「2015年新卒採用中間総括調査」結果報告【3】1次面接前のスクリーニングとしての利用が最も多い適性検査

前回に引き続き、4月下旬に実施した2015年卒採用・就職についての中間総括アンケートの結果報告の第3回。今回のテーマは「選考」である。

大手で多いグループディスカッション

新卒採用の選考で実施している面接手法について訊いてみた。当然ながら最も多いのは「個人面接」で、企業規模を問わず95%以上の企業で実施されている。次いで多いのは「グループ面接(集団面接)」で4割前後の企業が実施している。受験者数が多い1次面接に実施されることが多いようである。
次に多いのは「グループディスカッション」であるが、こちらは企業規模により実施率に大きな開きが見られる。大企業では37%の企業で実施されており、実施率40%の「グループ面接」と大差はない。それに対して、中堅企業では24%、中小企業では13%と規模が小さくなるにつれ、実施率は低くなっていく。テーマの設定や、面接官のチェックすべきポイントなど、通常の面接と比べると独特のスキルが必要になる点が、中小企業で導入が進まない理由であろう。

[図表1]実施している面接手法

面接回数は「3回」が最多

内定までに実施する平均的な面接回数を訊いてみた。企業規模やメーカー/非メーカーの違いにより、傾向が異なっている。
全体では、面接回数「3回」が44%で最多、次いで「2回」の39%が続く。規模別にみると、面接回数「4回以上」の企業は、中小企業9%、中堅企業12%、大企業19%と、規模が大きくなるほど面接回数が多くなる傾向がある。

[図表2]内定までの平均面接回数(全体)

面接回数が少ないメーカー

次にメーカーと非メーカーを比べてみよう。メーカーでは、面接回数「4回以上」の企業は全体で5%しかない。最も多い大企業でも9%である。「1回」「2回」といった面接回数の少ない企業の割合が多くなっている。これは採用対象の違いも影響している。理系の採用では、大学推薦・教授推薦での受験の場合には面接は1回だけしか実施しないことが多い。また、推薦ではなく自由応募だったとしても、理系の場合は文系よりも面接回数が少ないことが多いようである。

[図表3]内定までの平均面接回数(メーカー)

非メーカー大手の3分の1は面接を4回以上実施

一方の非メーカーはというと、「4回以上」の企業割合が大きく異なる。中小企業でも12%、中堅企業で18%、大企業に至っては33%と、3社に1社は面接回数が「4回以上」となっている。大企業では「3回」よりも「4回以上」の方が多くなっている。



[図表4]内定までの平均面接回数(非メーカー)

大企業の8割以上は、面接官対策を実施

新卒採用では同時に多くの学生の面接を実施する必要があり、面接官は人事部員と役員だけというわけにはいかない。各現場のスタッフ、管理職にも応援を仰いでいる企業が大半であろう。普段、面接などやったことのない社員が面接官を務めるのであれば、それなりの準備が必要である。求める人材像の共有(面接での着目ポイントの共有)、面接のルール(聞いてはいけないこと)の徹底は、最低限実施したいところである。さらに願わくば、学生の志望度に与える面接官のイメージの影響の大きさを徹底するとともに、面接官の役割は人材のジャッジだけでなく、自社への志望度を高めさせることであることを浸透させ、会社や仕事の訴求ポイントを共通化しておくことが大事である。
面接官への施策を訊いたところ、「何もしていない」企業は大企業では17%と2割以下ではあるが、施策の多くは資料のメール送信や説明会止まりで、勉強会や研修まで実施している企業はまだまだ少なく、大手企業でも2割に満たない。資料を読んだり、説明を聞くだけで「できる」ようになるわけではない。実践的な面接官研修をもっともっと実施すべきである。

[図表5]面接官に対する施策

今年も多いまじめでおとなしい学生

面接で印象に残っているエピソードを訊いてみた。以下は、寄せられたコメントをそのまま紹介する。

・画一的な学生が多かった。
・パフォーマンスをする学生がいた(プレゼン、歌、ラップ、ダンス)。
・エピソードに信憑性がある学生とそうでない学生との差が激しかった。
・相変わらずまじめでおとなしい。
・とにかく真面目な人が多かったが、打たれ強さや臨機応変能力は少ないように感じた。
・全体的におとなしい傾向。反面、事前準備や面接での対応はそつない。そのため見極めが少々難しい印象。
・特に積極的に採用したいというような飛び抜けて優秀な人材がいない。
・選考時にフィードバックを行い、良い点、課題を提示したところ「否定されて傷ついて立ち直れず、体調を崩して寝込んでしまった」と後日母親からクレームの電話が入り、謝罪を行った。
・圧迫面接という言葉があるが、普通に質問してもそういう傾向になる学生が多くなっている。
・最終選考(役員面接)で、当社が第一志望という学生に、「当社から内定が出たら、他社の選考はどうするか?」と尋ねたところ、「いま選考中の企業の選考は受けたい」との回答。ここまでは理解できるが、「他の企業にもこれからエントリーする」と言われて、唖然とした。
・予期しない質問をされたときに、対応が十分できない。

