評価制度は、人事制度の中でも賃金制度や等級制度と並んで重要な制度です。従業員のモチベーションと生産性を上げ、会社の成果につなげる仕組みとして導入されてきました。一方で、評価制度は時代に合わせて様々な変遷をとげています。時代が変われば社会環境も変わり、企業活動の変化とともに評価制度も変化するのです。では、令和時代の評価制度はどうあるべきなのでしょうか。今回は人事の現場の視点から、令和時代にふさわしい評価制度は何かを考えてみます。
リモートワークの普及など、変化が激しい令和時代に評価制度はどう変わっていくべきか?【31】

評価制度の歴史と変遷

評価制度は時代とともに変化を遂げてきました。特に年功序列や終身雇用制といった独自の人事制度が発達した日本では、社会環境が変わるたびに新たな評価制度がブームとして流行しています。そこでまずは、日本の評価制度の歴史についてみてみましょう。

なぜ評価するのか?
まず、そもそもなぜ評価制度が存在するのでしょうか。会社は従業員に対して、会社の目指す方向に行動してほしいと考えています。同時に、単に会社の指示に従うだけでなく、高い成果を上げてほしいと思っています。経営者の視点から見れば、投資した人件費に対して、期待以上の成果を求めるのは当然のことでしょう。そこで会社が望む行動をした従業員を賞賛し、反対に望ましくない行動をとった従業員には罰を示すことで、成果を高める行動をコントロールするのが、評価制度の根本的な考え方です。

評価制度の変遷
実は日本の人事制度にはもともと「平等」「公平」を尊重する考え方がありました。1950年代に生まれた年功賃金は「誰もが年を取る」ことを前提として、「年齢が上がれば経験やスキルも増えるだろう」という考え方でつくられました。世界的にみても公平性の高い仕組みです。

しかし高度成長期になると、能力の高い人材を確保するために、能力主義の「職能資格制度」が誕生しました。同じ年齢でも能力が高い人材を評価する仕組みです。また90年代に入るとバブル経済の崩壊により、限られた人員で生産性を高める必要性が出てきました。その頃に導入されたのが「成果主義人事制度」です。米国から輸入された目標管理制度の仕組みとともに、仕事の成果に応じて評価される業績評価が導入されました。そして2000年代には成果主義を背景に、成果を出すための行動を評価するコンピテンシー評価がブームに。コンピテンシーは、いまではすっかり市民権を得ています。

このように、評価制度は時代とともに変わってきました。しかし日本の人事制度は、いまだに年功序列の面影を残しています。

時代遅れの評価

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