2014年新卒採用の動向を探る第2回目。今回は「学内企業セミナー」をめぐる動向について、4月末に実施したアンケート調査をもとに、企業、学生、キャリアセンターの立場から振り返ってみる。

増加傾向の企業の学内企業セミナーへの参加大学数

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

図表1は、企業の学内企業セミナーへの参加大学数を前年比較で聞いたもの。参加大学数は「ほぼ変わらない」とする企業が最も多いものの、大企業(1001名以上)、中堅企業(301~1000名)では3割以上の企業が、中小企業(300名以下)でも2割以上の企業が「増えている」としている。「減っている」とする企業は1割以下に止まり、参加大学数は拡大傾向にある。
 昨年12月に実施したアンケート調査では、2014年卒採用で特に注力する施策は「学内企業セミナー」がトップとなっており、それを裏付けるデータとなっている。

図表1:学内企業セミナー参画学校数の増減

3割以上の企業が学内企業セミナー参加大学5校以下

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

では、企業が参加する学内企業セミナーは何校くらいになるのだろうか。図表2は、学内企業セミナーの参画学校数を聞いたものである。
 最も多いのは企業規模に関係なく「1~5校」で、いずれの規模でも3割を超えている。それ以上の参加大学数については、企業規模により差異がある。中堅企業では、「6~10校」が「1~5校」とほぼ等しい31%、「11~20校」が10%、「21校以上」は6%に過ぎず、「51校以上」とする企業はなかった。
 これに対して大企業では、「6~10校」が20%、「11~20校」が18%と拮抗しているとともに、「21校以上」も16%に達している。1%とはいえ「101校以上」という企業もある。大量採用、あるいは不人気業種に属する企業であることが推測される。

図表2:学内企業セミナー参加大学数

参加回数が特に増えている理系学生

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

次に、学生の学内企業セミナーへの参加回数について、過去3年間の推移を見てみる。図表3が文系、図表4が理系学生のデータである。
 参加回数「0回」と「1回」の学生割合は年々減少しており、文系で2012年卒のデータと比較すると、「0回」2012年卒20%→14年卒18%、「1回」12年卒18%→14年卒16%と、それぞれ2ポイントの減少となっている。その分、「2回」「6回」「10回以上」などが増えており、参加学生は増加傾向であることがわかる。

図表3:文系学生の学内企業セミナー参加回数

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

理系学生のデータを見ると、学内企業セミナーへの参加学生の増加傾向はより明確になっている。「0回」とする割合は、2012年卒では18%→14年卒12%と6ポイントも減少している。裏返せば、88%の学生が1回は学内企業セミナーに参加していることになり、参加率では文系学生を逆転する形になっている。
 「10回以上」の学生も、2012年卒4%→14年卒6%と伸びており、理系学生においても学内企業セミナーが有効な施策になっていることがわかる。

図表4:理系学生の学内企業セミナー参加回数

2月にピークを迎える学内企業セミナー

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

キャリアセンターに2014年卒学生を対象とした学内企業セミナーの開催月を、今後の予定も含めて聞いてみた。
 採用広報解禁の「12月」から開催する大学は、大規模校(全学生数5001名以上)では66%に達するものの、小規模校(全学生数1000名以下)では29%に止まる。企業の大学への招致力による差が出ているものと思われる。
 後期試験のある1月には若干控えめとなった後、後期試験が終了した2月にはすべての大学で開催のピークを迎える。大規模校では、実に8割近い大学が実施している。個別企業の説明会、選考が本格化する3月、4月には学生集客の問題からも開催数はガクンと減少し、5月から再び開催数が増えてくる。
 卒業間際の12月や2月に開催予定の大学も多い。ただ、こちらのデータの2月は、2015年卒者を対象としたセミナーと混同されている可能性も否めない。卒業間際までフォローされる大学が増えていることは確かではあるが、3年生の2月と同程度までの開催にはならないはすだ。

図表5:2014年卒学生を対象とした学内企業セミナーの開催月

大規模校ほど開催回数を増やしている

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

キャリアセンターに学内企業セミナーへの開催回数の動向を聞いたのが図表6である。「ほぼ前年並み」とする大学が規模を問わず多いものの、大規模校では43%のキャリアセンターが、開催回数が「増えている」と回答。「増えている」との回答は、中規模校では27%、小規模校では17%に止まり、規模による企業の招致力の違いが鮮明に表れている。

