モノや情報があふれかえっている現代、世の中に新しいものをゼロから生み出すことは難しい。米国のPayPalの創業者、ピーター・ティールは「ビジネスに同じ瞬間は二度とない」と「ゼロ to ワン」の価値を伝えているが、実行することは至難の業である。

しかしながら、既存のビジネスモデル・ブランド・コンセプトといった対象を掛け合わせることで、新しい付加価値を生み出すことができるのではないか。

そうした考えのもと、イノベーションを起こせる人材を育成するために注目されているのが「異業種交流研修」である。これは、名刺交換の場として終わりがちな「異業種交流会」とは違い、さまざまな業種から集まった参加者たちが集まる研修のことで、ワークショップなどを通じて柔軟な思考力や発想力を養うことが期待できる。
そんな異業種交流研修を実際に体験できる「R&Dイノベーションワークショップ 無料体験セミナー」が開かれた。なぜ今、異業種交流なのか、イノベーションに必要な要素とは何なのか、セミナーの様子をレポートする。
イノベーションを生み出す人材を育成する異業種交流研修

「R&Dイノベーションワークショップ」とは

株式会社コンサルティングアソシエイツが主催する「R&Dイノベーションワークショップ」。これは30~40歳前後の研究開発担当者を対象に、モチベーション×創造的思考力×顧客思考の3つの要素を主軸として、変化の激しい世の中に柔軟に対応できる人材を生み出すべく企画されたワークショップである。

このワークショップの最大の特徴は、様々な業種で働く者たちがチームになって、ともに新たなビジネスプラン・コンセプトを作り出すことだ。専門分野が異なる者が集まることで、自社では思いつかないようなアイデアが飛び出すこともある。対話や演習を通して参加者同士がお互いに刺激を与えあい、ワークショップ終了後も何らかの形で参加者同士の交流がずっと続くのがこのワークショップの魅力と言える。

なぜ今、“異業種交流”なのか?

「今、多くの企業から異業種交流研修が求められる背景として、世の中の変化が密接に関係しているのではないか」と司会者は言う。

昨今の時代を表すキーワードとして、「VUCA」という言葉が使われている。「VUCA」とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)・Ambiguity(あいまい性)のそれぞれの頭文字をとったものであるが、これは世の中の変化が複雑になっていることを表している。環境の変化が大きく速くなっている中、どんな人材が激変の時代に活躍できるのかについては、仮説が3つ立てられる。


(1)仮説構築と検証ができる

これは、端的にいうと「とにかくやってみる力」のことだ。変化が激しい現代では、非常に精度の高い仮説を立てたとしても、仮説を作っている間に時代がどんどん先に進んでしまう。そのため、現代は仮説の精度が求められない時代になってきたのではないかと予測される。仮説を構築したらすぐに検証してみて、その検証結果を次の仮説の構築・行動につなげることができる人材こそが、これからの変化の時代に活躍できる人材ではないだろうか。

(2)外向き思考である

「外向き思考」とは社外の技術力やアイデアから新しい価値を創出する考え方で、近年では「オープンイノベーション」というキーワードで各社の経営テーマにもなっている。市場の多様性や変化のスピードに追いつくためには、自社だけのリソースでは難しい時代だ。会社の外で起こっている変化や他社の動きに意識を向けてアンテナを高くしておく必要がある。

(3)自己基軸を持っている

これは、「自分自身の強みを理解し、自分のありたい姿をしっかり認識して自分なりの判断基準を持っている」ことを指す。変化が激しい時代、ビジネスも流行り廃りが短いスパンで繰り返されている。自分自身の強みをしっかり把握し、自分がやりたいことを基準に選択すれば、流行しているものに対して、手を出すべきか立ち止まって判断できるようになる。

“異業種交流研修”だからこそ得られる学びとは

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