4割近い学生が内定者フォローに効果なしと判定

最後に、多くの企業で内定式も終わり、今後ますます「内定者フォロー」に注力していくことになるかと思いますので、「内定者フォロー」に関する調査結果を紹介します。内定先企業から実際に行われたフォローの中で、「入社したい気持ちが高まった内定者フォロー」について取り上げます。

文系・理系ともにトップは定番の「内定者懇親会(オンライン含む)」で、文系34%、理系33%とどちらも3割を超え、2位の「若手社員との懇親会(オンライン含む)」(文系15%、理系16%)のダブルスコアとなっています[図表10]。学生にとって最も気になるのは、やはり先輩社員よりも同期の内定者ということです。3位は「入社に向けた個人面談」で、文系11%、理系8%が「入社したい気持ちが高まった」としています。
[図表10]入社したい気持ちが高まった内定者フォロー(複数回答)
一方、要注意といえるのが「(入社したい気持ちが高まった内定者フォローは)特にない」と回答した学生が文系で37%、理系で36%と4割近くもいることです。もちろん、内定後まだ間もなく、これまで何も内定者フォローを受けていないという学生もいるでしょう。しかし、何がしかの内定者フォローを受けていながら、何一つ入社したい気持ちを高めることにつながっていないとしたら、これは大問題です。

内定者フォローは、かつてバブル期にあったように、他社への受験をブロックするために物理的に拘束するために行うわけではありません。あくまでも学生の入社意欲の維持・向上に寄与するものでなければ実施する意味がありません。実施することを目的化しないよう、今一度、見直してみる必要があるかもしれません。

その参考となるデータが次のデータです。[図表10]は、「入社したい気持ちが高まった内定者フォロー」としての単純に得票数を基にしたランキングでしたが、実際に実施を受けた学生数を分母として得票割合を並べ替えた結果が[図表11]です。実施を受けた学生のうち、何%の学生に効果があったかを測る資料となります。分母が小さいと得票割合の上下動が激しくなりますので、今回は、実施を受けた学生数が文系・理系別で20人以上の項目だけを集計対象としています。
[図表11]入社したい気持ちが高まった内定者フォロー(複数回答/実施割合が分母)
文系のトップは依然として「内定者懇親会」(48%)ですが、2位は「入社に向けた個人面談」でトップとわずか2ポイント差の46%、以下、「若手社員との懇親会」(39%)、「経営者・役員との懇親会」(35%)、「管理職社員との懇親会」(32%)と、懇親会系が続きます。[図表10]では実施割合が少なかったためにポイントの低かった「経営者・役員との懇親会」や「管理職社員との懇親会」などがポイントを大きく伸ばし、上位にランクインしています。

一方の理系は、トップすら入れ替わるなど、文系とはかなり異なる様相を呈しています。[図表10]ではわずか4%だった「企業・工場見学会」が68%と大きくポイントを伸ばして堂々のトップです。理系のほうが、「企業・工場見学会」を通じて、実際の設備や環境などを確認したいという欲求が強い傾向にあります。2位は「資格取得支援」で、こちらも2%から52%へとポイントを大きく伸ばしています。「入社に向けた個人面談」もポイントを伸ばして、文系同じ46%となるも僅差の5位。理系は、「資格取得支援」のほか「eラーニング・通信教育」も27%で9位にランクインするなど、学び系の内定者フォローも有効なようです。

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