させる場合には届け出が必要であり、全企業が対象の協定である。

もしこの「36協定届」を労働基準監督署に届け出ずに従業員に時間外労働をさせた場合、労働基準法違反となり、第32条(労働時間)または第35条(休日)の違反となり、第119条(罰則)により「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の処罰の対象となる。

では、実態はどうだろうか。
日本商工会議所の「時間外労働規制に関する意識調査」集計結果によると、36協定を締結していない企業は26.7%もある。なお、36協定を締結している企業の内、「特別条項付き36協定(※1)」の届出をしている企業は約半数の50.6%となった。業種別でみると情報通信・情報サービス業が73.4%と多く、介護・看護業が11.1%と最下位である。
(※1 「特別条項付き36協定」とは、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を結ぶことにより、限度時間を超える時間を延長時間とすることができる。具体的には、従来の限度時間を超えることが恒常的ではなく、一時的・突発的なものであるというような、特別の事情がある場合に限られる。限度時間を超える場合の上限回数についても、1年の半分を超えないこと、という制限が設けられている。)

次に、上記のような特別な条件のもと、一時的・突発的なものという制限付きで事実上残業を認めている36協定について、「残業時間に上限規制」を導入し36協定を見直すというニュースが流れていたが、これについてはどうだろう。

36協定を締結している企業の内、実に40.7%が「反対」と言う結果が出ている。
反対の理由としては、「特別条項の存在だけが長時間労働の原因ではない」というもので、お客様の対応や突発的な対応が多い業種では、「人手不足」が解消しないと「長時間労働」の解消も難しい、というのが現状なのである。

企業を視点に考えると、会社と労働者代表が合意をして労使協定を締結した場合は、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて働かせることができ、特別な事情があれば、限度時間をさらに延長して働かせることができる。だが、従業員視点では不利益になりかねない条文となっているのだ。

では、根本解決の為にはどうすればいいのだろうか。まずは、長時間労働や時間外労働が発生する理由を洗い出してみよう。
一番は「業務量が多い、人員が足りない」ということであるが、裏を返せば業務量を減らすか人を増やす、という措置をとれば自社で解決できる場合が多い。
次に多いのが「顧客からの予定外の仕事が突発的に発生する、仕事の〆切や納期が短い」など、他社に起因する理由によるものだ。この場合は、業務量を減らすのはなかなか難しい。
世の中ではブラック企業という名が広まり、「KAROSHI」と言う単語が英語の辞書に掲載されていることからも、何も変わっていないのが現状である。

とはいえ、昨今問題となっている過労死を防止するための措置は急務であり、ワークライフバランスの実現や生産性の向上、女性活躍推進等とは別建てで考える必要があるだろう。

以下に関連法令を示す。

過重労働対策(過労死等予防対策)
労働基準法(昭和22年法律第49号)
第32条〜第33条 (労働時間)
第34条 (休憩)
第35条 (休日)
第36〜38条 (時間外・休日労働)
第38条の2〜第38条の4 (みなし労働時間制)
第39条 (年次有給休暇)
第40条 (労働時間等特例)
第41条 (労働時間等に関する規定の適用除外)

労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)
第12条〜第14条 (労働時間)
第15条・第31条〜第33条 (休憩) 第16条〜第21条 (時間外・休日労働)
第24条〜第24条の2の5 (みなし労働時間制)
第24条の3・第25条 (年次有給休暇)
第25条の2・第25条の3 (労働時間等特例)
第23条・第34条 (監視又は断続的労働)

•時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)
•労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(平成13年4月6日付け基発第339号)

•労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)
第6条 (労働時間等の設定の改善の実施体制の整備)
第7条 (労働時間等設定改善委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例等)

•労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則(平成4年労働省令第26号)
第1条・第2条 (労働時間等設定改善委員会)
•労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針(平成22年12月9日一部改正)
•労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の施行について(平成18年4月1日付け基発第0401006号)
•労働時間等設定改善指針の改正について(平成20年4月1日付け基発第0401023号)


次回は長時間労働(後編)対策についてご紹介する。
  • 1

プロフィール

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスタイル変革 ディレクター 家田 佳代子

自身が母親の介護のため介護離職を経験。務めていた会社を退職した後、半導体メーカーにて、いつでもどこでも業務が出来るようテレワークシステムを導入、介護をしながら業務を可能にする。その後、鉄道系ICカード会社にて情報セキュリティ責任者に就任、各業界で活躍しているスタッフが集結し起業。女性支援会社を設立し代表取締役社長兼CEOを務めた後、2014年パーソルプロセス&テクノロジーに参画し、様々な企業のテレワークの導入や地方創生の一貫としてサテライトオフィスでの実証実験の実施、また多くの講演会に登壇し、テレワークにおける課題や解決策を解説。

2019卒版 インターンシップ プログラム作成完全マニュアル申込受付中