2023年新卒採用が本格的に開始されている。Withコロナ・ポストコロナ時代の採用活動としてオンラインの導入が主流となり、DXの推進も進む中、コロナ禍以前とは異なる採用施策に注力する企業も、少なくないのではないだろうか。
HR総研では、2022年3月に各企業における2023年新卒採用活動に関するアンケートを実施し、その調査結果をフリーコメントも含めて以下に報告する。

<概要>
●理系学生の採用を増加する企業は文系の2倍
●「ターゲット層の応募者を確保」「内定辞退の防止」が課題、その施策とは?
●ダイレクトソーシングを実施する企業は4分の1、逆求人サイトやリファラル採用
●2023年新卒採用活動で予算増加に特徴あり、ダイレクトソーシング実施との関連は?
●インターンシップ実施率は企業規模による差異が顕著、大企業では7割
●望ましいインターンシップの形式は「圧倒的に対面」が4割、その理由は?
●自社セミナー・説明会、大企業における実施率が顕著に増加
●選考面接の開始月、ダイレクトソーシング実施企業で顕著に早期化
●オンライン面接、大企業で「グループディスカッション」が増加
●「内々定出し」も、ダイレクトソーシング実施企業で早期に開始
●「特別処遇」と「ジョブ型採用」の導入、ダイレクトソーシング実施状況による違い顕著、その要因は?

理系学生の採用を増加する企業は文系の2倍

「2023年新卒採用計画数」について、昨年度と比較した増減の傾向を企業規模別に見てみる。
すべての企業規模において「前年並み」が最も多い中、従業員数1,001名以上の大企業では「増やす」が14%、「減らす/採用なし」(「減らす」と「採用なし」の合計)が11%となり、僅かに「増やす」が3ポイント上回っている。301〜1,000名の中堅企業では「増やす」が27%で3割近く、「減らす/採用なし」が12%となり、「増やす」が15ポイント多く2倍以上の割合となっている。一方、300名以下の中小企業では、「減らす/採用なし」が31%で3割となっている(図表1-1)。
文系学生と理系学生に分けて採用計画増減を見ると、「増やす」は文系では11%にとどまる一方、理系では23%で文系より12ポイント多くなっている。文系学生より、理系学生の採用に力を入れる企業が多いことがうかがえる(図表1-2)。

【図表1-1】企業規模別 2023年採用計画数の昨年度と比較した増減
【図表1-2】文理別 2023年採用計画数の昨年度と比較した増減

「ターゲット層の応募者を確保」「内定辞退の防止」が課題、その施策とは?

「2023年新卒採用における自社の課題」については、すべての企業規模において「ターゲット層の応募者を集めたい」が最多で、大企業では53%、中堅企業では54%、中小企業では48%などと半数前後に上っている。大企業と中堅企業では、これに次いで「内定辞退者を減らしたい」がともに35%などとなっている。さらに大企業では「大学との関係を強化したい」と「理系採用を強化したい」がともに24%と続いている。中小企業では「応募者の数を集めたい」が2位に挙がり、33%となっている。さらに「面接官のスキルを高めたい」が26%と、大企業や中堅企業より高い割合となっていることも特徴的である(図表2-1)。

【図表2-1】2023年新卒採用における自社の課題
「2023年新卒採用でより重要になると思われる施策」については、大企業では「自社セミナー・説明会」と「内定者フォロー」がともに最多で35%、次いで「自社採用ホームページ」が27%などとなっている。昨年の調査結果と比較すると、昨年より「自社セミナー・説明会」(昨年10%)、「内定者フォロー」(同15%)が大幅に増加している。一方、昨年調査では「インターンシップ」が25%で2位だったが、今年は6位に後退している。この割合は21%で、昨年より大きく減少したわけではなく、今回調査で上位になった項目の割合が顕著に増加していることに起因する。インターシップだけでなく、自社セミナー等を積極的に活用してターゲット層の学生を獲得するとともに、採用のオンライン化による学生とのコミュニケーションの希薄化を原因として増加傾向にある「内定辞退」を防止するため、内定者フォローにも力を入れようとしていることがうかがえる。
中堅企業では「自社セミナー・説明会」、「自社採用ホームページ」、「インターンシップ」がともに最多で33%となり、大企業と同様に、あらゆる媒体を活用して積極的に活用してターゲット層の学生を獲得しようとしていることがうかがえる。
中小企業では、「自社採用ホームページ」が顕著に多く45%、次いで「自社セミナー・説明会」が32%、「インターンシップ」が28%などとなっている。採用活動のオンライン化に伴い、これまで重視していなかった中小企業では、「自社採用ホームページの制作・強化」が喫緊の課題となっていることがうかがえる(図表2-2)。

