特定非営利活動法人マドレボニータは、女性の就業継続とキャリアアップについての調査結果を、2019年12月「女性の継続就業・キャリアアップに向けた提言」として発表した。本調査は、当事者支援の知見を有するNPO及びソーシャルベンチャー計8団体とともに、コミュニティ型プログラム「IMPACT Lab.(インパクト・ラボ)」に参加し、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社の協力を得ておこなったものだ。期間は2019年4月~6月。これにより、女性が社会で活躍するうえで妨げとなっている仕事と生活の両側面での課題が明らかになった。
進まぬ「女性の社会での活躍」。ワーク・ライフ両面の課題解決のために企業が取り組むべきこととは

女性が社会で活躍するための課題を可視化。産後の就業継続やキャリアアップが難しい理由とは

日本では少子高齢化による労働人口の減少から人手不足が深刻化しており、企業は人材の獲得に迫られている。これを受け、外国人労働者など多様な人材の採用を進める企業も増加傾向にある中、女性の活躍がより一層注目されている。しかし、出産や育児期間をきっかけに、転職および退職を選択する女性は依然として多いのが実情だ。また、日本企業における管理職の女性比率も諸外国と比べて低水準のままで、女性が広く社会で活躍するには、まだまだ多くの課題がある。

本調査は、出産を経た女性が就業継続できないことや、働き続けられたとしてもキャリアアップを図れない背景にある課題を可視化するため実施された。また、企業として取りうる解決策の方向性を発信することも目的としている。

ワーク面は「働き方の制限」、ライフ面は「育児や家事への支援不足」が課題

今回の調査では、出産後の就業継続とキャリアアップにおいて問題とされていることの背景に、女性の「ワーク」と「ライフ」の両側面で課題が存在していることが浮き彫りとなった。

まず、ワーク面では働き方の柔軟性が制約されることが挙げられた。このほか出産後の配属先や育成・評価方法が女性のキャリアパスを十分考慮せずに行われていること、社内の人事制度が夫婦間における収入差を生んでいることが課題となっていることもわかった。

また、ライフ面では家庭内でのパートナーの協力だけでなく、公的・民間サービスなど家庭外から受けられる育児と家事へのサポートが、いずれも少ないことが挙げられている。これには、「女性だから」、「妻だから」、「母親だから」といった性別を根拠とした役割分担への固定観念が今もまだ根強いことが課題要因となっているようだ。

ワーク・ライフ両面の課題から、女性は出産前から仕事と家庭の両立に不安を抱えていることがうかがえる。さらに、出産といったライフイベントを経ることによって、キャリアアップに必要な仕事上の自信や積極性を身につけることが難しくなるという現状も見て取れるだろう。
進まぬ「女性の社会での活躍」。ワーク・ライフ両面の課題解決のために企業が取り組むべきこととは

より多くの女性が活躍できる社会の実現のために企業がすべきこととは

この調査を実施した団体および有識者間では、調査結果をもとに討議が行われ、今後、企業における持続的な女性の活躍を実現するためには、「女性が抱えている仕事と家庭の両立への不安を早期に解消すること」と「個々の能力を十分配慮し業務の差配をすること」、そして「多様なスキルが正当に評価される評価基準の定義」などが、取り組むべき重要な施策であると提言。人材不足解消を目指す業界・企業においては、これらの声を真摯に受けとめ、真に女性が活躍できる環境を整えるために早急な対応をとることが求められる。

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