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労働基準法は労働者を守るためのもので、会社のことは考えていないのか?

HRプロ編集部
2014/07/08

 私ごとではあるが、当事務所独自のサービスの商標を申請していた。1年以上かかってしまったが、やっと先日認められた。認められた商標は世間的によく使用される言葉を組み合わせたものである。私が最初に申請しようとして弁理士に相談した名称は「認められる可能性が低い」と弁理士に指摘された。
 そして、弁理士に認められる可能性があるとあげられた名称は、私としては可能性が低いと思った名称であった。あえて名称は伏せさせていただくが、私にとって大変な驚きであった。しかし、実際に商標は認められた。その分野の専門家であれば当たり前のことであっても、分野が異なれば基本的なことであっても意外と知らないものなのだというのを実感した。

 私の専門分野である労働基準法についても同様のことが言える。社会保険労務士であれば当たり前のことであっても、意外と知られていない事が多い。

 労働基準法の目的とは何かをご存知だろうか?
 その目的は、「労働者を保護」することである。本来、契約というのは対等の立場で締結される限り、自由に内容を決定できるはずである。しかし、実際には、会社の立場が強いために労働者を保護する必要があることからつくられたのが労働基準法である。民法の原則の一部に修正を加えているものである。民法が一般法、労働基準法はその特別法という位置づけである。このコラムをお読みいただいている方にとっては当たり前のことで、おそらく知らぬ方はいないのではないかと思う。

 確かに、労働基準法は労働者を保護する目的でつくられた法律である。しかし、もし導入できるのであれば会社にとってもメリットがあるのでぜひ導入を検討してほしい制度が多数存在しているのだが、その制度をすべて知っているという会社はあまりない。
 例えば、1日8時間、週に40時間を越えたら2割5分増(以上)で計算した時間外割増賃金を支払わないといけないことになっているのは周知の事実である。

 しかし、事業場外で労働していて何時間働いたか算定できない従業員が存在する。システムエンジニアなど本人に労働時間の配分などは任せた方が良い職種だってある。1日8時間を超えて働いたら時間外割増賃金を支払わないといけないといっても、そのような従業員はどうしたら良いのだ?という疑問がわくと思う。それらの従業員に対しては労働基準法で制度が設けられている。いわゆるみなし労働時間制というもので、1日○時間働いたものとみなすことができる。

 また、中小業企業には、いまだに週40時間の法定労働時間をクリアしたくても完全週休二日制を導入することが困難な会社もある。1年で忙しい時期とそうではない時期がある会社もある。そのような会社に1日8時間、週40時間の法定労働時間をクリアしろというのは難しいだろう。そういった会社に対応した制度もきちんと労働基準法で設けられている。一定期間を平均して週40時間におさまっていればよいという変形労働時間制という制度である。

 1日8時間、週に40時間を超えた場合には時間外割増賃金を支払わないといけないとなっている労働時間の原則を修正する制度である。上記の制度は、従来の労働時間管理にそぐわない業種について労働者の自主性を重視しつつ労働者への負担の少ない形で労働を管理していく制度であったり、労使で工夫しながら労働時間の短縮を進めていく目的でつくられたものであったりする。しかし、これらの制度は実際に導入すれば、労働者だけではなく会社側にも(双方に)メリットがあるはずである。

 上記制度はあまりに有名であるためにご存知の方も多いかもしれない。しかし、多くの方がご存じないことも存在している。
 例えば、歩合給の割増賃金などがあげられる。
 割増賃金を計算する際に除くことができる手当は決まっているが、その中に歩合給は含まれていない。したがって、歩合給といえども時間外労働が発生した場合には、もちろん割増賃金は支払わないといけない。

 しかし、「歩合給は結果(歩合)に対して支給するものだ。基本給などとは違う。基本給と同じ通常の計算方法で割増賃金の額を計算するのはおかしい」と思われる方もいるだろう。
 確かに、その通りだと思う。長時間労働をすればするほど時間外割増賃金が歩合給にも必要になるのでは結果に対して支給する歩合給を導入した意味が薄くなるという会社の主張には一理あると思う。したがって、歩合給ではなく賞与で支払う会社が多いのだと思う。

 しかし、きちんとした歩合給ということになれば、基本給と同じような計算方法での割増賃金の支払いは法律上求められていない。確かに、割増賃金の支払いは必要であるが、基本給などとは割増賃金の計算方法が異なる。きちんとした計算式で計算すれば割増賃金の額は極めて少なくてすむのだが、意外とご存じでない方が多い。

まずは法律をきちんと知ることが大切だと思う。


フェスティナレンテ社会保険労務士事務所  小嶋 裕司

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