【図表2-2】2023年新卒採用でより重要になると思われる施策

ダイレクトソーシングを実施する企業は4分の1、逆求人サイトやリファラル採用

次に、「新卒採用におけるダイレクトソーシングの実施状況」を見てみると、全体では「実施している」の割合は24%と約4分の1程度となっている。
「実施している」割合を企業規模別に見ると、大企業では26%で全体と同等で、中堅企業では33%と3割以上が実施している。一方、中小企業では19%と2割未満にとどまっている(図表3-1)。
実施している「ダイレクトソーシング」の内容については、「逆求人サイトの活用」が最も多く58%、次いで「社員からの紹介」が49%、「取引先等からの紹介」と「内定者からの紹介」が12%などと、リファラル採用の手法3項目が挙がっている(図表3-2)。
ダイレクトソーシングは、従来のマス型採用とは異なり、企業が欲しい人材に対して直接アプローチし、スカウトする採用手法である。手間はかかるものの、ターゲット層の学生を獲得したい場合に効果が期待されるため、図表2-1で示すとおり、自社の課題として「ターゲット層の応募者を集めたい」とする企業を中心に取り組まれることが想定される。しかし、現状はダイレクトソーシングを実施する企業は2〜3割程度で、多数派ではないことがうかがえる。では、現状でダイレクトソーシングを実施する企業には、どのような特徴があるのだろうか。

【図表3-1】新卒採用における「ダイレクトソーシング」の実施状況
【図表3-2】実施している「ダイレクトソーシング」の内容

2023年新卒採用活動で予算増加に特徴あり、ダイレクトソーシング実施との関連は?

前述のダイレクトソーシング実施状況別に「2023年新卒採用活動で予算が増えそうな施策」の内訳を出すと、実施の有無による特徴が見られる。ダイレクトソーシング実施状況に関わらず、「自社採用ホームページ」が最多で、ダイレクトソーシングを「実施している」企業群では20%、「実施していない」企業群では17%となっている。その他の施策についても、ほとんどの項目で「実施している」企業群の方が「実施していない」企業群より「予算が増えそう」とする割合が多くなっている(図表4)。
ダイレクトソーシングを実施する企業では、実施しない企業より、2023年新卒採用活動であらゆる施策を併行して強化する方針であることがうかがえる。

【図表4】ダイレクトソーシング実施状況別 2023年新卒採用活動で予算が増えそうな施策

インターンシップ実施率は企業規模による差異が顕著、大企業では7割

「インターシップの実施状況」については、大企業では「前年同様に実施した」が最多で68%、「前年は実施していないが、今年は実施した」の3%と合計して71%と7割が「実施した」となっている。中堅企業では「前年同様に実施した」が最多で50%で、「実施した」の割合は61%と6割程度となっている。中小企業では「実施した」の割合は38%と4割未満にとどまっている(図表5-1)。昨年までと同様に、中小企業でのインターンシップ実施率が、大企業や中堅企業と比較すると顕著に低いことが分かる。
ダイレクトソーシング実施状況別に「インターンシップの実施状況」を見ると、インターンシップを「実施した」の割合は、ダイレクトソーシングを「実施している」企業群では67%であるのに対し、「実施していない」企業群では46%と半数未満となっている。この結果より、ダイレクトソーシングを実施する企業ほど、インターンシップ開催にも積極的に取り組む傾向にあることが推測される。

【図表5-1】企業規模別 インターシップの実施状況
【図表5-2】ダイレクトソーシング実施状況別 インターシップの実施状況
「インターンシップの実施時期」については、全体では「2021年8月」と「2021年9月」がピークとなり、それぞれ43%、40%と4割程度となっており、10,11月で実施率が低下し、「2021年12月」と「2022年1月」の冬期に再び増加し、それぞれ37%、39%と4割弱の実施率となっている。これをダイレクトソーシング実施状況別で比較すると、「実施している」企業群では「2021年8月」と「2021年9月」の夏期のピークで、ともに52%と過半数がインターンシップを実施している。一方、ダイレクトソーシングを「実施していない」企業群では39%、36%と4割にも満たない。冬期の「2021年12月」と「2022年1月」ではダイレクトソーシングを「実施している」企業群ではそれぞれ29%、33%と3割前後であるのに対し、「実施していない」企業群では41%、43%と4割以上となっている。ダイレクトソーシングを「実施している」企業群では、そうでない企業群より、夏期インターンシップを積極的に実施する企業が多いことがうかがえる。背景には、ダイレクトソーシングの主力施策である逆求人サイトを、夏期インターンシップへターゲット層の学生を呼び込むツールとして活用している企業が多いことが考えられる(図表5-3)。

【図表5-3】ダイレクトソーシング実施状況別 インターンシップ開催時期

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】2023年新卒採用動向調査(3月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2022年3月9〜28日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・新卒採用担当者
有効回答:217件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

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