株式会社マイナビは2023年5月23日、「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2023年3月13日~14日で、従業員数100名以上の企業に勤める全国の人事・労務・企業内健康経営担当者1,076名(22歳~65歳)から回答を得た。調査結果から、従業員の心身の不調による健康面および仕事への影響度や、健康課題に対し企業側に求めることなどが明らかとなった。
健康経営における企業と従業員の認識の差とは。女性特有の健康課題には「休暇の取りやすい制度」や「部署内のサポート」を望む声

自身の健康面で気になることは「運動不足」がトップ

近年、従業員の健康の保持および増進に取り組み、健康管理を経営的視点から考え戦略的に実施する「健康経営」に注目が集まっているが、企業において健康課題を有している人はどの程度存在するのだろうか。

はじめにマイナビは、「現在(調査時点)、自身の健康面で気になっていること」を複数回答可で尋ねた。すると、「運動不足」が39.9%で最多だった。以下、「ストレス」が35.2%、「肥満」が24.2%、「メンタルヘルス不調」が19.4%で続いた。「特に気になることはない」との回答は31.3%であり、多くの人が何かしらの不調を抱えているのが実情のようだ。

この結果を踏まえ同社は、「従業員向けの健康課題解決のための企業側の取り組み状況」を尋ねた。すると、「取り組んでいない」とする企業が5割であったという。従業員の多くが健康課題を抱えている半面、企業の取り組み状況は十分とはいえない状況が浮き彫りとなった。
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「メンタル不調を感じる」人のうち8割以上が「仕事への影響がある」と回答

また同社は、「メンタル面で不調を感じるか」についても尋ねた。すると、3割が「不調を感じる」と回答したという。

さらに、「メンタル面の不調を感じる」との回答者に、「メンタル面での不調による仕事への影響の有無」を同社が尋ねると、「大いにある」(20.1%)と、「ある」(26.7%)、「若干ある」(39%)の合計は85.8%と、8割以上がメンタル不調が仕事へ影響していると回答した。
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2割以上が「女性特有の健康課題で何かを諦めた経験がある」と回答

また同社は、女性特有の健康課題によるキャリアへの影響を探るべく、「キャリアを築く上で、女性特有の健康課題や症状が原因で何かをあきらめた経験」を尋ねた(女性のみ回答)。すると、「そういう経験はない」との回答が78.3%で最多だった。一方で、「正社員として働くこと」(8.1%)、「出産・育児」(5.3%)、「希望する職種で働くこと」(4.5%)、「昇進・昇格」(4.3%)との回答が計22.2%と2割以上が回答した。
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女性特有の健康課題に対し求めるサポートは「受診・休暇が取りやすい制度設計」

最後に同社は、「女性特有の健康課題や症状を抱えながらキャリアを築くために必要なサポート」について尋ねた。すると、「受診や休暇が取りやすい制度設計」が50.4%で最多だった。以下、「上司や部署内のサポート」(29.7%)、「企業全体の業務分担や人員配置の考慮」(24.7%)、「婦人科医に直接相談できるサポート」(21.9%)、「外部相談窓口の設置」(20.4%)と続いた。
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本調査結果から、何かしらの健康課題を抱える人が多数を占めるも、企業の対策は後れを取っている状況が明らかとなった。また、女性活躍推進が急務とされる中、女性特有の健康課題によってキャリア等を諦める選択をした女性も2割以上存在することもわかった。企業の生産性向上に向けては、男女にかかわらず従業員の健康課題に対し、企業側がサポートする体制の構築が必要といえそうだ。

※ 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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