最大で3カ月間の治療出社期間

――現職場への治療出社、復職はどのように行われますか?

 治療出社期間は最大で3カ月間。最初は午前勤務、次に15時まで勤務、最終的にはフルタイム勤務と慣れていき、復職判定条件を満たすまで業務遂行能力を上げていく。そして再就業できるかどうかを上長が判断する。その判断と産業医の意見を聴取して人事労務部門が再就業の可否を判断する。

 再就業にあたっては4条件を設けている。その条件の1は「所定労働時間の勤務が可能であること」、2は「役割期待の半分くらいの仕事ができること」、3は「周囲を必要以上に困らせないこと」、4は「仕事の量は制限するが、腫れ物に触るような特別扱いをする必要がないこと」だ。

 そしていよいよ「復職期」だ。始めは残業、出張の制限を行い、業務負荷を軽減する。3~6カ月かけて徐々に役割期待に近づけていく。

――うつ病で休業している社員は何名くらいいるのでしょうか。休業から復帰までの期間はどれくらいかかっていますか。再発する人はいますか?

 国内には三千数百名の社員がおり、全社で若干名が休業している。長期の休業が必要になる人はまれで、ほとんどは1年以内で復帰している。再発するケースもあるが、再発者に対しては2回目の回復プログラムをより丁寧に行い、3度目の再発がないようにしている。

休業期間中も一定レベルの所得を保障

――休業期間中の給与はどうなっているのでしょうか。生活が不安では治療に専念できないと思うのですが。

 先ほど回復プログラムによる休業は3年間と話したが、その中身は制度上では異なる。1年間は欠勤、2年間は休職だ。そしてこの期間も一定レベルの所得が補償される制度が整っている。これらの手当があるので、休業期間中も生活に困ることなく療養に専念できる環境となる。

――最後にお聞きしたいのは発症していない社員への対策です。発症を抑える施策が必要ですが、どんなことをしておられますか?

 味の素の健康推進センターは全国に6箇所あり、健康診断の実施後に全社員との面談を実施している。メンタルを含む問診票を全社員に配布し、記入した用紙を見ながら産業医9名と保健師11名が三千数百名全員とひとり30分ほどの面談をする。

 この面談の中で問題があれば発見し、対処している。この面談が実施された経緯ははっきりしないが、2000年には実施していたから、すでに十数年の実績を持っている。

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