HR総研と楽天みん就は、2023年卒学生を対象にした就職活動の最新動向を調査した。コロナ禍でのオンラインを活用した就職活動が定着しつつある中、学生は、どのような就職意識を持ちながら就職活動を行っているのだろうか。
本調査結果について「就職活動編」と「就職意識編」の2本に分けてレポートする。2本目の本レポートでは、23卒学生の「就職意識編」についてフリーコメントを含めて報告する。

<概要>
●就職活動を意識し始めた時期、やや前倒しの傾向
●23卒学生が「就職したい業界」、22卒と顕著な変化は見られず
●23卒学生が「就職したくない業界」、今年は文理とも「外食」がトップ
●「転職してもよい」は文系で6割以上、将来就きたいポジションは?
●志望企業の検討で最重視項目、「仕事の魅力」と「会社の魅力」で8割近く
●志望職種への理解度、文系がやや低い傾向
●「SDGs」とともに「健康経営」への関心度7割
●「在宅勤務の推奨」に賛成派が圧倒的

就職活動を意識し始めた時期、やや前倒しの傾向

まず、2023年卒学生が「就職活動を意識し始めた時期」を見てみる。
文系・理系ともに「学部3年生4月〜5月」が最も多く、文系28%、理系27%となっており、「学部3年生5月」以前に意識し始めた学生の割合はそれぞれ51%、42%となり、文系では過半数、理系でも4割以上に上っている。この割合は、昨年3月に実施した「2022年卒学生の就職活動動向調査」の結果(以降、22卒調査の結果)である文系39%、理系32%の1.3倍ほどになっており、就職活動を意識し始める時期が、昨年より前倒しされていることがうかがえる(図表1-1)。
自身の就職活動に対する所感を見ると、「不安を感じている派」(「不安である」と「やや不安である」の合計)は文系で57%、理系で49%となり、文系の方が不安を感じている学生の割合が、高いことがうかがえる(図表1-2)。

【図表1-1】文理別 就職活動を意識し始めた時期
【図表1-2】文理別 就職活動への所感
学生が就職活動に不安を抱く理由としては、「面接が苦手だから」が文系・理系ともに最多で、それぞれ58%、59%となっている。これに次いで「内定を得られるか不安なので多くの企業にエントリーする必要がある」(51%、46%)、「エントリーシートが大変そう」(42%、31%)などとなっている(図表1-3)。

【図表1-3】文理別 就職活動が不安の理由

23卒学生が「就職したい業界」、22卒と顕著な変化は見られず

「就職したい業界」としてベスト10にランクインした業種を見てみる。
まず、文系では「総合商社、専門商社」がトップで20%、次いで「情報処理、システム開発」が18%、「通信、ネットワーク」が16%などとなっている。この上位3項目を22卒調査の結果と比べると、総じて大きな変化は無いものの、3位については22卒で「建設、住宅、不動産」(15%)から23卒では「通信、ネットワーク」(16%)に入れ替わりが見られる(図表2-1)。
理系では「情報処理、システム開発」がトップで25%、次いで「電機機器、電気電子部品」が21%、「紙、パルプ、化学、素材」と「医療、福祉、その他」がともに19%などとなっている。文系と同様に22卒調査の結果と比べると、理系も総じて大きな変化は無く、3位については22卒の「機械」(19%)から入れ替わっている(図表2-2)。

【図表2-1】文系 就職したい業界ランキング(ベスト10、22卒と比較)
【図表2-2】理系 就職したい業界ランキング(ベスト10、22卒と比較)

23卒学生が「就職したくない業界」、今年は文理とも「外食」がトップ

次に、「就職したくない業界」についてワースト10を見てみる。
まず文系では、突出して多いのが「外食」で29%、22卒の25%からも微増している。次いで「医療、福祉、その他」と「メガバンク、信託銀行」がともに15%となり、22卒調査の結果とほぼ同等となっている(図表3-1)。
理系でも「外食」が最多で25%となり、22卒の23%から微増している。次いで「人材、教育」が21%、「ホテル、旅行」が16%などとなっている。「ホテル、旅行」については22卒の24%(ワースト1位)から8ポイント減らして3位に後退している(図表3-2)。
就職したくない業界として上位に挙がる業界は、特にコロナ禍で重大な影響を受けた(受けている)ことが影響していると思われ、平時だけでなく有事においても安定的な事業の継続が見込める業界や企業であることが、就職先を検討する際の重要なポイントになっていることがうかがえる。

