ゆでガエル理論という言葉は、次のような説に由来しています。

「カエルは、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後には死んでしまう…」

ゆでガエル理論とはこのように、ゆっくりと進む環境変化や危機に対応する難しさや大切さを説く言葉として使用され、時には「ゆでガエルの法則」「ゆでガエル現象」という表現もされます。

ただし、実際にはカエルを熱湯に入れると逃げ出す間もなく死んでしまい、常温から徐々に水温を上げていくと、途中で逃げ出すそうです。

したがって、科学的な根拠のない話をベースにした言葉です。ですが根拠はともかくとして、ゆっくりと進む環境変化や危機に対して我々が鈍感なのは確かでしょう。

売上げが徐々に低下しているのに、景気のせいにして、いつかは回復するはずだと従来通りのやり方に固執しているうちに会社が傾いたり、長年売ってきた商品だから必ずニーズがあるはずだと製造を続けているうちに在庫の山を築いたり──、身の回りにいくらでも例があるのではないでしょうか。

同じことは個人についても言えます。まだ間に合うと仕事を先延ばしにしているうちに、取り返しのつかない事態に陥ったり、徐々に陳腐化しているスキルや知識に頼って、学ぶことを避けているうちに、すっかり時代に取り残されて、社内のポジションを失ったり──。こちらも、身の回りにいくらでも例を見つけることができるのではないでしょうか。

ゆでカエル理論という言葉が喚起するのは、環境変化や危機が進行していることに、実は本人も“気付いている”ことが多いという点です。

気付づいていながら、そのうちに何とかなると楽観しているうちに重大な事態に陥るのです。

環境変化や危機に気付いたら、すぐに対処するように心がけたいものです。