図表6:学内企業セミナー開催回数の増減

大学規模により、「企業招致力」に明暗

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

学内企業セミナーへの参加企業数の動向を見ると、大規模校では3校に2校は「増えている」(64%)と回答している。グラフにはないが、43%の大学が参画企業数は「301社以上」としている。
 中規模校や小機規模校では、「ほぼ前年並み」の大学が過半数ながら、「増えている」とする大学は4割を超え、「減っている」とする大学は1~2%に過ぎない。ただし、参画企業数では、小規模校の8割が、中規模校でも5割が「100社以下」に止まっている。

図表7:学内企業セミナー延べ参加社数の増減

参加学生は増加傾向ながら、中には減少している大学も少なくない

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

学内企業セミナーへの参加学生数の動向を聞いてみたところ、大規模校では55%と過半数の大学が「増えている」と回答したのをはじめ、中規模校、小規模校でも4割以上の大学が「増えている」としている。
 「開催回数」「延べ参加企業数」では、「減っている」とする大学は皆無に近く、明らかに増加傾向であると言えるが、「参加学生数の増減」ではやや異なる結果となった。「ほぼ前年並み」「増えている」とする大学が多いものの、小規模校で21%、大規模校でも16%は「減っている」とする大学もあるのが特徴だ。開催時期や招致した企業のラインナップ(銘柄、社数等)が影響しているものと推測される。

図表8:学内企業セミナーへの参加学生の増減

キャリアセンターでは、さらに強化の方向が鮮明に

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

キャリアセンターに学内企業セミナーの今後の取り組みについて聞いたものが図表9である。4割近い大学が「現状のままで良い」としているものの、48~58%の大学は「強化し増やしていく方向」だという。「現状のままで良い」とする大学の中には、さらに強化したいものの、入試スケジュールとの関係や使用できる教室数の制約から現状が限界であり、これ以上の強化が物理的に無理だという大学もあるようだ。
 これまで参加実績がなかった大学についても、新規参加のチャンスはありそうだ。ぜひキャリアセンターに問い合わせをしてみてはいかがだろうか。

図表9:学内企業セミナーの今後の取り組み

合同企業セミナーの満足度は大きく低下

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

就職情報会社が主催する合同企業セミナーについて、その費用対効果(面談数、面談内容、学生層、採用実績等)満足度を聞いたのが図表10である。参加企業が多かった大手3社の合同企業セミナーについて、昨年同時期の調査と比較してみたところ、すべての合同企業セミナーで、「満足」とする企業の割合が大きく低下している。「満足」できなかった理由としては、「採用につながらなかった」「ターゲット大学の学生が少ない」等を挙げる企業が多い。合同企業セミナーで満足できなかった企業が、学内企業セミナーへのシフトをさらに強めているようである。

図表10:費用対効果で満足の合同企業セミナー

2015年新卒採用ではさらに重視の傾向

「2014年新卒採用動向調査」結果報告【2】

2015年新卒採用で力を入れる施策を選んでもらったところ、昨年トップだった「学内企業セミナー」が47%→54%とさらにポイントを集め、今年もトップとなった。一方、昨年次点であった「就職ナビ」は36%→31%とポイントを落とし、今年は4位に転落した。
 「学内企業セミナー」のほか、2015年新卒採用の施策の中で、前回よりもポイントを集めたのは、「学内キャリア講座」(7%→13%)、「リクルーター」(4%→10%)、「インターンシップ」(5%→9%)の3つ。「学内キャリア講座」は、キャリアセンターが主催するキャリア教育の一環としての「業界研究・仕事研究」などの講座である。1年生から3年生まで参加できることが多く、講師は大学の教授・職員のほか、就職支援会社、企業の人事担当者やOB・OG等が務めることがある。採用広報とは一線を画しているため、参加学生の個人情報の入手はできないものの、学生への業界・企業認知の機会として見直されてきている。

図表11:2015年卒の採用広報で力を入れること

【調査概要】

■採用担当者
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年4月19日~5月1日
有効回答:436社(1001名以上 86社, 301~1000名 147社, 300名以下 203社)

■学生
調査主体:楽天「みんなの就職活動日記」
調査企画:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:就職活動中の大学生、大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年4月22日~5月1日
有効回答:2,678名(文系1,527名、理系1,151名)

■キャリアセンター
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:全国の大学キャリアセンター担当者
調査方法:郵送アンケート
調査期間:2013年3月18日~4月30日
有効回答:286大学

  • 1