【図表3-1】文系 就職したくない業界ランキング(ワースト10、22卒と比較)
【図表3-2】理系 就職したくない業界ランキング(ワースト10、22卒と比較)

「転職してもよい」は文系で6割以上、将来就きたいポジションは?

就職志望先の企業規模と就職後のキャリア観について聞いてみた。
まず、「就職を志望する企業規模」については、文系で「できれば大手企業に行きたい」が最も多く41%、「絶対大手企業に行きたい」の11%と合わせると52%と半数強が「大手志向」となっている。一方、「企業規模は問わない」は29%と約3割に上っている。22卒では「大手志向」が47%、「企業規模は問わない」は31%であるのと比べると、顕著な差異は無いものの、文系学生の中で大手志向の微増傾向も見られる。
理系でも「できれば大手企業に行きたい」が最も多く45%、「絶対大手企業に行きたい」の19%と合わせると64%と6割以上が「大手志向」となっており、文系より12ポイント高く、例年どおり理系の大手志向が強いことがうかがえる。一方、「企業規模は問わない」は25%で4分の1程度となっている。22卒調査の結果と比較すると、「大手志向」は22卒の75%に対して23卒では9ポイント低下し、逆に「企業規模は問わない」は22卒の16%に対して23卒では9ポイント高くなっており、理系では大手志向の微減傾向が見られる(図表4-1)。

次に、「今後の就業における転職・起業への意識」について見てみる。
「最初の会社で定年まで働きたい」の割合は、文系の35%に対し、理系では43%となり、文系より理系の方が、最初の会社への思い入れが強いことが読み取られる。一方、「転職してもよい」(「3回くらいまでなら転職してもよい」と「回数にこだわらず、転職してもよい」の合計)は、文系62%、理系54%で、文系の方が、すでに転職に対する前向きな意識を持つ傾向にある。「起業」は、文系・理系関わらず5%未満にとどまっている(図表4-2)。

【図表4-1】文理別 就職を希望する企業規模
【図表4-2】文理別 今後の就業における転職・起業への意識
さらに、「将来、就きたいポジション」については、文系・理系ともに最多は「事業部長・部長」で、それぞれ30%、34%となっている。経営層である「社長」及び「取締役・執行役員」を目指す学生は文系23%、理系24%となり、文系・理系に関わりなく2割程度にとどまっている。「専門職」については文系7%、理系11%とともに1割前後にとどまっているものの、専門性を活かしやすい傾向にある理系の方がやや高くなっている。

【図表4-3】文理別 将来、就きたいポジション

志望企業の検討で最重視項目、「仕事の魅力」と「会社の魅力」で8割近く

「志望企業を検討する際に、最も重視すること」については、文系・理系ともに「仕事の魅力」が最多で、それぞれ41%、49%となっている。次いで「会社の魅力」が同34%、30%で、これら2項目で8割近くを占めている(図表5-1)。

【図表5-1】文理別 志望企業を検討する際に、最も重視すること
「仕事の魅力」の中での内訳を見ると、「仕事が面白そう」が最多で文系・理系それぞれ34%、37%となっており、次いで文系では「勤務地を選べる」が20%、理系では「希望する職種につける」が20%などとなっている。理系では、大学で得られた専門性の高い知識やスキルを活かせる職種を選ぶ学生が多いため、「職種」に対する想いが強い傾向にあることが推測される(図表5-2)。