印象としてはマイナスのものが多いが、中にはこんな意見も。

・優秀で真面目な学生さんが増加した。
・やりたい仕事がはっきりしている人が多く好印象です。
・久しぶりに悲壮感が消え、良くも悪くも学生に余裕があった。
・例年以上にしっかりとしている印象を受けた。

半数の企業が利用している検査は1種類のみ

ここからは適性検査・学力検査について取り上げることにする。
まずは利用している適性検査・学力検査の数について訊いてみたところ、半数の企業が「1種類」のみ、次いで「2種類」が31%、「3種類」が10%の順。中には「5種類以上」という検査マニアとも言える企業もある。最近は、従来利用していた検査にストレス耐性検査を追加するなど、複数の検査を利用する企業が増えているようである。

[図表6]採用選考で利用している適性検査・学力検査の数

大手企業は紙からwebへ移行中

適性検査の実施方法を訊いたところ、全体ではまだ「印刷冊子・ペーパー」が60%で、26%の「web」を大きく引き離している。ただ、ただ、企業規模別にみると、大企業の「印刷冊子・ペーパー」は52%にとどまり、「WEB」が43%とかなりの追い上げを見せている。受検者数の多さと、判定までの時間が短いこと、さらには応募者管理システムとの連携などが、大企業でWEB化が進んでいる理由だと思われる。学力検査と違い、適性検査には正解があるわけではなく、WEB化していくリスクは低いと思われる。

[図表7]採用選考で利用した適性検査の形式

大企業で利用が進む「ストレス・メンタルヘルス診断」

利用している適性検査の診断内容を訊いたところ、企業規模を問わず「性格・気質診断」がトップ。7割前後の企業がこのタイプを利用している。次に多く利用されている検査は、大企業と中堅・中小企業で異なる。中堅・中小企業では「適職診断」「行動特性診断」が利用されているのに対して、大企業では「ストレス・メンタルヘルス診断」が38%で2位となっている。大企業の方が、既存社員におけるメンタル不全者の増加が大きな課題になっているのであろう。「ストレス・メンタルヘルス診断」は、ストレス耐性が弱いと思われる応募者を入社の段階で排除しようとする面ばかりではなく、配属等で考慮することでポテンシャルの高い応募者は採用するための判断材料として利用されている。

[図表8]採用選考で利用した適性検査の診断内容

適性検査ほどのWEB化はまだまだ進まない

今度は学力検査について見てみる。学力検査の実施方法を訊いたところ、最も多いのは「印刷冊子・ペーパー」でどの企業規模でも50%以上となっている。「WEB」化が進んでいるのはやはり大企業ではあるが、こちらはまだ25%にとどまっており、適性検査ほどの勢いはない。オンライン受検では、替え玉や資料参照などの不正がどうしても懸念されてしまうところである。「テストセンター」での受検体制がとれている検査は、適性検査と学力検査がセットになった総合型検査となるため、こちらのデータと適性検査の項目での「テストセンター」利用率はほぼ等しくなっている。
学力検査を実施していない企業は、大企業12%、中堅企業17%、中小企業25%と企業規模が小さくなるほど多くなっている。中小企業の4社に1社は、採用時に学力検査は実施していない。

[図表9]採用選考で利用した学力検査の形式

英語の検査を実施している企業は3割以下

学力検査ではどの領域の能力を見ているのだろう。最も多いのは「計数(数理)」で67%と3分の2の企業が取り入れている。次いで、「言語(国語)」が64%で続く。次に多い「一般常識」は34%にとどまり、学力検査といったら「計数(数理)」「言語(国語)」の2つが基本といえる。
採用においても“グローバル人材”という言葉が飛び交うことが増えているが、「英語」を学力検査の項目に入れている企業は28%と3割にも満たない。ただし、大企業に限れば「英語」の実施率は32%で、25%の「一般常識」を凌いでいる。英語力については、TOEICの点数が参考にされ、学力検査ではわざわざ実施しない例も多いように思われる。ちなみに、「英語以外の外国語」を課していた企業は、今回の調査では皆無であった。

[図表10]採用選考で利用した学力検査の科目内容

検査の実施タイミングは1次面接前のスクリーニングが最多

選考過程において、いつ検査を実施しているかを訊いたところ、最も利用が多いのは「1次面接前(スクリーニングとして)」で全体の46%に上る。大企業だけに限れば、54%と過半数の企業が事前スクリーニングツールとして利用している。膨れ上がった応募者を全員面接に呼ぶことは物理的に難しく、エントリーシートや検査でスクリーニングせざるを得ないということであろう。その場合、受検者数が万単位になる企業もあり、こうなるとWEBでしか検査を実施できないのが現実である。

[図表11]選考過程での適性検査・学力検査の実施タイミング

【調査概要】

調査主体:HR総研(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2014年4月21日〜4月30日
有効回答:396社(1001名以上 71社, 301〜1000名 131社, 300名以下 194社)