労働力人口の減少、働き方の多様化、さらには仮想通貨の出現に象徴される社会システムの変化などに合わせて、企業の採用手法も変わってきている。20代・30代の若年層は、「賃金よりも有給休暇の消化率等のワークライフバランスを重視する」というデータがはっきりと出ており、今後の企業を支える若者に“刺さる“採用方法に変えていかざるをえないのは必定だ。しかし、いまだ求人媒体やハローワークなどの従来型の採用方法に依存している企業は多い。以下、「採用」についての包括的な解説をしつつ、現在注目を浴びている採用手法を紹介する。
いま注目されている採用手法

母集団形成

採用に最も重要なのは「母集団形成」ではないだろうか。求職者となる人材(母集団)をできるだけ多く集めることができれば、採用上のミスマッチを防ぎ、採用を優位に進めることができる。母集団形成を効果的に行うためには、どれだけ多くの求職者の注目を集められるかにつきる。そのため最近では、次のような手法が注目されている。

(1)トレンドキーワード
注目されるキーワード(トレンドワード)を求人条件の前面に打ち出すことで求職者を集める方法である。近年話題となっているキーワードの例としては「副業OK」「在宅勤務OK」「有給休暇消化率100%」など。もちろん経営者からすると、権利意識・主張が強い求職者の気を引くことに懸念を抱く可能性もあるが、多少のミスマッチの割り切りは必要だろう。

(2)SNS(FacebookやInstagramなど)
最近では、「SNSでどんな発信をしているか」も、求職者が企業を判断するバロメータになっているようだ。そこに発信する内容が問われている。例えば、「プライベートでも社員同士の仲が良い!」という発信が多すぎると、プライベートまで同僚との付き合いを強制されるかも、というネガティブなメッセージになってしまう可能性があるので、注意が必要だ。

(3)リファーラル(紹介)求人
企業の雰囲気や、求人条件等を、既存社員が持つ人脈の中で紹介してもらう手法が、リファーラル求人と呼ばれるものだ。この方法のメリットは、紹介者である社員が採用に参加する意識が高まることや、既存社員が一緒に働きたいと思う人材を紹介するので、企業とミスマッチが起こりにくい事などだ。こうした紹介からの採用に、手当てを用意して紹介を促すなどの制度があってもいいだろう。近年では、WantedlyのようにSNSを利用したリファーラル求人サービスも注目されている。

まずは求人対象を明確にし、その母集団形成のために、これら新しい手法も駆使しつつ、一歩進んだ採用活動を進めてみてはいかがだろうか。


社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭

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