【図表5-2】文理別 「仕事の魅力」の中で、最も重視すること
「会社の魅力」の中での内訳を見ると、「安定している」が最多で文系・理系それぞれ42%、31%となっている。これに次いで文系では「経営者・ビジョンに共感」が19%、「成長性が高い」が17%となる一方、理系では、「成長性が高い」の23%とほぼ同等で、「技術力・サービスが優れている」が文系よりも15ポイントも高い22%となっている。逆に、「経営者・ビジョンに共感」は文系の半分以下の8%にとどまるなど、「会社の魅力」の重視ポイントについては、文系と理系で異なる傾向が見られる(図表5-3)。

【図表5-3】「会社の魅力」の中で、最も重視すること

志望職種への理解度、文系がやや低い傾向

「自身が持つ専門性を活かして働きたいと思うか」について見てみると、文系では「専門性や文系・理系の特徴を活かしたいと思わない」が最多で31%であるのに対して、理系では「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が最多で40%を占め、文系(26%)より顕著に高くなっている。理系では、「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」と、さらに専門性の高い仕事を希望する割合は24%で、文系(10%)の2倍以上の割合となっている。これらを合計すると、理系では「専門性を活かして働きたい」とする割合は64%と6割を超え、「明確なイメージはなく、文系または理系であることを活かしたい」(10%)まで含めると、74%と7割以上が、「理系の大学生であることを活かした就職活動」を希望していることがうかがえる(図表6-1)。

【図表6-1】文理別 自身が持つ専門性を活かして働きたいと思うか
「志望企業の対象職種(志望職種)に求められる能力やスキルへの理解度」を見ると、文系・理系ともに「ある程度理解している」が最多で、それぞれ56%、58%と6割近くを占めている。「ある程度理解している」と「十分に理解している」(同14%、25%)を合計した「理解している派」はそれぞれ70%、83%となり、文系では7割、理系では8割以上に上っている。
ただし、「どちらとも言えない」と「あまり理解していない」、「全く理解していない」を合計した「理解しているとは言えない派」の割合は、文系では30%、理系では17%となっており、文系の方が理解できていない学生の割合が高いことが読み取れる。この要因として、文系学生は、大学で培った専門性とは関係なく幅広い業種や職種が志望対象となるため、専門性を活かした就職活動をする理系学生より、志望企業での仕事内容に具体的なイメージを持ちづらい傾向にあると推測される(図表6-2)。

【図表6-2】文理別 志望職種に求められる能力やスキルへの理解度
この理解度の違いを「インターンシップ参加経験の有無」で比較してみる(いずれかの企業1社以上に参加経験がある場合は、「インターンシップに参加経験がある」とする)。
文系・理系ともに「インターンシップに参加経験がある」とする学生群では、「理解している派」の割合は文系で73%、理系で85%となる一方、「インターンシップに参加経験がない」とする学生群では、同56%、68%となり、インターンシップに参加経験がある学生の方が、「理解している派」の割合が高い傾向となっている(図表6-3)。したがって、志望職種を理解するためにインターンシップに参加することは有意義であると言える。

【図表6-3】インターンシップ参加経験の有無別 志望職種に求められる能力やスキルを「理解している派」の割合
とはいえ、インターンシップに参加できていない学生が少なからずいる中で、志望職種に対する学生の理解を深めるため、学生が企業に求める「最も望ましい説明方法」としては、文系では「人事担当者からの説明」が最多で36%、次いで「対象職種の担当社員からの説明」が25%などとなっている。理系でも「人事担当者からの説明」が最多で28%、これに1ポイント差で「対象職種の担当社員からの説明」が27%、「大学OB・OG社員からの説明」が22%などと分散しており、理系学生は、人事に限らず、より具体的で分かりやすい説明ができる社員からの説明を求めているようだ(図表6‐4)。

【図表6-4】文理別 志望企業の対象職種に求められる能力やスキルについて、最も望ましい説明方法

「SDGs」とともに「健康経営」への関心度7割

「近年、社会やビジネスにおいて注目されているキーワードの認知度」を見てみると、圧倒的に認知度が高いのは「SDGs」であり、「以前から知っていた」の割合が86%と9割近くに上っている。これは、高等教育の現場でSDGsを課題として取り入れている効果であり、一般社会人よりも認知と理解が進んでいる。その他の3ワードについては、「以前から知っていた」の割合はいずれも2割程度にとどまり、「今回初めて聞いた」が半数前後に上っている(図表7-1)。

