心理的安全性とは、組織の中で他人に対して自分の意見や考えを包み隠さず表現できる状態をいいます。気軽に冗談を言い合える単なるフレンドリーな関係性をいうのではなく、いかなる意見を言っても他人からの反応を恐れたり、恥ずかしさを感じたりしない信頼関係が構築されている状態です。

心理的安全性が担保されていない場合、個人やチームのパフォーマンスに悪影響を及ぼすといわれています。心理的安全性の概念を提唱したエイミー・エドモンドソン教授は、心理的安全性が低い職場では、従業員が「無知だと思われる」、「無能だと思われる」、「邪魔者だと思われる」、「ネガティブだと思われる」といった不安に駆られやすいという特徴を述べています。これによりコミュニケーションが不足し、ミスの予防策や課題の改善策などアイディアが生まれない組織となってしまうのです。

一方、心理的安全性を高めるメリットは多岐に渡ります。Googleの「効果的なチームを可能とする条件は何か」を調査した研究「Project Aristotle(プロジェクト・アリストテレス)」によれば、「心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイディアをうまく利用することができ、収益性が高く、『効果的に働く』とマネージャーから評価される機会が 2 倍多い」と結果が報告されています。

心理的安全性が保たれている組織では、発言ハードルが下がるため意見交換やアイディアの共有が活発になり、メンバー同士がお互いを認め合う空気感が、個々の活動的な行動につながります。また組織全体での目標やビジョンが明確になるうえ、悩みを共有しながら並走できる仲間がいることで、従業員に「居心地がいい」、「仕事がしやすい」、「長く働きたい」という思考が芽生え、エンゲージメントの向上や離職率の低下につながります。組織・個人のパフォーマンスを向上させるために非常に重要なのです。