HR総研:人事の課題とキャリアに関する調査 人事の課題【1】従業員規模別で「特徴的な課題感」が浮き彫りに

HR総研では、「人事の課題とキャリアに関する調査」を毎年定点観測している。
2019年5月8日〜5月15日に実施した本調査では、「人的資源管理」と「組織管理」の2軸を設け、それぞれの「現状の課題」と「中期的(3〜5年後)課題」について質問した。
今回の調査レポート第1回では、この2軸に関する人事の課題意識について報告したい。

●大企業特有の「グローバル人材育成」と「ダイバーシティ対応」。課題感は高いが、現状の優先度はまだまだ低い。

現状の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での課題について複数選択式で質問したところ、「次世代リーダー育成」(57%)、「キャリア採用」(51%)、「新卒採用」(49%)、「マネジメントスキル向上」(47%)が上位を占めた。最近3か年の調査でも、この4つは不動の課題となっている。
企業規模別で見てみると、従業員数1001名以上の大企業では、「グローバル人材育成」(49%)、「ダイバーシティ対応」(36%)が高い割合を占めた。これらは、大企業特有の課題と言えるだろう。
「最重要課題」(択一式)に関する回答では、「次世代リーダー育成」(20%)、「マネジメントスキル向上」(16%)、「新卒採用」(14%)、「キャリア採用」(12%)が上位を占めており、上記同様である。ただし、大企業の回答を見ると、「グローバル人材育成」(6%)、「ダイバーシティ対応」(0%)は低ポイントにとどまっている。課題と感じている企業は多いが、直近の優先順位ではどうしても低くならざるを得ない、ということだろうか。
【図表1】現状の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での課題
【図表2】現状の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での最重要課題(上位抜粋)
最重要課題は「人材育成」と「採用」が上位を占めている。フリーコメントを見ると、単なる「採用難」にとどまらず、「欲しい人材が不足している」という悩みが多く、人材が不足している結果、「今いる人材を育成・最適配置して、組織全体の力を上げたい」と望んでいる傾向が見られた。以下、抜粋して紹介する。

・IT人材の新卒者減少、異業種への就職など、ITベンダーとしてこれまでのような大量採用を維持することが困難であり、リソース上の最重要課題となっている。採用でこれまでの質を担保できない場合、人材育成・配置について見直す必要があり、人材ポートフォリオの見直しが必要になる(1001名以上/情報・通信)
・タレントマネジメントシステムの有効活用(1001名以上/サービス)
・社会変化スピードに対応できるマネジメントスタイルの確立が必要(1001名以上/メーカー)
・役職定年や定年退職などが加速的に進む中、次世代リーダーを積極的に登用し、事業継承を進めていかなければならない中、次世代リーダー候補があまりいない様子。ゆえに、次世代リーダー育成が最重要課題(1001名以上/メーカー)
・会社方針を受けての自部門のKGI、KPIを立案、実行する能力が欠けている。成り行きのままで自部門を運営し、目標達成・未達すら把握できず当期を終了する部門マネジャーが多い(301〜1000名/サービス)
・適正なマネジメント能力をもった管理職層の絶対数が不足している。外部採用ではなく内部育成できる体制作りが必要(301〜1000名/メーカー)
・若手の育成不足と、高年齢者(60歳前後)の雇用調整が釣り合わない。高年齢者が若手を育てて、身を引くべきところを、実施しないのでいつまでも若手が育たず、高年齢者が高い給与を得て会社に貢献せずに居座り続けている(301〜1000名/メーカー)
・2020年に新規開業を控えているが、オリンピック需要と重なるため、人財確保が困難になると予想される(1001名以上/サービス)
・海外展開の事業方針に対応できる人材(数・層)がいない(1001名以上/サービス)
・少子高齢化社会の中で、いかに一定レベル以上の人材を、一定人数以上確保できるか(1001名以上/メーカー)
・中上位人材ではなく、ワーカーとしての人材も採用が難しくなってきている(301〜1000名/サービス)
・業界的に人手不足のため、中途採用が応募者の取り合いになり難しい(300名以下/情報・通信)
・採用はうまくいっているとは思うが、教育環境が整っていないため社員の伸びにバラつきがありすぎるうえ、出来るようになった人間は自分の力と信じ、次を見て離職してしまう(300名以下/情報・通信)

●3〜5年後の人事課題トップは「次世代リーダー育成」。中小企業では「新卒採用」が1位。

今後3〜5年の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での課題については、「次世代リーダー育成」(45%)がトップで、「新卒採用」(42%)、「マネジメントスキル向上」(35%)、「キャリア採用」(32%)が続いている。これらは現状の課題と同じ項目であり、恒常的に企業が抱えている課題と言えそうだ。
企業規模別で見ると、大企業では、やはり「グローバル人材育成」(34%)が、トップの「次世代リーダー育成」(38%)に次いで2位に浮上している。一方、従業員数300名以下の中小企業では「新卒採用」(52%)が1位を占めており、企業規模によって課題感の傾向に差異が見られた。
昨今の「採用難」に対して、中小企業は特に高い危機感を持っていることが分かる。大企業のような母集団を形成することも難しい中、オファー型の求人など、中小企業にとっても魅力的なソリューションが増えてきていることも、世相を反映しての結果と言えるだろう。

【図表3】今後3〜5年の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での課題

●3〜5年後の「最重要課題」でも「次世代リーダー育成」が1位。ただし、大企業では「グローバル人材育成」がトップに。

今後3〜5年の最重要課題を質問したところ、ここでも「次世代リーダー育成」(23%)が他に抜きんでてトップとなった。
ただし、従業員規模別に見ると、「次世代リーダー育成」は、中小企業が最多の33%を占め、大企業ではむしろ「グローバル人材育成」(21%)がトップを占める結果となっている。
現状、および今後3〜5年後の中期的スパンでも、「課題感の高さ」と「優先順位」は必ずしも一致していない。
「次世代リーダー育成」は、プログラム設計にも育成にも時間がかかるため、「なるべく早く」着手すべき最重要課題と言える。大企業にとって、「グローバル人材育成」は社運をかけた戦いだ。中期的な施策の中では、もっとも優先順位が高くなるのだろう。
フリーコメントを読むと、より具体的な課題感が浮き彫りになっているので、ぜひ確認して欲しい。
(気になるフリーコメントと、「組織管理の課題」に関する調査結果は、ログインしてからご覧ください)

【図表4】今後3〜5年の【採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ】面での最重要課題(上位抜粋)

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】人事の課題とキャリアに関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年5月8日〜5月15日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事責任者・ご担当者
有効回答:137件

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