株式会社D&I は2021年4月20日、「障がい者雇用における課題」に関する調査結果を発表した。調査期間は2021年4月1日~4日で、「障がい者の法定雇用率引き上げを認知しており、自社で障がい者雇用を行っている企業」で働く人事または総務責任者104名より回答を得た。これにより、障がい者雇用における課題や、新型コロナウイルス感染症による採用活動の変化などが明らかとなった。
法定雇用率の引き上げに伴う障がい者雇用の課題とは。8割超が「採用方法の見直し・改善が必要」と回答

障がい者雇用の課題は「自社に合った人材の確保が難しい」が最多

障がい者雇用を行っている企業では、現状において課題や新型コロナの影響をどう感じているのだろうか。

はじめに、「障がい者雇用を実施する上での課題」を尋ねた。すると、「よい人材の確保が難しい」が55.8%と最も多い結果に。以下、「採用後の定着がうまくいかない」が38.5%、「採用基準を定めにくい」が36.5%と続いた。

自由回答では、「必要なスキルが書面や面談では伝わりにくい」、「リモートでの面談はなかなか判断が難しい」などがあがり、社内で適切な仕事を見つけにくいことや、リモートの普及によって直接面談できないことが課題となっているという声が寄せられた。
障がい者雇用における課題

今後、既存の採用方法での対応は「難しい」と懸念

2021年3月より、民間企業では障がい者の法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げとなった。そこで、「障がい者の法定雇用率の引き上げに伴い、障がい者雇用の課題は既存の採用方法で対応できるか」を尋ねた。その結果、「対応できない」が15.2%、「あまり対応できない」が49.5%と、合計64.7 %が対応の難しさを感じていることが明らかとなった。
法定雇用率の引き上げに伴う障がい者雇用の採用方法と課題対応

8割以上が「採用方法の見直し・改善が必要」と実感

次に、「障がい者の法定雇用率引き上げに伴い、障がい者の採用方法の見直しや改善をする必要があるか」と尋ねた。すると、「かなりあると思う」が23%、「少しあると思う」が58.7%で、合計81.7 %の企業が「採用方法を再考する必要性がある」と考えていることがわかった。

採用活動の変化について、自由回答では「簡単にできないと思う」、「優秀な人材を奪い合う環境は変わらない」といった声があがり、課題や採用活動自体に難しさを覚える企業が多く見られた。
法定雇用率の引き上げに伴う、障がい者雇用の採用方法の見直し・改善の必要性

見直しや改善実施済みは2割未満も、半数以上が着手

また、「障がい者の法定雇用率引き上げに伴い、障がい者の採用方法において見直しや改善を行ったか」を尋ねた。すると、「完了している」が17.3%、「完了していないが、見直しや改善を行っている」が42.3%となり、合計59.6 %はすでに見直しや改善が「完了している」もしくは「着手している」ことが判明した。
法定雇用率の引き上げに伴う、障がい者雇用の採用方法の見直し・改善の実施

8割弱が新型コロナの影響によって障がい者の採用活動に「変化あり」

続いて、「新型コロナの影響で、障がい者の採用活動に変化があったか」を尋ねた。その結果、「かなりそう思う」が24.1%、「ややそう思う」が54.8%と、合計78.9 %が変化を感じていることがわかった。
新型コロナによる障がい者採用の変化

オンラインの普及は、企業によってメリットにもデメリットにも転じるか

最後に、「障がい者の採用活動に、どのような変化があったか」を尋ねた。すると、「オンラインツールでの連絡が増えた」が57.3%と最も多い結果に。以下、「障がい者労働への不安が増えた」が32.9%、「テレワークによる雇用ができるようになった」が30.5%と続いた。

また、自由回答では、リモートワークが普及したことにより「テレワークで障がい者が担える業務範囲が広がり、人材の活用度合いが高まった」 、「在宅勤務希望者が増加した」、「採用活動がしづらい」、「採用自体が難しくなった」といった声があがった。オンラインを活用することのメリットやデメリットは、企業によってさまざまなことがうかがえる。
障がい者の採用活動における変化
新型コロナの影響やリモートワークの普及といった「働き方の多様化」や、法定雇用率の引き上げにより、障がい者の採用方法について見直しや改善を迫られた企業もあるだろう。今後もさらに手法は変化していくと予測されるため、情勢や課題を踏まえた対策を検討していきたい。

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