アデコ株式会社は、2018年9月、有期雇用の派遣社員として勤務している全国の派遣社員500人と、全国の企業および団体で派遣社員の採用に関わっている500人を対象に、無期雇用派遣に対する関心や、派遣会社と派遣先企業に求めるもの、また、将来の働き方に関する考えについて、アンケート調査を実施。このたび、結果を公表した。

なお、それぞれ500人の内訳は、派遣社員では男性206人、女性294人。派遣社員の採用に関わる企業担当者では、上場企業250人、非上場企業250人となっている。
派遣社員、派遣社員採用担当者、それぞれ500人を対象にした調査 派遣社員の約6割が「無期雇用の派遣社員として働きたい」

■調査ではまず、派遣社員500人に対し、「今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと思いますか?」と尋ねたところ、結果は以下の通り。

・そう思う(18.4%)
・どちらかといえばそう思う(39.0%)
・あまりそう思わない(33.0%)
・そう思わない(9.6%)

「そう思う」、「どちらかといえばそう思う」を合わせると、約6割にあたる57.4%が、将来的には無期雇用の派遣社員として働きたいと回答した。

また、無期雇用の派遣社員として働きたいと回答した派遣社員に対し、「(無期雇用の派遣社員として働きたい)理由」を尋ねると、結果は以下の通り。(上位3位まで記載)

1位:契約の更新を気にせず安定して働けそうだから(74.9%)
2位:同じ派遣元で働き続けることができそうだから(58.9%)
3位:現在の派遣元で長く働きたいから(24.7%)

最も多く挙げられたのは「契約の更新を気にせず安定して働けそうだから」で74.9%。改正労契法と改正派遣法が施行された目的である雇用の安定を、働く側も求めていることが伺える。

■次に、企業で派遣社員の採用に携わっている500人に対し、無期雇用派遣についての認知を質問したところ、80.6%の403人が「知っている」と回答。その上で、無期雇用派遣を認知している403人に対し、「無期雇用されている派遣社員を採用したいと思いますか?」と尋ねると、結果は以下の通り。

・そう思う(25.3%)
・どちらかといえばそう思う(43.2%)
・あまりそう思わない(26.6%)
・そう思わない(5.0%)

「そう思う」、「どちらかといえばそう思う」を合わせると、68.5%。企業で派遣社員の採用担当者の約7割は、無期雇用された派遣社員の採用意向があることがわかった。

また、無期雇用の派遣社員を採用したいと考えている採用担当者に対して、「(無期雇用の派遣社員を採用したい)理由」を尋ねたところ、結果は以下の通り。

1位:安定的な労働力が確保できるから(79.3%)
2位:モチベーションが高い派遣社員を活用できると思うから(56.2%)
3位:長期的に見てコストの削減につながると思うから(33.0%)

無期雇用の派遣社員を採用したい理由のトップは「安定的な労働力が確保できるから」で79.3%。“安定”を求める点においては、無期雇用の派遣社員として働きたい派遣社員の意向と共通している。

■次に、派遣社員の採用担当者500人に対し、「この1年間で、以前に比べて派遣社員の採用が難しくなったと思いますか?」と尋ねたところ、67.4%の337人が「そう思う」と回答。

さらに、「無期雇用派遣によって派遣料金が値上げされる場合、どれくらいの値上げ幅であれば受け入れますか?」と尋ねると、結果は以下の通り。(上位3位まで記載)

1位:1割り増し程度まで(27.8%)
2位:2割り増し程度まで(27.2%)
3位:値上げは受け入れられない(19.8%)

その幅に差はあったものの、全体的には6割以上が、ある程度の上げ幅であれば派遣料金の値上げを受け入れる考えを示した。

■次に、派遣社員500人に対し、改正派遣法で派遣会社に義務付けられたキャリアアップ措置を提示し、「派遣元事業主にもっとも期待するキャリアアップ措置はどれですか?」と尋ねると、結果は以下の通り。

1位:特にない(46.0%)
2位:自身が携わる業務に関わるスキルのレベルアップに関する研修(24.0%)
3位:自身が携わる業務以外のスキルを身につけるための研修(12.8%)

派遣元事業主にもっとも期待するキャリアアップ措置について、と訊ねたところ、全体の半数近い46.0%の派遣社員が、(期待するものは)「特にない」と回答した。

また、派遣社員500人に対し、「あなたは、将来のご自身の働き方に関して具体的なプランもしくは目標がありますか?」と尋ねたところ、結果は以下の通り。

・ある(6.2%)
・なんとなくある(28.8%)
・あまりない(45.4%)
・ない(19.6%)

「ない」が19.6%、「あまりない」が45.4%で、派遣社員の65.0%が、将来に向けたキャリアプランや目標を持っていないことが分かった。

――派遣元に対するキャリアアップ措置が義務化されたいま、派遣会社には、派遣社員がキャリア形成に対する意識を高められるよう促し、現在の業務に対するモチベーションの向上にもつながるように支援することが、これまで以上に求められるのかもしれない。

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