「国際成人力調査」とは、社会生活において成人に必要とされる能力について、経済協力開発機構(OECD)が実施した国際調査。英語名のProgramme for the International Assessment of Adult Competenciesの頭文字を取り、PIAAC(ピアック)と呼ばれます。

2011年から12年にかけて、OECD加盟国を中心とした24カ国・地域で16歳?65歳の男女約15万7,000人を対象に初めての調査が行われ、2013年10月に結果が公表されました。

調査したスキルは、「読解力」(図書館の蔵書検索システムを使って、指定された条件に合う本を選ぶなど)、「数的思考力」(商品の生産量に関する表を見て、グラフを作成するなど)、「ITを活用した問題解決能力」(表計算ソフトで作成された名簿を用いて、条件を満たす人のリストを作成した上で、そのリストをメールで送信するなど)の3分野です。

調査の結果、日本は読解力、数的思考力の2分野ともにOECD平均を大きく上回る1位となり、ITを活用した問題解決能力はOECD平均並みの10位。結果を分析すると、読解力、数的思考力ともに、レベル3・4の高得点者の割合が参加国中最も高い一方、レベル1以下の低得点者の割合は最も少なく、上位5%と下位5%の者の得点差が参加国中最も小さいことが特徴的でした。

また、スキルと学歴の関係を見ると、日本は読解力、数的思考力ともに、いずれの学歴グループでもスキルが最も高い国の一つであり、日本の中卒者の読解力が米国やドイツの高卒者より高いことはOECD報告書でも特筆されたほど。職業別に見ても、日本は「単純作業の従事者」、「セミスキルド・ブルーカラー」(農業、林業、漁業従事者、技能工および組立工など)、「セミスキルド・ホワイトカラー」(事務職、サービス、販売従事者)、「スキルド・ワーカー」(管理職、専門職、技術者・準専門職)のいずれにおいても、読解力、数的思考力ともに世界トップクラス。特に、日本の単純作業の従事者の読解力は、多くの国のセミスキルド・ホワイトカラーと同程度以上でした。

国際成人力調査で明らかになったのは、日本人全体の「成人力」レベルの高さ。日本のものづくりや、おもてなしなどサービス業の現場力が優れていることが裏付けられたといえます。