働き方改革では、残業削減や人手不足など、「人」に関する悩みが尽きません。それらを打開するためには、業務効率化や、働きやすい環境づくりを進めていくことが急務でしょう。そして、そのヒントとなるのが「テレワーク」です。もちろん、テレワーク導入にあたっては、さまざまな課題があります。しかし実現すれば、コスト削減、人手不足解消などの大きな可能性があるのも事実です。そこで今回は、テレワークのメリットや導入方法などについて解説していきます。
~働き方改革~テレワークの導入でコストを削減して企業ブランドを向上させよう!

そもそもテレワークってなに?

テレワークとは時間や場所にとらわれない働き方で、インターネットなどのICT(情報通信技術)を活用して、会社から離れた場所でも業務ができる仕組みのことをいいます。一般的には、通勤せずに自宅で働く「在宅勤務」、コワーキングスペースなどを活用した「サテライトオフィス勤務」、スマホやタブレットなどを活用してカフェなどで業務を行う「モバイル勤務」があります。

テレワークのメリットは複数あります。まず、会社でなくても業務ができるので、通勤費や出張費などのコストを抑えられます。また、移動中やスキマ時間を活用することで効率的に業務をこなせることから、残業コストの削減を見込めます。

さらには、在宅勤務ができれば、子育て中の方や親などの介護をしている方にも業務を行ってもらえるため、離職率の低下が期待でき、採用コストも抑えられるでしょう。

他にも、テレワークを取り入れることで“働く人にやさしい企業”をPRできます。そのことで企業ブランドが向上し、採用活動を有利に進めることなどが可能です。

では、どのようにしてテレワークを取り入れればいいのでしょうか。

最初に手をつけることは、「業務の棚卸」と、洗い出した「業務の切り分け・分担」です。何しろ、働いている本人が会社にいないのですから、何の業務をいつ誰が行うのかをきちんと設定しなくては、事は始まりません。徹底的に業務の棚卸を行い、業務をあたかもパズルのピースのように、漏れなく分けていく必要があります。

そうして切り分けた業務のピースを、一人ひとりに分担していくのです。そこまでできると、業務を行う人が会社から離れていても、支障は出にくくなるでしょう。

次に手をつけることは、「書類の電子化」です。会社にいなくてはできない書類の処理を減らしていきます。例えば、コピー作業や押印、協力会社へのFAXなど、紙をPDFファイルなどに置き換えることが必要になります。押印も電子印を導入すればクリアできますし、FAXはメールに置き換えます。

利用する紙を減らすことができれば、テレワーク導入の後押しになると同時に、環境対策やコスト削減にも役立ちますので、少しずつでもペーパーレス化を進めるようにしましょう。

初期導入のコストは助成金を活用しよう!

ここまで見てきて、「言っていることは分かるけど、テレワークを実現するために費用がかかりそう」と思った人も多いのではないでしょうか。
そこで頼りになるのが、助成金です。
詳しくは、「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」と呼ばれるもので、働き方改革を推進している厚生労働省が管轄しています。

対象となるのは中小企業で、クラウドサービスの導入やサテライトオフィスなどの利用料について、経費の助成を受けることができます。ただし、パソコンやスマホ、タブレットの購入費用は含まれません。

具体的には、自分で設定した期間中にテレワークの成果を出せた場合、かかった経費の3/4が助成されます(一人あたりの上限額は20万円、1企業あたりの上限額は150万円)。もし、成果を出せなくても、かかった経費の1/2が助成されますので、ご安心ください (一人あたりの上限額は10万円、1企業あたりの上限額は100万円)。

注意すべきなのは、この助成金の申し込み期限が2019年12月2日までであること、また助成金を受給するためには、さまざまな要件をクリアする必要がある、ということです。

他にも、テレワークを実施するには、労働時間の管理など気をつけなければならないことは多数あります。テレワークの検討を開始するにあたっては、ぜひお近くの社会保険労務士にご相談することをお勧めいたします。
社会保険労務士有資格者 山口善広

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