2023年新卒採用活動ではターゲット層の変化が拡大する中、就職活動に励む23卒学生たちは、どのような就職活動を行ってきたのだろうか。
HR総研と楽天みん就は、2023年卒学生の就職活動の動向調査を実施した。その結果について、「就職活動編」と「就職意識編」の2回に分けて報告する。
今回は「就職意識編」として、応募企業の選定で重視する項目、内定承諾することへの不安、入社先へのイメージなど、様々な項目に関する調査結果についてフリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●文系は「社員/人事の人柄・対応」などソフト面を重視、理系は「業種」など仕事内容に直結する項目を重視
●学生の9割が「面接官の印象は入社志望度に影響する」
●文系は「企業規模は問わず」、理系は「大手志望」が多い傾向
●文系の6割、理系の半数が内定承諾の決断に不安を抱く
●半数以上が「入社に向けた不安」を持つ、不安の内容は?
●就職活動に対する所感、「大変だった」が過半数、文系では6割近く
●入社に不安が無い学生は「社員を大切にしている」、「社員が生き生きしている」のイメージが高い傾向

文系は「社員/人事の人柄・対応」などソフト面を重視、理系は「業種」など仕事内容に直結する項目を重視

まず、2023卒学生が「応募先企業を探す際に重視する点」について見てみる。
文系では「仕事内容」が最多でそれぞれ58%となっており、それに次いで「給与・待遇」が56%、「休日・休暇・残業」が53%などとなっている。理系では「給与・待遇」が最多で61%、これに僅か1ポイント差で「仕事内容」が60%、「福利厚生」が57%などと続いている(図表1)。
また、文系・理系で傾向が異なる項目に注目してみると、「社員の人柄・対応」「社風・企業文化」「人事の人柄・対応」等については文系の方が理系より割合が高くなっており、ソフト面を重視している傾向がうかがえる。一方、「業種」「製品・サービス」「専攻・自分の強みとの関連性」等については理系の方が文系より割合が高くなっており、直接的に仕事内容に繋がる要素を重視していることがうかがえる。

【図表1】文理別 応募先企業を探す際に重視する点

HR総研×楽天みん就:2023年卒学生就活動向調査(6月)【就職意識編】結果報告

学生の9割が「面接官の印象は入社志望度に影響する」

次に、「面接官の印象による入社志望度への影響」については、「非常に影響した」が文系で56%、理系で47%と、文系では6割近く、理系では半数近くの学生が、面接官の印象による入社志望度への影響を強く感じている。また、「影響した」(それぞれ38%、42%)までを含めると、文系で94%、理系で89%と9割前後の学生が影響を感じている結果となる(図表2)。
この結果を見ると、企業は面接官の印象が自社の採用活動に大きく影響していることを、強く意識しておく必要があるだろう。

【図表2】文理別 面接官の印象による入社志望度への影響

HR総研×楽天みん就:2023年卒学生就活動向調査(6月)【就職意識編】結果報告

文系は「企業規模は問わず」、理系は「大手志望」が多い傾向

「入社を志望する企業規模」については、文系では「企業規模は最初から問わなかった」が最も多く41%、次いで「最初から大手志望で、最後まで変わらなかった」が33%、「最初から中堅中小・ベンチャー志望で、最後まで変わらなかった」が11%などとなっている。一方、理系では「最初から大手志望で、最後まで変わらなかった」が最多で49%とほぼ半数、次いで「企業規模は最初から問わなかった」が31%などとなっている(図表3-1)。
理系の方が文系より大手志向であることは例年の傾向と同様となっている。

【図表3-1】文理別 入社を志望する企業規模

HR総研×楽天みん就:2023年卒学生就活動向調査(6月)【就職意識編】結果報告

就職活動を開始した当初は大手志望だったものの、継続する中で「大手志望だったが、途中から中堅中小・ベンチャー志望に変わった」とする学生について、その理由をフリーコメントで得られたため、主なものを抜粋して以下に紹介する。(図表3-2)。

【図表3-2】「大手志望だったが、途中から中堅中小・ベンチャー志望に変わった」理由(一部抜粋)

「大手志望だったが、途中から中堅中小・ベンチャー志望に変わった」のきっかけ大学区分文理区分
自分の能力が発揮されやすいため旧帝大クラス理系
業界理解のために中小ベンチャー企業の説明会を複数受けたこと早慶大クラス文系
大手企業を目指す方は、もっと就活準備を行っていると理解したため早慶大クラス文系
深掘りした時に、やりたい仕事内容を重視したいと考えるようになったため、大手にこだわらなくなったその他私立大文系
大手だと自分の希望の働き方に合わないと感じたためその他国公立大理系
大手よりも中小の方が裁量を持って働けると感じた。大手はポテンシャルが高い人が多く、埋もれてしまうと感じたから上位私立大理系
調べていく中で、大手以外にも沢山面白い会社があることに気づいたため。また、大手の倍率が異常に高いため大手のみは危険だと感じたため旧帝大クラス理系
最初は知っている企業に興味が向きがちだったが、企業のネームバリューや規模感だけが大切でないと感じた上位私立大文系
軽い気持ちで中小企業やベンチャー企業の会社説明会に参加した際に、それまで自分が抱いていた企業のイメージと異なり、好印象を受けたことがきっかけで変わった上位国公立大文系
大手は数ある企業のほんの一部であると知ったから早慶大クラス文系
大手の方が安定していると思っていたが、中小企業の会社さんの社員さん方の雰囲気がとても良く、逆に大手の会社は、厳しい雰囲気のところが多いと感じたから、大手でなくても良いと考えるようになった中堅私立大文系
大手は人事、先輩の対応が冷たい人が多く、選考中に志望度が下がっていった。圧迫と感じることもあった旧帝大クラス理系

文系の6割、理系の半数が内定承諾の決断に不安を抱く

就職活動中の学生にとって内定を得られない日々が続くと不安が募ることは言わずもがなである中、内定を得ることができた学生も、手放しに喜び安心しきることができるわけではないようだ。少なくとも1社から内定を得た学生に対し、「内定承諾を決断することに対する不安があるか」について聞いてみたところ、文系では61%と6割、理系では49%とほぼ半数の学生が「不安がある(あった)」としている。少なくとも半数程度以上の学生が内定承諾に不安を抱えており、中でも文系の方が理系より不安を感じる学生が多い傾向にある(図表4-1)。
また、内定承諾に関する不安の相談相手については、文系・理系ともに「親、兄弟などの親族」でそれぞれ75%、73%となっている。次いで「友人・知人」が67%、72%、「大学の教授・キャリアセンター」が30%、33%などとなっている(図表4-2)。

【図表4-1】文理別 内定承諾の決断への不安

HR総研×楽天みん就:2023年卒学生就活動向調査(6月)【就職意識編】結果報告

【図表4-2】文理別 内定承諾に関する不安の相談相手

HR総研×楽天みん就:2023年卒学生就活動向調査(6月)【就職意識編】結果報告

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研×楽天みん就】2023年卒学生就活動向調査(6月)        
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、楽天みん就(楽天グループ株式会社)
調査期間:2022年6月6~17日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2023年卒業予定の「楽天みん就」会員学生
有効回答:2,052件

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詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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