採用活動におけるコミュニケーション能力の見極め方

一般社団法人 日本経済団体連合会の2018年度 新卒採用におけるアンケート調査結果によると、選考にあたって特に重視した点は、16年連続で「コミュニケーション能力」が第1位となっています。今回は、「仕事におけるコミュニケーション能力」とはいったいどんな能力かを解き明かすとともに、「採用活動におけるコミュニケーション能力の見極め方」を伝授します。

コミュニケーション能力の高い人とは?

仕事においてコミュニケーション能力が高い人の特徴は、下記の3点にまとめられます。

・傾聴力や質問力があり、多くの人から情報を集めることができる。
・説明力や表現力があり、相手に自分の意思を上手に伝えられる。
・説得力や交渉力を元に、相手を動かし目的を達成することができる。

このように見ていくと、仕事におけるコミュニケーション能力は下記の6つに分類できます。

(1)説明力
(2)表現力
(3)傾聴力
(4)質問力
(5)交渉力
(6)リーダーシップ力

これら6つは、数字が大きくなるにつれて習得するのが難しくなり、けっして一朝一夕に身につけることができるものではありません。

例えば、商品を売ろうと思った時に、「これがいい」と伝えることは「説明力」です。そこには「表現力」も必要ですし、「傾聴力」や「質問力」を用いて顧客のニーズを掴み、相手の心を動かす「交渉力」がなければ、商品は売れません。ビジネスの現場におけるコミュニケーション能力には、総合的な“人を動かす力”が必要です。

さらに付け加えると、自分が頑張ることは簡単ですが、人をやる気にさせることは非常に難しいことです。周囲の人に影響を与える「リーダーシップ力」がある人は(1)〜(5)を兼ね備えていますが、だからといって(1)〜(5)を持っている人が必ずしも「リーダーシップ力」を持っているとは限りません。

すべてを兼ね備えている人はなかなかいませんが、少なくとも「説明力」や「表現力」がない人を「リーダーシップ力」のある人に育てるには、多大な時間がかかります。

面接における上記の各項目を見抜く見極め方

では次に、これら6つのコミュニケーション能力を、採用面接の際、どう見抜くかについて見てきましょう。

(1)説明力
「報・連・相(ほう・れん・そう)」ができない若手社員が多いという声をよく聞きますが、伝える能力がないと、仕事が滞ってしまいます。面接の段階で、「何が言いたいのか分からない」、「時系列でしか話せない」人は要注意です。先に結論を述べ、後からきちんと理由を説明する人、また、数字や実例を使って具体的に説明する人などは「説明力」が高いと言えます。

(2)表現力
たとえ同じ内容を話していても、声のトーンや表情、態度で受け手側の印象は全く変わります。第一印象の重要性はどこでも言われることですが、面接の段階でこの「表現力」がないと感じる場合、訓練で変われる可能性があるかを見極めることが大切です。

(3)傾聴力
傾聴とは、その“聴”の字にあるように「14の心と耳を傾けて聴くこと」と言われています。コミュニケーションは、話すより聴くほうが大事です。しかし、単に黙って聞いている人が聞き上手というわけではありません。話を聴いていることを言葉や態度でアピールする力が必要です。面接の場では、相手に話をさせることが多く、相手も一生懸命にこちらの話を聞こうとするので、「傾聴力」を見極めるのは難しいのですが、質問に対する回答がずれているときは、このスキルが低いと言ってよいでしょう。

(4)質問力
「質問力」が高い人は、欲しい情報を手に入れることができます。営業であれば、顧客のニーズを容易に取得することができます。そうした能力を見極めるためにも、「最後に何か質問はありますか?」と尋ねてみるとよいでしょう。また、面接中、こちらの曖昧な質問に対し、「それは〜〜についてということでしょうか?」と、対象を狭める質問をしてくる人も質問力が高いと言えます。

(5)交渉力
この能力は通常の面接での判断が難しいのですが、プレゼンやディベートで判断することが可能です。注意しておきたいのは、「交渉力」とはただ気持ちを熱く伝えることではないということ。交渉の目的は、相手の心を動かし、行動変容を起こさせることです。面接を通じて、自分の考えを通した経験を尋ねてみると、「交渉力」の有無が分かるでしょう。

(6)リーダーシップ力
(1)〜(5)の能力がなければ、「リーダーシップ力」はありません。したがって、この能力が備わっているかを見るためにも、(1)〜(5)がどれくらい備わっているかを注視するようにしましょう。この能力が本当に求められてくるのは、役職に就いたときです。自分の代わりができる人を育てられるかどうか。「リーダーシップ力」は、企業の永続的な繁栄には欠かせない能力のひとつです。

コミュニケーション能力は、採用後、新たに習得することが最も難しいスキルです。コミュニケーション能力の低い人を採用すると、企業規模が小さいほど痛手が大きく、顧客からのクレーム増加や、社内の人間関係悪化につながる可能性もあります。

今回示したように、コミュニケーション能力は、分割することで評価がしやすくなります。ぜひこれらを参考にして、精度の高い面接を行い、企業の発展へつなげていただきたいと思います。
人を育てる人、を育てる。
採用定着コンサルティングOFFICE「サン&ムーン」
代表 社会保険労務士 田中亜矢子

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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