働き方のニューノーマル化が進む中、オンラインでのコミュニケーションが市民権を得ることで、社内コミュニケーションの在り方を試行錯誤しながら変化している企業も少なくないだろう。社内コミュニケーションの状況はどのような状態にあるのだろうか。
HR総研では、2022年1月に各企業における社内コミュニケーションの状況に関するアンケートを実施し、その結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●9割以上が「社内コミュニケーション不足は業務の障害」と考える
●7割以上が「自社の社内コミュニケーションに課題あり」
●中堅・中小企業で「経営層と社員」間の課題が最多
●「経営層と社員」のコミュ不全で「目指す方向への認識の統一」が困難に
●全企業規模で「目指す方向への認識の統一」が最優先課題
●社内コミュニケーションは「改善」傾向に転じる
●大企業で「社内情報を共有できている」は半数未満
●大企業では「オンライン会議ツール」、中小企業では「対面」が最多

9割以上が「社内コミュニケーション不足は業務の障害」と考える

自社において「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になると思うか」について確認してみたところ、72%が「大いにそう思う」として圧倒的に多く、次いで「ややそう思う」が21%で、これらを合計した「そう思う」とする割合は93%となり、ほとんどの企業において「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になる」と捉えていることが分かる。この数値は昨年1月の調査結果(94%)とほぼ同等となっている。(図表1-1)。

【図表1-1】社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になると思うか

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

では、社内コミュニケーション不足はどのような業務において障害となると考えられているのだろうか。
最も多いのは「迅速な情報共有」で83%、次いで「部門間・事業所間の連携」が70%、「部署内のチームビルディング」が69%などとなっている。また、上位8項目は半数以上となっており、社内コミュニケーション不足による業務障害への影響は多岐に渡ることが推測される(図表1-2)。昨年から目立った変化は見られないものの、今回調査から追加した「部署内のチームビルディング」は3位で、昨年調査で3位であった「業務中の気軽な相談・質問」(67%)より上位に入っている。社内コミュニケーションが社員同士の信頼関係の構築にとって重要であることがうかがえる。

【図表1-2】社内コミュニケーション不足による業務障害の内容

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

7割以上が「自社の社内コミュニケーションに課題あり」

自社において「社内コミュニケーションに課題があるか」については、「ややあると思う」が54%で最も多く、「大いにあると思う」の19%と合計して「あると思う」が73%と7割を超えている。また、昨年調査の結果とほぼ同等の傾向となっている(図表2)。

【図表2】自社の社内コミュニケーションに課題があるか

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

中堅・中小企業で「経営層と社員」間の課題が最多

次に、「社内コミュニケーションに最も課題を感じる関係間」を見てみると、全体では「経営層と社員」が最も多く26%となっている。次いで「部門間」が17%、「部署内の課長とメンバー」と「部署内のメンバー同士」がともに12%などとなっている(図表3-1)。
これを企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「部署内の課長とメンバー」が最多で17%、次いで「経営層と社員」、「部門間」、「部署内のメンバー同士」がともに16%となっている。301~1,000名の中堅企業と300名以下の中小企業では「経営層と社員」が最多でそれぞれ21%、36%となり、企業規模が小さいほど「経営層と社員」に関するコミュニケーションの課題を感じる割合が高くなっている(図表3-2)。特に中小企業では大企業などと比較すると「経営層と社員」の関係は近く、その関係性の状況が組織課題に直結しやすい傾向にあることが推測される。

【図表3-1】社内コミュニケーションに最も課題を感じる関係間

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

【図表3-2】企業規模別 社内コミュニケーションに最も課題を感じる関係間

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

「経営層と社員」のコミュ不全で「目指す方向への認識の統一」が困難に

それでは、課題を感じる関係間のコミュニケーション不全により懸念される業務障害とはどのようなものだろうか。
全体で最も多いのは「目指す方向への認識の統一」で45%、次いで「迅速な情報共有」が40%、「業務へのモチベーション維持向上」が37%などとなっている(図表4-1)。
また、課題を感じる関係間の上位3つである「経営層と社員」、「部門間」、「部署内の課長とメンバー」に最も課題があると感じる企業群について、各々に懸念される業務障害を見ると、「経営層と社員」に課題を感じる企業群では「目指す方向への認識の統一」が最も多く64%、次いで「業務へのモチベーション維持向上」が49%、「迅速な情報共有」が31%などとなっている(図表4-2)。経営者が企業のパーパスやビジョン等を明確に示し、社員に対してわかりやすく丁寧な発信や対話を繰り返すことで、社員が経営者に共感し「目指す方向への認識の統一」や「業務へのモチベーション維持向上」へと繋がっていくことが期待される。「部門間」に課題を感じる企業群では「部門間・事業所間の連携」が最多で63%、「迅速な情報共有」が58%と非常に高くなる一方で、全体でトップの「目指す方向への認識の統一」や、3位の「業務へのモチベーション維持向上」はともに16%にとどまるなど、他の企業群とは大きく異なる傾向にある。「部署内の課長とメンバー」に課題を感じる企業群を見ると、他の企業群では14~16%にとどまる「部署内のチームビルディング」が64%となっているほか、「業務中の気軽な相談・質問」「精神的ストレスの軽減」がともに40%と比較的高くなっており、心理的安全性が担保されていない職場環境であることをうかがわせる。

【図表4-1】社内コミュニケーションに最も課題を感じる関係間での業務障害

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

【図表4-2】課題を感じる上位3関係間における、コミュニケーション不全による業務障害

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】社内コミュニケーションに関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2022年1月24~31日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・ご担当者
有効回答:225件

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