人事のプロを支援するポータルサイト「HRプロ」を運営するProFuture株式会社は2022年12月22日、「ウェルビーイングと健康経営」に関する調査結果を発表した。調査期間は2022年9月26日~10月3日で、企業の人事責任者および担当者221名から回答を得た。調査から、企業におけるウェルビーイングの認知度や、パーパス浸透度と実施割合の関連性などが明らかとなった。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も

ウェルビーイングの認知度は、大企業で約8割、中小企業では4割に

「ウェルビーイング(well-being)」は、人が幸福で心身ともに健康な状態にあり、かつ社会的にも満たされている状態を指す言葉だ。近年では人事施策にウェルビーイングの概念を取り入れる企業が増加傾向にあるが、その認知度はどうなのだろうか。ProFutureはまず、企業規模別に「ウェルビーイングの認知度」を分析した。その結果、「以前から意味も知っている」との回答は、従業員1,001名以上の大企業で75%、301~1,000名の中堅企業で63%、300名以下の中小企業では42%だった。企業規模が大きいほどウェルビーイングの認知度が高かった。ただし、「以前から名前だけは知っている」(大企業:11%、中堅企業:31%、中小企業:42%)と合わせると、認知度はいずれの企業規模においても9割程度に上り、関心の高まりがうかがえる結果となった。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も

今後実施予定を含むウェルビーイング施策の実施は、大企業で約8割、中堅・中小企業も4割超

次に同社は、企業規模別に「ウェルビーイングの実施状況」を分析している。すると、「実施している」割合は、大企業で40%、中堅企業で17%、中小企業で12%だった。実施状況は大企業でも半数に満たない結果となったが、「実施に向け準備中/検討中」(大企業:38%、中堅企業:33%、中小企業:29%)を含めると、大企業では78%、中堅企業では50%、中小企業では41%と割合が高まり、今後の実施企業の拡大が期待できる結果が得られた。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も

パーパスが浸透している企業ほどウェルビーイング施策に取り組む割合が高い傾向に

また同社は、ウェルビーイング施策の実施とパーパスの浸透度との関連性を探るべく、「パーパス社員浸透度別『ウェルビーイング』の実施状況」を分析している。その結果、「実施している」と「実施に向けて準備中/検討中」の合計値は、「浸透している」企業群で76%、「どちらとも言えない」企業群で52%、「浸透していない」企業群で32%となった。このことから、パーパスが浸透している企業ほどウェルビーイング施策実施に前向きであることが明らかとなった。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も

ウェルビーイング推進目的は「社員のモチベーション・エンゲージメント向上」が6割以上に

続いて同社は、「『ウェルビーイング』の実現に向けた施策実施の目的」を尋ねた。すると、「社員のモチベーションの向上」が68%で最多だった。以下、「社員のエンゲージメントの向上」が66%、「会社全体の生産性の向上」が49%、「企業価値の向上」が42%と続いた。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も

半数以上がウェルビーイング施策実施で「社員のエンゲージメント・モチベーション向上」を実感か

さらに、「『ウェルビーイング』の推進で得られている効果」を同社が尋ねると、「社員のエンゲージメントの向上」が57%で最も多かった。以下、「社員のモチベーションの向上」が50%、「社内コミュニケーションの活性化」と「会社全体の生産性の向上」がともに33%と続いた。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も

ウェルビーイング施策の課題は「効果の可視化方法がわからない」が最多

最後に同社は、「『ウェルビーイング』の推進に関する課題」を尋ねた。すると、「効果の可視化方法がわからない」が52%で過半数を占め、最多となった。以下、「実践に関するノウハウがない」と「効果を得られにくい」がともに28%、「人的負担が大きい」が21%と続いた。
ウェルビーイングの取り組みにパーパスの浸透度が影響か?関心が高まる一方で「効果の可視化」に課題を抱える実態も
ウェルビーイングに関しては、名前だけでも「知っている」とする企業の割合が9割近くとなり、認知度および関心度合いの高さがうかがえる結果となった。また、パーパスの浸透度がウェルビーイング施策の実施割合に関わっていることも明らかとなった。一方で「効果の可視化」を課題とする企業が過半数を占めており、より一層健康経営を推進するためには、その効果を示す方法を探ることがカギとなりそうだ。

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