厚生労働省は2023年7月31日、「2023(令和5)年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(速報値)を公表した。本調査により、同日時点での従業員1,000人超の企業における男性の育休等取得率や育休等平均取得日数、および男性育休取得率を公表したことによる企業での効果や変化が明らかとなった。
男性育休取得率公表「300人超」への対象拡大で企業はどう変わる? 厚労省「男性育休取得率の公表状況調査」から見る公表の効果とは

男性育休取得率は4割超に。取得率公表により「取得促進」や「職場の雰囲気の変化」も

2023年4月に改正育児・介護休業法が施行されたことで、男性の育児休業取得促進のため、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務付けられている。また、厚労省は去る7月25日、現行の「従業員1,000人超」の企業から「300人超」の企業へと対象の拡大を検討していることも明らかにした。対象企業を拡大することで、企業に対して育休取得や休みやすい職場環境の整備を促したい考えだ。

これを受け厚労省は、「イクメンプロジェクト」(育休取得に向けた制度や企業の取り組みなどが社会に浸透・定着し、あらゆる職場で“男性が育児休業を取るのが当然”となることを目指したプロジェクト)による、「2023(令和5)年度男性育児休業等取得率の公表状況」(速報値)の結果を発表した。調査時点(2023年6月1日)における「育休等取得率の公表状況」をみると、従業員1,000人超企業のうち、3月末決算企業の8割以上が6月中に公表完了予定だった。また、男性育休等取得率は46.2%で、男性の育休等平均取得日数は46.5日だとわかった(1,472社の有効回答のうち、1,000人超の企業は1,385社が該当)。

併せて、「取得率を公表した効果・変化」を調査したところ、「社内の男性育休取得率の増加」(33.1%)が最多だった。以下、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化」(31.5%)、「新卒・中途採用応募人材の増加」(8.3%)と続いた。男性育休取得率を公表することで、育休取得の促進のほか、人材獲得面での効果を感じている企業が多いことがわかったという。

調査結果の詳細は、同省のホームページにて参照可能だ。



本調査結果を受け、「イクメンプロジェクト」では今後も、男性育休取得のさらなる促進を図っていきたいとしている。

厚労省の2021年度調査によると、国内の男性育休取得率は1割程度にとどまり、女性(取得率8割超)に比べて低いのが現状だ。社会全体で女性活躍が進む中、依然として女性にかかる育児負担は大きく、企業による男性育休推進も十分に進んでいるとは言えない。少子化対策や女性活躍推進のほか、育児に関わりたい男性を支援するためにも、企業はこうした調査結果を参考にしながら、男性育休の取得を促進することが重要になるだろう。

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