働き方改革の中で注目しているのが、労働者の休職制度についてである。周知のとおり、休職制度は労働基準法にも規定がなく、それを導入するかどうかは各事業所の自主性に任せられている。一般的に休職制度は、「解雇猶予措置」と捉えられているが、最近はそうとも言えない状況に至りつつあるようだ。このことを如実に物語っているのが、「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」において、病気休職は「無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与をしなければならない」とされている点であろう。民間企業は本当にここまでの対応が必要なのだろうか?今回は、働き方改革を実務面で推進する公務員自身の病気休暇・休職制度が、どのように運用されているかを見ていくことにより、民間企業の休職制度導入に向けた検討材料を提供することとしよう。

公務員の病気休暇

公務員が病気等の私傷病で長期に休む場合、まず特別休暇として「病気休暇」が取得できる。国家公務員の場合は、「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」で定められており、その第18条において「病気休暇は、職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇とする」と規定されている。病気休暇の期間は、人事院規則で「療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限の期間とする」とされ、「原則として連続して90日を超えることはできない」こととなっている。また、地方公務員の場合は当該法律の規定に準じて、各地方自治体ごとに条例で定められている。

この病気休暇は有給の特別休暇とされているから、公務員の場合は少なくとも90日間は100%の給与が保証されながら療養に専念することになる。一部の民間企業を除き、一般的な中小企業では考えられない制度となっている。

公務員の病気休職

次に、公務員の病気休職はどのように運用されているのだろうか。これは、国家公務員法や地方公務員法に規定されている。国家公務員法では、その第79条で、「職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる」とされ、「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」が挙げられている。また、第78条では「職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる」とされ、第二号で「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」とされている。従って、休職処分は免職処分の前段の猶予措置と捉えることができよう。これらの処分は、いわゆる公務員の「分限処分」とされるものであり、任命権者が強制的に命令する制度であるため、公務員本人にしてみれば、不利益処分にあたることもあり得る。

公務員の分限処分は、職の廃止や停止を通じて公務の効率性を保つために行われるものである。従って、職員自らが休職を申し出る「依願休職」は、法的には認められてはいない。つまり、職員個人の権利性は全く考えられていないのである。しかし、「職員本人が休職を希望し、任命権者がその必要性を認めて行った休職処分は、あえて無効としなければならないものではない」とする最高裁判例があり、実務上はそれに沿って運用されているようである。
 
従って、前述の「病気休暇」90日以後は、「病気休職」に移行するのが通例である。休職期間は、最長3年となっているが、休職1年目は給与の80%が支給される。休職期間が2年目に入ると無給となるが、健康保険制度から概ね給与の3分の2の「傷病手当金」が1年6カ月間支給される。さらに、引き続く6カ月間に「傷病手当附加金」が支給される。結果として、3年間の休職期間すべての期間が無給となることはない。

公務員が設計する民間企業の休職制度

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