職場でハラスメントを受けたことがある女性は7割。ハラスメントのない職場にするためには?

人材採用のエン・ジャパン株式会社が、運営する女性向け正社員求人情報サイト「エンウイメンズワーク」上で、「職場でのハラスメント」をテーマにしたアンケートを実施。2018年7月に、女性355名から得た回答結果を発表した。そこでは、7割の人が職場でのハラスメント経験があるという実態が浮き彫りになっているが、労働者や企業はどのように対処していけば良いのだろうか。ハラスメントの内容や原因に関する現場の声をもとに考察してみる。

職場で多いハラスメントは、パワハラ、セクハラ

ハラスメントが社会全体で大きな問題になっているが、職場においてはどのような行為がハラスメントになっているのだろうか。エンウイメンズワークの調査において、対象者の女性にどのようなハラスメントを受けたかを尋ねると、以下のような順であった。(上位5つのみ記載)

・パワーハラスメント(76%)
・セクシャルハラスメント(44%)
・モラルハラスメント(33%)
・エイジハラスメント(10%)
・マタニティハラスメント(6%)

最も多かったのは「パワーハラスメント」で76%。パワハラに次いで多かったのは、44%の割合を占めた「セクシャルハラスメント」。なおパワーハラスメントに関しては、40代女性に限って見ると、81%がハラスメントを受けている。

回答とともに寄せられた、パワハラ、セクハラに関するエピソードをいくつか紹介する。

【パワハラ】
・わざわざ他の職員を含めたメール内で注意したり、廊下など、他人が見ている前で怒られたりする。(33歳)
・ワンマンな社長で、社長と異なる意見を言うと「嫌なら辞めろ」「(正社員から)バイトにするぞ」などと言われた。(29歳)
・仕事を与えずに放置する。ただデスクに座っているだけの状態を見て見ぬふりをし、精神的苦痛を与える、ということをされた。(45歳)

【セクハラ】
・交際相手を詮索されたり、下ネタを聞かされたりした。(25歳)
・忘年会で上司の隣に強制的に座らされ、その後、腕を掴まれ胸に手を当ててこられた。(29歳)
・客先との接待にミニスカートで来いと言われた。(40歳)

フリーター男女で約4割が離職。横行するハラスメントの実態

ハラスメント行為は、明らかに悪質なものから、人によって感じ方が異なるようなものまで様々である。2018年5月にレバレジーズ株式会社が運営する就職支援サービス「ハタラクティブ」が行った「セクハラ・パワハラに関するアンケート」結果の中で、「ハラスメントが高いと感じる行動」がランキングされている。

フリーター女性が、セクハラ度合いが高いと感じるのは、1位「性的な内容の手紙やメールを送ったり電話をかけたりする」(17.1%)、2位「男女交際の程度や性的な経験などについて尋ねる」(14.%)、3位「性的なからかいや冗談を行ったり、性的な噂を流したりする」(13.7%)など。言葉によるセクハラ行為が目立つ。

一方、正社員女性では、1位「軽い気持ちで髪や肩、背中などに触ったり、必要以上に接近し身体を密着させたりする」「しつこく食事やデートに誘うなど交際を迫ったり、あとをつけるなど付きまとう」(ともに16.7%)、2位「性的なからかいや冗談を行ったり、性的な噂を流したりする」(15.9%)、3位「マッサージなどと称して必要もないのに身体を触る」(13.9%)などが上位に来ており、言葉だけでなく、実際に物理的なハラスメント行為がなされているのが伺える。

また、パワハラ度合いが高いと感じる行為については、フリーター男女、正社員男女含め総合的に、「人格を否定されたり、傷つけられたりする」が19.0%でトップ。続いて、「肉体的な暴力を振るわれた」(14.5%)、「『お前なんかいつでもクビにできる」などと脅される」(13.9%)などが挙げられている。

同調査によると、こうしたハラスメントを受けて、実際に仕事を辞めてしまった人は、フリーター男女で約4割、正社員男性で約3割(正社員女性は2割)にのぼるという。また女性は、転職の際の面接時、以前の職場でハラスメントを受けたことを隠す傾向にあるようだ。

こうしたハラスメントによる苦境を乗り越えるためには、相談できる相手がいるかが重要になるが、多くの場合、誰に相談することが多いのだろうか。

冒頭のエンウイメンズワークの調査結果を見ると、職場のハラスメントに関する相談相手については、1位「同僚」(39%)、2位「上司」(34%)と、社内の人間に相談するケースが多いようである。

業績にも影響が出るハラスメント行為。その対処法は?

では、社内におけるハラスメント行為を、企業はどれくらい把握しているのだろうか。

2017年にエン・ジャパンが人事担当者向け中途採用支援サイト「エン 人事のミカタ」の中で行った「パワハラ」に関するアンケート調査がある。

これによると、45%の企業が社内のパワハラを把握していると回答しているが、その経緯については「直接本人から相談があった」と「本人の周辺(上長・同僚等)から相談があった」がともに46%で1位。ハラスメントを把握するための制度や仕組みによってではなく、本人の勇気、または周囲のサポートによって把握するケースが多いことが伺える。

また、パワハラを把握している企業に「パワハラが職場に与えた影響」についても尋ねている。その回答では、1位「職場の雰囲気が悪化した」(62%)、2位「退職者が出た」(37%)、3位「メンタル不調の社員が増えた」(30%)、4位「職場の生産性が悪化した」(20%)。パワハラによって、人材の損失を招いているだけでなく、業績に影響が出ているケースもあるようだ。

企業にとっても働く人にとってもハラスメントはマイナスにしかなりえない。対処するためにはどのような手立てがあるのだろうか。

前述のハタラクティブの調査では、ハラスメントを受けたり見たりした場合の対処法として最も多いのは、「ボイスレコーダーでの録音」(24.6%)と紹介している。

他にも「監視カメラのある場所で相手と対面」や「メモをする」など、記録を残して然るべき手段に出るという意見があり、泣き寝入りはしない姿勢が見られる。

一方、企業としても、人事のミカタの調査によると、「社内に相談窓口を設置」(51%)、「管理職向けの研修・講習会の実施」(32%)、「就業規則に罰則を設ける」(28%)などの対策を取っているようだ。

自分の発言や行為によって相手がどう感じるか、常日頃から車内で意識していればハラスメントは減る。風通しのよい環境作りに取り組むことは企業として必須だが、ハラスメントがあることをまずは把握し、社員一人ひとりがハラスメントについて考えていくことが重要である。

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HRプロ編集部

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