HR総研では、企業の働き方改革やDX推進など組織変革に向けたHRテクノロジーの導入状況について、アンケートを行った。
企業の在り方や社員の働き方などが大きく変化する中、HRテクノロジーの活用状況には変化が起きているのだろうか。 フリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●HRテクノロジーの導入率は4分の1、企業規模による導入格差が拡大か
●導入目的として「定型業務量の削減」「従業員情報の一元管理」が上位に
●「定型業務量の削減」での効果7割、「既存システム・データとの連携」「目的・目標の明確化」に課題
●HRテクノロジーに関する情報収集、「人事系メディア」が最多で8割近く
●HRテクノロジーを活用した分析項目、「経歴情報」「評価情報」「勤怠情報」が主流
●エンゲージメントへの取組み、グローバル化、業況によるHRテクノロジー導入への影響を考慮
●ピープルアナリティクスの活用、「ハイパフォーマー特性の分析」が最多
●人事と経営層でピープルアナリティクスへの意識の違いが顕著、エンゲージメント取組みや業況等によっても異なる

HRテクノロジーの導入率は4分の1、企業規模による導入格差が拡大か

まず、これまでと同様に「HRテクノロジーの導入状況」について聞いてみたところ、「導入している」は21%、「導入しており、追加での導入を検討中」は2%、「導入しており、ソリューションの見直しを検討中」は1%で、これらを合わせて「すでに導入済み」である企業の割合は24%で、4分の1にとどまっている。昨年の「すでに導入済み」である企業の割合は22%で、昨年とほぼ同様の傾向となっており、導入率の顕著な増加や減少は見られていない(図表1-1)。
企業規模別にみると、従業員数1,001名以上の大企業では「すでに導入済み」が37%、「新規導入を検討中」(21%)を含めると、「すでに導入済み/検討中」の割合は58%と6割近くに上る。301~1,000名の中堅企業でも同様に55%となる一方、300名以下の中小企業では29%と3割未満にとどまっている(図表1-2)。昨年は企業規模による大きな差異はなく「すでに導入済み/検討中」は4~5割であったものの、この1年で企業規模による導入格差が徐々に広がっている傾向が見られる。

【図表1-1】HRテクノロジーの導入状況

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

【図表1-2】企業規模別 HRテクノロジーの導入状況

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

導入目的として「定型業務量の削減」「従業員情報の一元管理」が上位に

HRテクノロジー導入の目的を見てみると、「定型業務量の削減」が最多で66%、次いで「従業員情報の一元管理」が57%、「作業コストの削減」が50%などとなっている(図表2-1)。
また、導入の領域については企業規模ごとに傾向が異なっており、大企業では「採用管理」が最も多く61%、次いで「人材配置(キャリア管理)」が44%、「健康管理(メンタル)」が39%などとなる一方、中堅・中小企業の最多は「労務管理」でそれぞれ56%、77%となっている。企業規模によってHRテクノロジーにより解決したい領域が異なることがうかがえる(図表2-2)。

【図表2-1】HRテクノロジー導入の目的

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

【図表2-2】企業規模別 HRテクノロジー導入の領域

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

「定型業務量の削減」での効果7割、「既存システム・データとの連携」「目的・目標の明確化」に課題

次に、「HRテクノロジー導入で達成できた目的」を見てみる。
各項目を目的に挙げた企業のうち、達成できた割合を見ると、「定型業務量の削減」が最も多く76%、次いで「作業コストの削減」が71%、「人的資本開示への対応」が67%などとなっている(図表3-1)。
また、企業規模別に「HRテクノロジー導入で直面した課題」を見ると、大企業と中堅企業では「既存システム・データとの連携」が最多でそれぞれ54%、53%である一方、中小企業では「目的・目標の明確化」が最多で45%となっている。大企業や中堅企業では、すでに別の人事システムやツールが使用されている企業が多く、それらとの連携が上手くいかなければ、目的として多く挙げられている、HRテクノロジー導入による「定型業務量の削減」や「従業員情報の一元管理」などに繋がりにくくなる恐れがあることがうかがえる。
さらに大企業と比較して中堅・中小企業で顕著に割合が高いのが「必要予算の確保」で、大企業では21%であるのに対し、中堅企業では40%、中小企業では39%とともに4割の企業が挙げている。このように企業規模別によって導入時の課題が異なることを考慮して、導入するソリューションや領域などの検討をする必要がある(図表3-2)。

【図表3-1】HRテクノロジー導入で達成できた目的

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

【図表3-2】企業規模別 HRテクノロジー導入で直面した課題

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

HRテクノロジーに関する情報収集、「人事系メディア」が最多で8割近く

それでは、導入を検討するHRテクノロジーのソリューションに関する情報収集は、どのような方法で行われているのだろうか。
情報収集の方法で最も多いのは「人事系メディア」で76%と8割近くに上っており、次いで「人事系セミナー・講演会(オンライン含む)」が62%、「WEB検索」が54%などとなっている(図表4-1)。
人事系メディアやセミナー等を活用することにより、複数ソリューションの特徴や目的などにより異なる適切な選定方法などの整理された情報を得ることができ、ある程度絞り込んだ上で、各ソリューションのサービス会社に問い合わせることは、効率的かつ効果的な情報収集の方法の一つと言えるだろう。

【図表4-1】HRテクノロジーのソリューションに関する情報収集の方法

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

また、「サービス(ソリューション)を選定し導入する際に最も重要視する分野」は、「機能性・操作性」が最多で38%、次いで「ビジネスへの貢献性」が37%などとなっている。
「機能性・操作性」の具体的な内容としては「使い方が分かりやすいこと」や「効果が分かりやすいこと」などが、「ビジネスへの貢献性」では「導入目的と合致していること」や「長期的に使えること」などが挙げられる。

【図表4-2】サービスを選定し導入を決定する際、最も重要視する分野

HR総研:「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート 結果報告

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】「HRテクノロジーの活用」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年6月25日~7月1日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:224件

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