HR総合調査研究所が、2013年10月28日〜11月6日にかけて実施した「人事支援サービスに関するアンケート調査」の結果を領域別に各企業の予算動向や課題、今後より求められるサービスについて報告する。有効回答は305社。第1回の領域は「新卒採用」。

ターゲット採用関連が課題の上位に

新卒採用における課題を聞いたところ、2位以下に10ポイント以上の差をつけてトップは「大学との関係を強化したい」になった。51%と過半数に及ぶ。続く2位にも「ターゲット層の応募者が集まらない」(39%)がランクインし、「ターゲット採用」関連の課題が上位を占めた。「応募者の数が集まらない」は25%に止まり、全体の応募者数の増減よりも、ターゲット層の応募者数の増減に関心は移っていることがわかる。
「内定辞退を減らしたい」(37%)は、中堅企業(36%)や中小企業(34%)よりも大企業(45%)において課題としてとらえられている割合が高く、「大学との関係を強化したい」(41%)をしのいで1位となっている。

図表1:新卒採用における課題
フリーコメントで回答いただいた企業の具体的な課題を見てみる。
・ターゲット層ではないところの応募が多く、精査するのに労力や費用が掛かる。(繊維)
・取るべき人材の明確化・人事スタッフの若年化に伴う、知見・スキルの不足。(情報サービス・インターネット関連)
・効率化とターゲット層の早期囲い込み。(電気・ガス)
・ミスマッチ。採用選考時には自分を創り、自身の適性を信じ受験するが、実際は例えば営業職など向いていない学生が採用となり、精神疾患や、生産性のない社員となる。(医薬品)
・面接官研修を実施しても、面接を繰り返すにつれ、長年の経験・自己流に戻ってしまう。(情報処理・ソフトウェア)
・求める人物像、採用広報戦略が設定できていない。(電子)
・ターゲット層の応募数増加。内定を出すまでに、入社動機を最高値まで高める手法。(マーケティング・リサ−チ)
・上質な理系技術者の確実な採用、複数の大学研究室との関係構築・強化。(情報処理・ソフトウェア)
・内定辞退者を極力無くすために、自社の仕事理解を深める方策を探している。(食品)

中堅企業の7割超は採用数は30名以下

2014年卒の採用計画数を見てみると、中小企業の95%は20名以下(採用なしを含む)。中堅企業でも30名以上の採用計画数の企業は3割もない。大企業では、「30〜50名未満」と「100〜300名未満」がいずれも19%で最多。100名以上の採用人数の企業が25%に及ぶ。

図表2:2014年新卒採用計画数

大企業は「1億円以上」の企業も1割弱

新卒採用に関する総予算(就職ナビ、合同セミナー、ホームページ・入社案内制作、セミナー・会社説明会運営費、適性検査代など)を聞いたところ、採用人数に応じて予算が増減するため、企業規模により大きな違いがあった。
中小企業では半数近くが100万円未満なのに対して、中堅企業では100万円未満は6%にすぎず、最多は「100〜300万円未満」の39%、次いで「500〜1000万円未満」の27%であった。大企業の最多は「1000〜3000万円未満」の35%、次いで「100〜300万円未満」「500〜1000万円未満」の22%、「1億円以上」という企業が9%。

図表3:新卒採用の総予算

過半数の企業は採用単価は40万円未満

新卒採用の総予算を採用人数で割った「1人当たりの採用予算」を聞いてみた。採用人数が多い企業は単価は低くなりがちではあるものの、大企業と中堅企業では5割程度が40万円未満となるなど、それほどの傾向値の差異は見られなかった。中小企業では総予算自体が少ない企業が多く、40万円未満は6割以上となり、20万円未満は43%にもなる。一方、採用単価が200万円以上となっている企業もわずかだが存在する。
一般的に、文系よりも理系採用の方が単価は高くなりがちではあるが、研究室からの推薦制度で採用を賄えている企業では、逆に採用予算は低く抑えることができている。

図表4:採用1人当たりの新卒採用予算

2015年卒採用予算は2割以上の企業で増額

中途採用に比べて採用予算があまり増額されてこなかった新卒採用であるが、景況感の回復から各企業の採用数の増加が予測され、2014年卒採用と比べて採用難となることを織り込んで予算が増額される企業が2割以上となった。特に大企業では27%と3割近くが増額となる。
大半は現状維持予算であり、減額とする企業は全体では1割程度にとどまる。ただし、大企業では減額とする企業が17%に及び、最も二極化が進んでいる。

図表5:2015年卒採用予算の対前年比

大学対策支援サービスが今後のキーワード

今後、利用度が高まると思われる新卒採用支援サービスを聞いたところ、「就職ナビ」に12ポイントの差をつけて「大学別セミナー」が44%で最多となった。課題で上位となった「大学との関係強化」「ターゲット層の応募者数が足らない」と連動する形になった。
「大学対策」も19%と上位に来ている。
HRプロでは、1日で主要大学キャリアセンターとじっくり求人相談できるキャンリクフォーラム「大学と企業の合同相談会」を2014年も6月に開催することを予定している。こういった機会をぜひ活用してもらいたい。

図表6:今後利用が高まる新卒採用支援サービス

新卒採用は「情報戦」

新卒採用支援サービスを選択する際の決め手では「価格」(76%)が他の要素を大きく引き離して断トツのトップとなった。「サービスのユニークさ」は20%にとどまっている。サービス内容に差異が少ないことの表れなのかもしれない。「情報提供力」(43%)や「営業担当者」(39%)のポイントが他の領域での結果よりも高くなっている。新卒採用は「情報戦」に他ならない。

図表7:新卒採用支援サービス選定の決め手

【調査概要】

調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年10月28日〜11月6日
有効回答:305社