【図表7-1】ビジネスにおいて近年注目されているキーワードの認知度
これら4つのキーワードの意味を改めて説明した上で、関心度を聞いてみると、「非常に関心がある」と「やや関心がある」を合計した「関心がある派」の割合は、認知度も圧倒的に高い「SDGs」が最多で72%となっている。これに1ポイント差で次いで「健康経営」が71%となり、言葉の意味を理解すると「健康経営」も学生の関心事の一つとなることが分かる。なお、「ウェルビーイング」は60%、「ESG」は54%となっている。(図表7-2)。
企業は、採用活動において、働き方改革やSDGsへの取組みと併せて、「健康経営」への取組み状況についても学生にアピールすることで、学生の志望度の上昇に繋がることが期待される。

【図表7-2】ビジネスにおいて近年注目されているキーワードに対する関心度

「在宅勤務の推奨」に賛成派が圧倒的

最後に、「在宅勤務の推奨」という企業の動きに対する学生の賛否を見てみると、「賛成」が圧倒的に多く文系で80%、理系で72%となり、少なくとも7割以上が賛成している(図表8-1)。

【図表8-1】文理別 「在宅勤務の推奨」という企業の動きに対する賛否
賛否の理由について、フリーコメントでの意見で主なものを一部抜粋し、以下に紹介する(図表8-2)。

【図表8-2】文理別 「在宅勤務の推奨」に対する賛否の理由(一部抜粋)
「在宅勤務の推奨」への賛否「在宅勤務の推奨」への賛否の理由文理区分大学区分
賛成在宅勤務の方が子育てをやりやすいなど、ワークライフバランスの面で有利な気がする文系旧帝大クラス
賛成家でできる仕事ならば家でしたい。通勤時間がもったいない文系早慶大クラス
賛成地方に移住するなど、人によって生活はバラバラなので多様的な使い方があっていいと思う文系早慶大クラス
賛成通勤時間の短縮など、個人の時間に使えるから理系旧帝大クラス
賛成自由な働き方をすることで育児などの負担が減るのではないかと考えている理系上位私立大
賛成学校もオンラインで在宅が多いため、ある意味ライフスタイルが変わらない理系その他国公立大
賛成コロナ以外にも在宅が相応しい家庭環境や体調面の人がいると思うから(特に体調が不安定な妊婦、生理中の女性など)理系その他私立大
どちらとも言えない通勤のストレスが解消される点では賛成。一方で勤務に関する詳細な規定が必要。見えていない部分をどのように評価するのか、社員に納得される規定を作る必要がある文系上位国公立大
どちらとも言えない在宅勤務が多い会社はあまり受けたくない。入社しても、人との関わりが希薄になってしまいそう文系その他私立大
どちらとも言えない既に対外関係が確立した中堅やベテランは問題ないと思うが、新入社員は人脈を作ることが非常に重要と思う。在宅勤務では、人間関係の構築に苦労するのではないか理系旧帝大クラス
どちらとも言えない出社して働くことも、在宅で働くことも経験したことがないので何とも言えない理系旧帝大クラス
どちらとも言えない対面で仕事をした方が、効率が良い場面もあると思うから理系早慶大クラス
反対コミュニケーション、心理的安全性の質が下がるから文系旧帝大クラス
反対社内交流が減ると企業に所属している意味が薄くなる。団体意識が必要だと思う文系上位私立大
反対社内交流からの発想の激減が考えられるから理系その他国公立大
反対自宅と職場は区別した方が、業務効率が上がると思うから理系その他国公立大

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研×楽天みん就】2023年卒学生の就職活動動向調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、、楽天みん就(楽天グループ株式会社)
調査期間:2022年3月8〜22日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2023年卒業予定の「楽天みん就」会員学生
有効回答:851件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当調査のURL記載、またはリンク設定
3)HR総研へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL) と引用項目(図表No)
  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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