前回に引き続き、4月下旬に実施した2015年卒採用・就職についての中間総括アンケートの結果報告の第3回。今回のテーマは「選考」である。
大手で多いグループディスカッション

次に多いのは「グループディスカッション」であるが、こちらは企業規模により実施率に大きな開きが見られる。大企業では37%の企業で実施されており、実施率40%の「グループ面接」と大差はない。それに対して、中堅企業では24%、中小企業では13%と規模が小さくなるにつれ、実施率は低くなっていく。テーマの設定や、面接官のチェックすべきポイントなど、通常の面接と比べると独特のスキルが必要になる点が、中小企業で導入が進まない理由であろう。
[図表1]実施している面接手法
面接回数は「3回」が最多

全体では、面接回数「3回」が44%で最多、次いで「2回」の39%が続く。規模別にみると、面接回数「4回以上」の企業は、中小企業9%、中堅企業12%、大企業19%と、規模が大きくなるほど面接回数が多くなる傾向がある。
[図表2]内定までの平均面接回数(全体)
面接回数が少ないメーカー

[図表3]内定までの平均面接回数(メーカー)
非メーカー大手の3分の1は面接を4回以上実施

[図表4]内定までの平均面接回数(非メーカー)
大企業の8割以上は、面接官対策を実施

面接官への施策を訊いたところ、「何もしていない」企業は大企業では17%と2割以下ではあるが、施策の多くは資料のメール送信や説明会止まりで、勉強会や研修まで実施している企業はまだまだ少なく、大手企業でも2割に満たない。資料を読んだり、説明を聞くだけで「できる」ようになるわけではない。実践的な面接官研修をもっともっと実施すべきである。
[図表5]面接官に対する施策
今年も多いまじめでおとなしい学生
面接で印象に残っているエピソードを訊いてみた。以下は、寄せられたコメントをそのまま紹介する。・画一的な学生が多かった。
・パフォーマンスをする学生がいた(プレゼン、歌、ラップ、ダンス)。
・エピソードに信憑性がある学生とそうでない学生との差が激しかった。
・相変わらずまじめでおとなしい。
・とにかく真面目な人が多かったが、打たれ強さや臨機応変能力は少ないように感じた。
・全体的におとなしい傾向。反面、事前準備や面接での対応はそつない。そのため見極めが少々難しい印象。
・特に積極的に採用したいというような飛び抜けて優秀な人材がいない。
・選考時にフィードバックを行い、良い点、課題を提示したところ「否定されて傷ついて立ち直れず、体調を崩して寝込んでしまった」と後日母親からクレームの電話が入り、謝罪を行った。
・圧迫面接という言葉があるが、普通に質問してもそういう傾向になる学生が多くなっている。
・最終選考(役員面接)で、当社が第一志望という学生に、「当社から内定が出たら、他社の選考はどうするか?」と尋ねたところ、「いま選考中の企業の選考は受けたい」との回答。ここまでは理解できるが、「他の企業にもこれからエントリーする」と言われて、唖然とした。
・予期しない質問をされたときに、対応が十分できない。
印象としてはマイナスのものが多いが、中にはこんな意見も。
・優秀で真面目な学生さんが増加した。
・やりたい仕事がはっきりしている人が多く好印象です。
・久しぶりに悲壮感が消え、良くも悪くも学生に余裕があった。
・例年以上にしっかりとしている印象を受けた。
半数の企業が利用している検査は1種類のみ

まずは利用している適性検査・学力検査の数について訊いてみたところ、半数の企業が「1種類」のみ、次いで「2種類」が31%、「3種類」が10%の順。中には「5種類以上」という検査マニアとも言える企業もある。最近は、従来利用していた検査にストレス耐性検査を追加するなど、複数の検査を利用する企業が増えているようである。
[図表6]採用選考で利用している適性検査・学力検査の数
大手企業は紙からwebへ移行中

[図表7]採用選考で利用した適性検査の形式
大企業で利用が進む「ストレス・メンタルヘルス診断」

[図表8]採用選考で利用した適性検査の診断内容
適性検査ほどのWEB化はまだまだ進まない

学力検査を実施していない企業は、大企業12%、中堅企業17%、中小企業25%と企業規模が小さくなるほど多くなっている。中小企業の4社に1社は、採用時に学力検査は実施していない。
[図表9]採用選考で利用した学力検査の形式
英語の検査を実施している企業は3割以下

採用においても“グローバル人材”という言葉が飛び交うことが増えているが、「英語」を学力検査の項目に入れている企業は28%と3割にも満たない。ただし、大企業に限れば「英語」の実施率は32%で、25%の「一般常識」を凌いでいる。英語力については、TOEICの点数が参考にされ、学力検査ではわざわざ実施しない例も多いように思われる。ちなみに、「英語以外の外国語」を課していた企業は、今回の調査では皆無であった。
[図表10]採用選考で利用した学力検査の科目内容
検査の実施タイミングは1次面接前のスクリーニングが最多

[図表11]選考過程での適性検査・学力検査の実施タイミング
【調査概要】
調査主体:HR総研(HRプロ株式会社)調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2014年4月21日〜4月30日
有効回答:396社(1001名以上 71社, 301〜1000名 131社, 300名以下 194社)